こんにちは!革の小部屋管理人の小次郎です。
憧れの英国靴、トリッカーズを手に入れようと思ったとき、一番のハードルになるのが独特なサイズ表記ですよね。ライニングに職人が手書きした数字の意味や、自分の足に合うワイズがどれなのか、調べれば調べるほど迷ってしまうこともあると思います。
特にネット通販やフリマアプリで購入する場合、UKサイズと日本サイズのcm換算がどうなっているのか、自分の足の実寸に対してどのフィッティングを選べばいいのかは、絶対に失敗したくない大切なポイントです。
この記事では、トリッカーズのサイズ表記の見方から、モデルごとの具体的なサイズ感、さらには後悔しないための選び方のコツまで、私なりに詳しく解説してみました。最後まで読めば、あなたにとって運命の一足がどのサイズなのか、はっきりと分かるはずですよ。
トリッカーズのサイズ表記を解読する基本ルール

トリッカーズの靴には、一般的なスニーカーや国産のビジネスシューズとは全く異なる独自のルールが存在します。まずは、靴の内側に隠されたメッセージを読み解くところから始めましょう。
見るべき場所はどこ?ライニング部分の番号の意味とは
トリッカーズの靴を手に取ったら、まずは履き口から中を覗き込んでみてください。側面のレザー(ライニング)部分に、マジックやペンで書かれたような手書きの数字やアルファベットが並んでいるはずです。

初めて見る方は「これ、前の持ち主の落書き?」なんて驚くかもしれませんが、これこそが職人が一足ずつ書き記した、その靴の設計図とも言える重要なデータなんです。
標準的な記載形式は「8-5」や「7h-5」といった形になっています。このハイフンでつながれた2つの数字のうち、左側の数字が「サイズ(足長)」、右側の数字が「フィッティング(足囲・ワイズ)」を指しています。
例えば「8-5」であれば、サイズはUK8で、フィッティングは5という意味になります。この手書きの数字は、製造から時間が経つと摩擦で薄れてしまうこともあるため、中古品などを検討する際は特に注意深くチェックする必要がありますね。
また、これらの数字の近くには、製造番号やモデル名を示す4桁の数字(例えばカントリーブーツなら4497Sなど)も並んで書かれていることが多いです。トリッカーズのフィッティング調整において、このライニング情報は最も信頼できる一次ソースとなります。
自分の足に合う数値が分かってくると、この暗号のような手書き文字が、自分にぴったりの靴を探し出すための心強いガイドに見えてくるから不思議なものです。
ライニング表記が読み取れない場合の対処法
もし長年の愛用でライニングの文字が完全に消えてしまっている場合は、インソールのロゴのデザインや、アウトソールの刻印からモデルを推測し、そこから標準的なフィッティングを導き出すしかありません。
ただ、トリッカーズは別注品も非常に多いため、標準が5であっても実は4だった、というケースも珍しくありません。表記が見えない靴を検討する際は、出品者や店員さんに実寸を測ってもらうのが一番安心ですね。
関連記事:トリッカーズの偽物の見分け方【ロゴデザイン・製法の甘さ・おすすめ購入先】
UKサイズ特有のハーフサイズ表記の見方

トリッカーズのサイズ表記で、多くの人が最初に「おや?」と首を傾げるのが、ハーフサイズの表し方です。一般的な「6.5」や「7.5」といった小数点を用いた表記はあまり使われず、数字の横に小さくアルファベットの「h」を添えるのがトリッカーズ流の伝統的なスタイルです。
この「h」は「half(ハーフ)」の頭文字を筆記体で崩して書いたもので、一見すると数字の「6」や、ただの波線のように見えることもあります。例えば「7h」と書かれていれば、それは「7.5(7ハーフ)」を意味します。
この独特な書き方は、靴の聖地ノーザンプトンで古くから受け継がれてきた職人文化の名残であり、一足一足が手作業で仕上げられていることを象徴するディテールの一つでもあります。これを知らずに「76」とか「7b」などと読み間違えてしまうと、全く違うサイズの靴を選んでしまうことになるので注意が必要ですね。
最近のモデルや一部のショップ別注品では、分かりやすく「7 1/2」や「7.5」と打刻されていることも増えてきましたが、やはりカントリーシリーズの王道を行くモデルには、今でもこの「h」表記がよく似合います。
この表記をさらっと読み解けるようになると、いかにも「トリッカーズを分かっている人」という感じがして、少し誇らしい気持ちになれるかもしれません。サイズ選びの際は、この小さな「h」の有無をしっかり確認して、0.5刻みの絶妙なフィット感を追求してみてください。
メンズとレディースにおけるワイズの設計差

トリッカーズにおける「フィッティング」という項目は、私たちが普段「ワイズ(幅)」と呼んでいるものに相当します。
数字が大きくなるほど、靴の内部容積(幅と甲の高さ)が大きくなる設計です。ここで特に注意したいのが、メンズとレディースで標準とされる数値が異なる点です。
| フィッティング番号 | ターゲット層と設計意図 | 一般的なワイズ換算 |
|---|---|---|
| フィッティング 4 | レディースの標準。 メンズではかなりタイトな作り | 英国D / 米国C 相当 |
| フィッティング 5 | メンズの標準仕様。カントリーの主流 | 英国F / 米国D 相当 |
| フィッティング 6 | ワイド設計。幅広・甲高の足型に最適 | 英国G / 米国E 相当 |
メンズモデルの多くは「フィッティング5」を採用していますが、日本で流通しているレディースモデルは「フィッティング4」が一般的です。
もし男性がオークションなどで「サイズがちょうど良さそうだから」と安易にレディースモデルのサイズを選んでしまうと、足長は合っていても幅が狭すぎて激痛に耐えられない、という事態になりかねません。逆に、足が極端に細い男性があえてフィッティング4を選ぶという高等テクニックもありますが、基本的には自分の性別向けの設計かどうかをチェックするのが定石です。
また、ごく稀に「フィッティング6」というワイドな個体も見かけます。これは足幅が非常に広い方や、厚手のソックスを常用するハンティング仕様のモデルに多いです。
自分の足がどちらかと言えば「甲高・幅広」だと自覚しているなら、標準の5ではなく、あえて6を探してみるのも一つの戦略ですね。自分の足型がどのフィッティングに適しているかを知ることは、長時間の歩行でも疲れないトリッカーズライフへの第一歩と言えます。
定番カントリーブーツのストウに合うサイズ感

トリッカーズといえば、真っ先に思い浮かぶのがカントリーブーツの「ストウ(Stow)」ですよね。このモデルには、古くから愛されている「4497S」というラスト(木型)が使用されています。この4497Sラストは、トリッカーズのラインナップの中では非常にバランスの取れた、いわば「黄金の木型」です。
履いた時の印象は、つま先周りに適度なゆとりがありつつも、土踏まずからかかとにかけてはしっかりとホールドしてくれる、質実剛健な英国靴らしいフィッティングです。
他の英国ブランド、例えばチャーチやチーニーなどでUK7を履いている方なら、ストウでも同じUK7を選べば、厚手の靴下を履いてちょうど良いか、あるいは薄手の靴下で少しゆとりがあるくらいのサイズ感になります。極端に大きかったり小さかったりすることが少ないため、トリッカーズ入門者にとってもサイズ選びの基準にしやすいモデルだと言えますね。
ただし、一点注意したいのが「足首周りのホールド感」です。ブーツタイプなので、紐をしっかり締め上げることで多少のサイズ誤差はカバーできてしまいますが、羽根が完全に閉じてしまって(いわゆる「全閉じ」状態)、それでも足が中で動いてしまうようであれば、それはサイズが大きすぎます。
履き込むほどに革が馴染み、中底が沈み込むことを考えると、新品の状態では「どこにも痛みはないけれど、全体的にぴったりと密着している」という感覚が理想的です。ブーツ特有の重厚感を活かすためにも、ジャストサイズを見極めて格好良く履きこなしたいところですね。
短靴バートンの4444ラスト特有のボリューム

カントリーシューズの代表格「バートン(Bourton)」を検討している方は、ここが最大の注意点です。バートンに使用されている「4444ラスト」は、先ほどのストウとは全く別物のサイズ感を持っているからです。
一言で言えば、とにかく「デカい」んです!
これはトリッカーズの中でも最大級の内部容積を誇るラストで、幅も高さもかなり余裕を持たせて設計されています。なぜこれほど大きいのかというと、もともと英国の田舎道や農場での使用を想定しており、防寒のために極厚のウールソックスを履くことが前提となっているからです。
そのため、私たちが普段履くようなカジュアルソックスやビジネスソックスで合わせようとすると、同じUKサイズ表記でも「ブカブカで話にならない」という状況になりがちです。
一般的には、「ストウ(4497S)よりもハーフサイズ、あるいは1サイズ下」を選ぶのがバートン選びの鉄則とされています。例えば、ストウでUK8がぴったりの人なら、バートンはUK7.5、人によってはUK7でも十分な場合があります。
私自身、初めてバートンを試着したときは、そのあまりの大きさに「これ、表記ミスじゃないの?」と疑ったほどです。しかし、このボリューム感こそがバートンの魅力でもあります。丸みを帯びた力強いシルエットは、ワイドパンツやデニムとの相性が抜群です。
サイズを下げて選ぶことで、踵の浮きを抑えつつ、この4444ラスト特有のどっしりとした佇まいを楽しむことができます。もしあなたが初めてバートンを買うなら、「いつものサイズ」という固定観念は一度捨てて、ワンサイズ下から攻めてみることを強くおすすめします。
関連記事:トリッカーズのバートンのサイズ感ガイド【失敗しない選び方、スニーカーや他ブランドと比較】
失敗を避けるトリッカーズのサイズ表記と選び方

さて、基本のルールとモデルごとの特徴が分かったところで、ここからは「自分の足とどう向き合うか」という、より実践的なサイズ選びのテクニックに踏み込んでいきましょう。
理想の靴を選ぶ日本サイズへのcm換算の目安

トリッカーズのサイズを日本の「cm」表記に無理やり当てはめようとすると、混乱を招くことがよくあります。
なぜなら、日本の靴サイズ(JIS規格)は「足の実寸」を基準にしているのに対し、英国のUKサイズは「木型の全長」を基準にしているからです。木型には必ず「捨て寸(つま先の余白)」が含まれているため、数値のズレが生じるのは当然なんですね。
※モデル(ラスト)によってここから0.5cm程度の調整が必要です。
失敗しないためのコツは、まず自分の足の実寸を正確に知ることです。壁にかかとをつけて、一番長い指の先までの長さを測ってみてください。例えば実寸が25.8cmの人であれば、UK7(25.5cm〜26.0cm相当)がベースラインになります。ここから、ストウならそのままUK7、バートンならハーフ下げてUK6.5、といった具合に微調整していくのが最も確実な方法です。
ちなみに、英国の靴サイズ規格については、歴史的な背景も含めて専門的な定義が存在します。より深く靴の設計思想を知りたい方は、国際的なサイズ規格の変遷などを参照してみるのも面白いですよ(出典:Tricker’s Official Size Guide)。
「自分の足の実寸に近い数値を選ぶ」という基本さえ守れば、トリッカーズ特有の捨て寸設計が味方して、つま先が詰まるような不快感なしにジャストフィットを見つけられるはずです。
愛用スニーカーのサイズと比較する際の注意点

初めてトリッカーズを購入する際、多くの方が陥りやすい最大の罠が、「普段履いているスニーカーと同じサイズ感で選んでしまうこと」です。例えば「ナイキのエアフォース1で27.0cmだから、トリッカーズも27.0cm相当(UK8.5程度)にしよう」と考えると、十中八九、大きすぎて失敗してしまいます。
実は、スニーカーと本格革靴では、サイズの捉え方が1.0cm以上も違うことがザラにあります。これには明確な理由があるんです。スポーツブランドのスニーカーは、足を保護するために履き口やタンのクッションが非常に厚く作られています。そのため、表記されている数字(外側の大きさ)に対して、実際に足が入る「内部容積」がかなり小さめに設計されているんですね。
具体的な目安として、普段愛用しているスニーカーサイズから「どれくらい下げるべきか」を以下の表にまとめました。自分のサイズと照らし合わせてみてくださいね。
| 普段のスニーカーサイズ | ストウ(4497S)の推奨 | バートン(4444)の推奨 |
|---|---|---|
| 26.5cm | UK 7.5 (25.5cm相当) | UK 7.0 (25.0cm相当) |
| 27.0cm | UK 8.0 (26.0cm相当) | UK 7.5 (25.5cm相当) |
| 27.5cm | UK 8.5 (26.5cm相当) | UK 8.0 (26.0cm相当) |
| 28.0cm | UK 9.0 (27.0cm相当) | UK 8.5 (26.5cm相当) |
基本の計算式としては、「スニーカーサイズからマイナス1.0cm、ゆったりしたバートンならマイナス1.5cm」を目安にすると、大きな誤差は防げます。私自身、スニーカーはゆったり履きたい派なので27.5cmを選びがちですが、トリッカーズのバートンに関してはUK7.5(26.0cm相当)がジャストフィットです。
踵(かかと)の浮きは厳禁!
スニーカーは多少大きくても紐で縛ればそれなりに歩けますが、トリッカーズのような重厚な革靴はそうはいきません。サイズが大きすぎると、歩くたびに踵がパカパカと浮いてしまい、激しい靴擦れや足の疲れの原因に直結します。
せっかくの高級靴を台無しにしないためにも、スニーカーサイズはあくまで「自分の足がだいたいこれくらい」という緩い目安程度に考え、革靴としての適正サイズを慎重に探ってみてください。
リーガルなど他ブランドのワイズと比較した特徴

国内ブランドで最も馴染み深い「リーガル(REGAL)」と比較すると、トリッカーズのサイズ感がより鮮明に見えてきます。リーガルのビジネスシューズは、日本人の足型に合わせて「EEE」という非常に幅広なワイズを標準としていることが多く、これは海外ブランドの中ではかなり特殊な部類に入ります。
もしあなたがリーガルの25.5cm(EEE)を愛用していて、「幅はぴったりだけど、つま先が少し余るかな」と感じているなら、トリッカーズのバートン(4444ラスト)のUK 7.5はかなり親和性が高いはずです。
バートンのゆったりとした幅広感は、リーガルの快適な履き心地に近いものがあるからです。一方で、同じトリッカーズでもストウやドレスラインのモデルになると、リーガルほどの幅の広さは感じられないかもしれません。その場合は、ハーフサイズ上げるか、フィッティング6(ワイド設計)を探す必要が出てきます。
また、同じ英国靴の「チャーチ(Church's)」と比較した場合、トリッカーズの方が全体的に無骨で、土踏まずの絞り込みも緩やかな傾向にあります。チャーチでUK7のFワイズが少しきついと感じる方でも、トリッカーズのフィッティング5ならストレスなく履けるというケースも多いですね。
ブランドごとの「標準」の違いを理解しておくことで、試着ができない環境でも、手持ちの靴をベンチマークにして最適なサイズを導き出せるようになりますよ。
コルクが沈み込む過程を見越したフィッティング

トリッカーズの真の履き心地は、新品のときではなく「履き始めてから半年後」に完成すると言っても過言ではありません。その秘密は、グッドイヤーウェルト製法という構造にあります。中底(インソール)のすぐ下には、クッション材として本物のコルクがぎっしりと詰められており、これが履き込むうちにあなたの体重で圧縮され、足の形に沿って凹んでいくんです。
【重要】「楽なサイズ」を選んではいけない理由
新品の状態で「どこも締め付けがなくて楽だな」と感じるサイズを選んでしまうと、数ヶ月後にコルクが沈み込み、革が馴染んで伸びた際、靴の内部がスカスカになってしまいます。そうなると靴の中で足が前後左右に動いてしまい、歩行が不安定になるだけでなく、靴の寿命を縮める原因にもなります。
理想的なのは、新品の状態で「全体的に心地よい圧迫感があり、どこも痛くはないけれど隙間もない」というフィット感です。最初は少し修行のような硬さを感じるかもしれませんが、それを乗り越えた先には、あなたの足型を完全に記憶した「世界に一足だけの特等席」が待っています。
この沈み込み(およそ2〜3mm程度)をあらかじめ計算に入れてサイズを選ぶことこそ、本格革靴選びの醍醐味であり、失敗しないための最大の秘訣です。焦って大きなサイズを選ばず、未来のフィット感を信じてジャストサイズを攻めてみてください。
インソールの刻印でUSサイズと判別する方法

トリッカーズは英国ブランドなので基本はUK表記ですが、世界中で愛されているがゆえに、たまに「US(米国)表記」の個体が紛れ込んでいることがあります。
USサイズはUKサイズよりも数字が「0.5〜1.0」ほど大きく表記されるため(例:UK8 = US9)、これを取り違えると致命的なサイズミスになります。箱があれば判別しやすいのですが、中古品などで靴本体しか手掛かりがない場合は、インソール(中敷き)の下をチェックするのが最も確実な方法です。
少し勇気がいりますが、踵側のインソック(ブランドロゴが書かれた半敷き)をめくってみると、その下の本体部分に製造工程で刻印されたサイズ情報が見つかることがあります。
ここに「8」と刻印されているのに、ライニングの書き込みや販売時の説明が「9」となっていれば、それはUS表記に書き換えられた輸出用モデルである可能性が極めて高いです。また、モデルによっては中敷き全体を剥がさないと見えない場合もあり、その作業は靴を傷めるリスクがあるため、無理は禁物です。
不安な場合は、その靴がどのショップで販売されていたものかを確認するのも手ですね。アメリカのセレクトショップ別注品などはUS表記になっていることが多いです。
ネットでの購入時は、出品者に「インソールの刻印とライニングの表記に相違はないか」を確認してみるのが、トラブルを未然に防ぐ賢いやり方です。最終的な判断に迷ったら、信頼できる修理店や専門店に持ち込んで鑑定してもらうのが一番安心ですよ。
自分に合うトリッカーズのサイズ表記を選ぶ結論
ここまで、トリッカーズのサイズ表記という深くて面白い世界を一緒に探検してきましたが、いかがでしたでしょうか。最後に、理想の一足に出会うためのポイントをまとめておきますね。
まず、自分の「足の実寸」を基準にすること。そして、カントリーブーツのストウ(4497Sラスト)なら標準的なUKサイズを、短靴のバートン(4444ラスト)ならそこからハーフサイズからワンサイズ下を検討すること。
この2点さえ押さえておけば、大きな失敗をすることはまずありません。トリッカーズの靴は、正しく選べば10年、20年と寄り添ってくれる最高の相棒になります。履き始めの硬い革が、いつの間にか自分の体の一部のように馴染んでいく感覚は、一度味わうと病みつきになりますよ。
