こんにちは!革の小部屋管理人の小次郎です!
革靴好きなら一度は憧れる存在、それがトリッカーズのカントリーブーツですよね。でも、いざ手に入れてみるとその独特のボリューム感や華やかな装飾をどう活かせばいいか迷ってしまうこともあるはずです。
トリッカーズのカントリーブーツのコーデにお悩みの方や、ストウやバートンのサイズ感、さらには長年履き込んだ際のエイジングの様子が気になるという声をよく耳にします。
中には履き始めが痛いと感じて、せっかくの靴を敬遠してしまう方もいるかもしれません。
そこで今回は、私が実際に触れて感じたトリッカーズの魅力をもとに、失敗しない着こなしのコツや、長く愛用するための正しい手入れの方法を分かりやすくまとめてみました。これを読めば、あなたの足元がもっと素敵に、そして快適になるはずですよ!
トリッカーズのカントリーブーツでコーデを格上げする基礎知識

トリッカーズを履きこなすためには、まずその靴がどのような背景で作られ、どのような構造をしているかを知ることが近道です。ここでは、コーデの土台となる基礎知識を深掘りしていきましょう。
英国王室御用達の歴史と堅牢なグッドイヤーウェルト製法
トリッカーズは、1829年に靴作りの聖地として名高いイギリスのノーザンプトンで産声を上げた、現存する世界最古のシューメーカーの一つです。
その実力は折り紙付きで、チャールズ国王(当時は皇太子)よりロイヤルワラント(王室御用達)を授かっているという事実が、その格式の高さを物語っていますね。

カントリーブーツという名前の通り、もともとは英国の貴族たちがカントリーサイドでの狩猟や散策といった「野外活動」を楽しむために開発されました。そのため、現代の華やかな見た目とは裏腹に、その本質は極めてタフな「ギア」としての側面を持っています。
そのタフさを支えているのが、伝統的な「グッドイヤーウェルト製法」です。アッパーとソールを直接縫い付けず、ウェルトと呼ばれる細い革の帯を介して縫い合わせるこの手法は、何度もソールの張り替えができるのが最大のメリット。
10年、20年と履き続けることで、自分の足の形にコルクが沈み込み、世界に一つだけのフィット感が完成します。また、雨の多い英国の気候にも耐えられるよう、水の侵入を防ぐ「ストームウェルト」が採用されている点も、実用性を重んじるトリッカーズらしいポイントですね。
(出典:Tricker's公式Webサイト『ABOUT US』)
ストウとモールトンの違いや定番ラストの形状を解説

トリッカーズのカントリーブーツを語る上で避けて通れないのが、「ストウ(STOW)」と「モールトン(MALTON)」という2つのモデルです。実はこれ、見た目はほぼ同じで、どちらも7つの紐穴(アイレット)を持つアンクルブーツ。
| 項目 | ストウ(STOW) | モールトン(MALTON) |
| 共通のデザイン | 7アイレット(紐穴)、フルブローグ(穴飾り) | ← 左に同じ |
| 歴史的な違い | 主にアニリンカーフ(なめらかな革)を使用 | 主にシーシェイド・ゴース(厚手でタフな革)を使用 |
| 現在の状況 | 現在では革の種類を問わず、広くこの名称が使われています | ストウと同様に扱われますが、カントリーブーツの伝統的呼称です |
なぜ名前が分かれているかというと、主に「使われている革の種類」によって呼び分けられてきた歴史があるからなんです。現在ではそれほど厳密に区別されなくなっていますが、どちらもトリッカーズの象徴であるフルブローグ(穴飾り)が施された、重厚感たっぷりの佇まいをしています。
ここで着こなしにおいて非常に重要になるのが、木型(ラスト)の形状です。これらのブーツの多くには「4497S」というラストが採用されています。この木型の特徴を一言で表すと、「ボリュームがあるのにスッキリ見える」という魔法のようなバランスです。
つま先部分には程よいゆとりがあり、指先が圧迫されにくい設計なのですが、甲の部分は比較的低めに抑えられているため、足を通すと案外シャープなラインを描きます。
この「丸っこいけれど平べったい」独特のシルエットこそが、太めのデニムから細身のジャケパンスタイルまで、幅広いコーデを格上げしてくれる秘密なんですね。自分の足の特徴を理解しながら、この4497Sラストの美しさをどう見せるかを考えるのが、トリッカーズ攻略の第一歩かなと思います。
バートンやアンなど短靴モデルが持つ通年での汎用性

「ブーツは夏場に履くのがちょっと大変……」という方に強くおすすめしたいのが、短靴モデルの代表格「バートン(BOURTON)」です。カントリーブーツの意匠をそのままローカットに落とし込んだこのモデルは、着脱のしやすさはもちろんのこと、通年での使い勝手が抜群に良いのが特徴。
特に軽やかな服装が増える春夏シーズンにおいて、足元にバートンを持ってくるだけで、コーディネート全体がグッと引き締まります。また、レディースモデルの「アン(ANNE)」も、その愛らしいフォルムから女性ファンが非常に多い一足ですね。
ワンピースやロングスカートといったガーリーな装いに、あえてゴツめのトリッカーズを合わせる「ハズし」のテクニックは、おしゃれ上級者の間で定着しています。
バートンに使われるラストは、ブーツ用の4497Sとは異なり、主に「4444」という木型が使われます。このラストは4497Sよりもさらに幅広で、踵(かかと)が少し浅めの設計。上から見ると、どっしりとしたドーム状の丸みが強調されており、ブーツ以上に「力強さ」を感じさせるシルエットになっています。
この圧倒的な存在感があるからこそ、ワイドパンツや軍パンといったボリュームのあるボトムスと合わせても、足元が負けることなく絶妙なバランスを保てるわけです。夏はハーフパンツに柄ソックスを合わせて、バートンを際立たせるなんてスタイルも、個人的にはすごく格好いいなと感じます。
エイコンやマロンなどカラー別のスタイリング適性

トリッカーズを選ぶ際の最大の楽しみであり、悩みどころでもあるのがカラー選びですよね。定番の「エイコンアンティーク(Acorn Antique)」は、どんぐりという意味を持つ明るい茶色。
この色は非常に華やかで、カントリーブーツらしい装飾性が最も際立ちます。冬のダークトーンになりがちなコーデの差し色として機能し、明るい印象を与えてくれます。一方で、少し赤みのある深い茶色の「マロンアンティーク(Marron Antique)」は、20年、30年と履き込んだ際の変化が最も美しく、アンティーク家具のような重厚なツヤを楽しめる玄人好みの色ですね。
より落ち着いた印象を求めるなら、焦げ茶色の「エスプレッソ(Espresso)」が最適。
ネイビーのスラックスや濃紺のデニムといったブルー系のボトムスとの親和性が高く、誠実で頼もしい大人の男性像を演出してくれます。以下の表に、各カラーの特性をまとめてみましたので、自分のクローゼットにある服の色味を思い出しながらチェックしてみてください。
| カラー名 | 視覚的印象 | おすすめのボトムス素材 | スタイリングのポイント |
|---|---|---|---|
| エイコンアンティーク | 軽やか・華やか | 明るめのデニム、ベージュチノ | 柄物ソックスを合わせて遊び心を演出 |
| マロンアンティーク | 王道・渋み | インディゴデニム、軍パン | 使い込んで深い濃淡を楽しむ |
| エスプレッソ | 誠実・シック | ネイビースラックス、グレーウール | ジャケパンスタイルで上品にまとめる |
| ブラック | 洗練・都会的 | ホワイトパンツ、ブラックデニム | 白ソックスで清潔感をプラス |
最初の一足は黒色が使いやすく無難でおすすめな理由

「トリッカーズといえば茶色」というイメージが定着していますが、私はあえて最初の一足に「ブラック(Black)」を推したいと考えています。その理由は、黒を選ぶことでカントリーブーツ特有の「カントリー感(土臭さ)」が適度に中和され、都会的なファッションに格段に馴染みやすくなるからです。
茶系のカントリーブーツはどうしてもカジュアルな印象が強くなり、合わせる服を選んでしまうことがありますが、黒ならモードな装いから、きれいめのビジネスカジュアルまで、驚くほど守備範囲が広くなります。
特にブラックのバートンやストウに、清潔感のあるホワイトのソックスを合わせるスタイルは、今や定番。重厚な黒い靴からチラリと覗く白が、重たくなりがちな足元に軽やかさと品の良さを与えてくれます。また、ブラックレザーは手入れ次第で強い光沢を出すことも可能なので、ドレスシューズのような感覚で履きこなすこともできるんですよね。
インディゴのデニムと合わせれば、無骨なワークスタイルの中にも洗練された雰囲気が漂います。「せっかく高い買い物をするのだから、できるだけ毎日履きたい」という方にとって、ブラックは最も失敗が少なく、かつ長く楽しめる無難で最高の選択になるはずです。
トリッカーズのカントリーブーツのコーデに合うボトムスと着こなし

さて、ここからはより実践的な内容に入っていきます。トリッカーズはそのボリューム感ゆえに、ボトムスの丈感やシルエット選びにちょっとしたコツが必要なんです。私のおすすめスタイルを詳しく見ていきましょう。
デニムのロールアップで魅せる無骨なジャケパンスタイル
トリッカーズとデニムの相性は、もはや説明不要の「最強コンビ」です。しかし、ただ履くだけではもったいない。ここで意識してほしいのは、デニムを少し太めに、あるいは数回しっかりロールアップして、ブーツのシャフト(筒部分)や華やかなブローギングを惜しみなく露出させることです。

トリッカーズのブーツは、足首から立ち上がるラインが非常に美しいため、裾で隠してしまうと全体のバランスが重たくなってしまいます。あえて足首周りを見せることで、靴の存在感が強調され、メリハリの利いたスタイリングになります。
この無骨な足元に対し、あえて上半身にはネイビーのブレザーやツイードのスポーツジャケットを持ってくるのが「大人のジャケパンスタイル」の真骨頂。ラフなデニムと、格式高いトリッカーズ、そして端正なジャケット。この異なる要素が混ざり合うことで、単なるカジュアルとは一線を画す、洗練された大人の色気が生まれます。
デニムの色は、濃紺のままであればクリーンに、履き古したアイスブルーならよりカントリーらしい雰囲気が楽しめます。どちらにせよ、「靴を主役にする」という意識を持ってロールアップの幅を調整してみてくださいね。
チノパンやホワイトボトムスで作る英国トラッドスタイル
「英国紳士」のような雰囲気を手軽に楽しみたいなら、チノパンやコットンパンツとの組み合わせがベストです。特にマロンアンティークやエイコンのブーツに、ベージュやカーキのチノパンを合わせるスタイルは、トリッカーズの出自を感じさせるタイムレスな美しさがあります。

ここでのポイントは、パンツのシルエットを少しテーパード(裾に向かって細くなる形)にすること。そうすることで、ボリューミーなトリッカーズが足元でドシッと鎮座し、全体のシルエットが綺麗にまとまります。
さらに近年、私が注目しているのが「ホワイトボトムス」との組み合わせです。真っ白、あるいは少しオフホワイトのパンツに、あえて重厚なカントリーブーツを合わせる。
このコントラストは非常に現代的で、清潔感と男らしさが同居する絶妙なバランスを生みます。ホワイトパンツは汚れが気になる……という方もいるかもしれませんが、使い込まれたトリッカーズの深いツヤがあれば、パンツの白さがより一層引き立ち、非常にリッチな印象を与えてくれます。
春夏なら、アンクル丈の白いパンツにバートンを合わせることで、軽やかさと重厚感を両立させた、まさに「UKトラッドの進化系」とも言えるスタイルが完成しますよ。
軍パンやベイカーパンツで演出する男らしい抜け感
トリッカーズの持つ「道具としての美しさ」を最大限に引き出してくれるのが、軍パン(カーゴパンツ)やベイカーパンツといったミリタリー由来のボトムスです。オリーブやカーキといったアースカラーと、茶系のレザーは色彩理論的にも非常に相性が良く、互いの魅力を引き立て合います。
軍パンは生地がタフなので、トリッカーズの分厚いソールやゴツいアッパーと質感のバランスが取れるんですよね。細身のパンツだと靴が強調されすぎて「デカ足」に見えてしまうことがありますが、軍パンのゆったりしたシルエットなら、その心配もありません。
今っぽく着こなすコツは、裾をあえてルーズにしたり、あるいはドローコードで絞ってブーツに被せたりして、「抜け感」を作ること。

あまりにきっちり履きすぎると本物の兵隊さんのようになってしまうので、トップスには柔らかなニットや明るい色のシャツを合わせて、優しさをプラスするのが小次郎流のポイントです。
春夏シーズンなら、ベイカーパンツを思い切りロールアップして、くるぶしを見せながら重厚なバートンを履く。この「重い靴 × 軽い足元」のギャップこそが、こなれ感を演出する秘訣かなと思います。ミリタリーの無骨さを、トリッカーズの気品が上手に中和してくれる、そんな相乗効果を楽しんでみてください。
スラックスと合わせて大人の余裕を感じさせるメンズスタイリング
意外に思われるかもしれませんが、トリッカーズはスラックスとも非常に相性が良いです。ただし、冠婚葬祭用の礼服のようなスラックスではなく、少し起毛感のあるウールフラノやツイード、あるいは厚手のコットン素材のものを選ぶのが成功の鍵。
カントリーブーツのボリュームに負けない素材感のパンツを選ぶことで、足元だけが浮いてしまうのを防ぐことができます。色はミディアムグレーやチャコールグレー、ネイビーなどがおすすめ。

これにエスプレッソやブラックのトリッカーズを合わせれば、ビジネスシーンでも通用する、知的で余裕のあるスタイリングが完成します。
このスタイルは、例えば冬場のデートや、少し良いレストランに行く際などにぴったりです。ドレスシューズほど堅苦しくなく、スニーカーほどカジュアルすぎない。「分かっている大人の選択」として、トリッカーズのスラックス合わせをぜひマスターしてほしいですね。
季節別のバブアーや冬の厚手ニットとの重厚なペアリング

トリッカーズが最も輝く季節、それは間違いなく秋冬です。そして、その相棒としてこれ以上のものはないと言えるのが、英国が誇るもう一つの名門「バブアー(Barbour)」のオイルドジャケットです。
バブアーの独特なワックスコットンの質感と、トリッカーズのエイジングされたレザーの質感は、まるで最初からセットで売られていたかのような統一感を生みます。インナーには、アランニットのような編み目の大きな厚手のニットを仕込みましょう。上半身にボリュームを持たせることで、足元のカントリーブーツとの重量バランスが整い、視覚的な安定感が生まれます。
また、冬場は小物の使い方もポイント。マフラーやグローブに英国的なチェック柄(タータンチェックやブラックウォッチなど)を取り入れると、トリッカーズの世界観とリンクして、より深みのあるコーディネートになります。
さらに、春先には軽めのステンカラーコートやトレンチコートにバートンを合わせることで、重厚感を残しつつも軽やかな「都会的サファリスタイル」を作ることも可能です。季節ごとに異なる表情を見せてくれるトリッカーズは、一足持っておくだけで、毎朝の服選びをワクワクさせてくれる。そんな魔法のような靴なんですよ。
靴下選びやサイズ感の調整で楽しむ自分だけのエイジング

最後にお伝えしたいのは、トリッカーズを「自分の足の一部」にするためのフィッティングとメンテナンスのお話です。トリッカーズを初めて履く際、多くの方が「硬い」「痛い」という、いわゆる「修行期間」を経験します。
これを乗り越えるためには、まず最初のサイズ選びで絶対に妥協しないこと。一般的にはつま先に1cm〜1.5cm程度の捨て寸が必要ですが、トリッカーズは木型の特性上、踵が浮きやすい傾向があります。そのため、長さだけでなく「踵のホールド感」を最優先に選ぶのが失敗しないコツです。
もし履いていくうちに革が伸びて緩くなってしまったら、厚手のウールソックスを履くか、インソールで微調整しましょう。特にアーガイル柄やビビッドなカラーのソックスは、トリッカーズの穴飾りの隙間からチラッと見えた時や、座った時にパンツの裾から覗いた時、非常に良いアクセントになります。

手入れについては、神経質になりすぎる必要はありません。月1回程度のブラッシングと、数ヶ月に1回のクリーム補給で十分。むしろ、多少の傷や雨シミさえも「味」として受け入れるのがカントリーブーツの正しい楽しみ方です。
5年、10年と経つうちに刻まれる深い履き皺は、あなたがトリッカーズと共に歩んできた歴史そのもの。そのエイジングこそが、どんな新品の高級靴にも勝る、最高のコーディネートの完成系なのだと私は信じています。
伝統と現代性が融合するトリッカーズのカントリーブーツのコーデ
ここまで、トリッカーズのカントリーブーツを軸としたスタイリング理論について、私の想いを込めて詳しくお伝えしてきました。
英国の伝統に根ざしながらも、現代のカジュアルからドレススタイルまで、驚くほど自由に楽しめるのがトリッカーズの真の魅力です。デニムで無骨に、スラックスで上品に、軍パンでラフに。どんなボトムスと合わせても、足元にこの靴があるだけで、その日の装いに「背骨」が通ったような、ピシッとした安心感が得られるはずです。
最初は少し手のかかる相棒かもしれませんが、適切なサイズ選びと愛情を持ったメンテナンスを施せば、20年後にはあなたにしか履きこなせない、世界で最も格好いい靴へと成長してくれます。
この記事が、あなたのトリッカーズ選びやコーディネートのヒントになれば、これほど嬉しいことはありません。ぜひ、あなただけの「一生モノのスタイル」を、この素晴らしい一足と共に築き上げていってくださいね。
