こんにちは!革の小部屋管理人の小次郎です!
新しい靴を選ぶとき、つい革靴を大きめで買うことで足の痛みを避けようとしていませんか。実はスニーカーと同じ感覚でサイズ感を選んでしまうと、リーガルのようなブランドでは特に失敗しやすくなるんです。
つま先の捨て寸をサイズが大きいと勘違いしたり、履き込むうちに起きる沈み込みを計算に入れなかったりすることで、結果的に深刻な靴擦れやかかとパカパカの状態を招いてしまうことも少なくありません。
今回は、なぜ革靴を大きめで買うのがおすすめできないのか、その理由と万が一の調整方法について私と一緒に詳しく見ていきましょう。
革靴を大きめで買うのが失敗の元になる理由

革靴選びで多くの人が「大きめ」を選んでしまうのには、明確な理由があります。
しかし、その親切心が実は足の健康や靴の寿命を縮めているかもしれません。ここでは構造的な視点から、なぜサイズ選びに乖離が生まれるのかを解き明かします。
スニーカーとのサイズ感の違いを知る
私たちが普段履いているナイキやアディダスといったスポーツブランドのスニーカーと、ビジネス用の本格的な革靴では、サイズの「測り方」そのものが根本から違うんです。
スニーカーの多くは、靴そのものの内寸や木型(ラスト)の全長を基準にしていることが多く、さらに内部には厚手のクッションパッドやライニングがぎっしり詰まっています。
そのため、足の実寸よりも0.5cmから1.5cmほど大きな表記のものを履くのが、スニーカー文化の中では一般的ですよね。その感覚に慣れきっているため、自分のサイズは27.0cmだと思い込んでいる方が非常に多いかなと思います。
一方で、日本の伝統的な革靴の多くは、JIS(日本産業規格)に基づいた「足入れサイズ」という考え方で表記されています。

これは「足の全長が25.0cmの人が履くことを想定して作られた靴」を25.0cmと呼ぶ方式です。つまり、靴の内部にはあらかじめ歩行に必要な「捨て寸」と呼ばれる余裕があらかじめ設計として組み込まれているんです。
この前提を知らずに、スニーカーと同じ27.0cmの革靴を選んでしまうと、実質的に28.5cm相当の巨大な箱の中に足を突っ込んでいるような状態になり、致命的なオーバーサイズとなってしまいます。この「表記ルールのパラダイムシフト」を理解することが、失敗しない靴選びの第一歩ですね。(出典:日本産業標準調査会JIS S 5037「靴のサイズ」)
リーガルの靴はスニーカーより大きめの設計
日本のビジネスマンの味方であるリーガルですが、実はサイズ感がかなり独特であることをご存じでしょうか。リーガルの靴は前述したJIS規格に極めて忠実、あるいはモデルによってはそれ以上にゆったりと作られていることが多く、一般的なスニーカーのサイズから「マイナス1.0cmから2.0cm」引いた数字が適正になることが本当によくあります。
例えば、普段スポーツブランドのスニーカーで27.5cmを履いている方でも、リーガルの定番である2504や2589といったモデルでは25.5cmがジャストフィットになるなんてことが普通に起きるんです。
初めてリーガルの店舗へ行く方は、店員さんに提案された数字を見て「そんなに小さいはずがない!」と驚くかもしれません。しかし、リーガルは日本人の足型(甲高幅広)を徹底的に研究しており、甲周りに十分なボリュームを持たせています。
ここでいつもの癖でリーガルの革靴を大きめで買うようなことをしてしまうと、靴紐を締める左右のパーツ(羽根)が中心でピタッと閉じきってしまい、それ以上締められなくなってしまいます。
これを「羽根が閉じる」と言いますが、こうなるともうホールド感はゼロ。足が靴の中で遊んでしまい、歩くたびにエネルギーをロスする疲れやすい靴になってしまいますよ。
つま先の捨て寸をサイズが大きいと誤解する罠

新しい靴を試し履きしたとき、つま先を指で押してみて1.5cm程度の隙間があると「あ、この靴は自分には大きいな。ワンサイズ下げよう」と感じる方が多いようです。この隙間を「捨て寸(すてすん)」と呼びますが、これは革靴にとって絶対に無くてはならない工学的な空間なんです。
歩行中、私たちの足はアーチが体重で潰れることで、一歩ごとに数ミリから1センチほど前後に伸び縮みしています。もしこの捨て寸がなかったら、踏み出すたびに指先が硬い芯の入った靴の先端に激突し続けることになります。これが続くと爪下出血で爪が黒くなったり、巻き爪が悪化したり、あるいはハンマートゥという指の変形を招くこともあるんです。
多くのユーザーは、つま先に空間があることを「サイズが合っていない」とネガティブに捉えてしまいがちですが、実はその空間こそが足の健康を守るシェルターの役割を果たしています。
大切なのは、つま先に余裕があることではなく「土踏まずから踵にかけてのラインが、自分の足の形に吸い付くようにフィットしているか」です。指先は自由に動かせるけれど、甲の絞りやかかとの食いつきで足全体がロックされている。
そんな状態が理想のフィッティングと言えるかなと思います。捨て寸をサイズが大きいと誤解してサイズを下げすぎると、今度は「指が曲がったまま固定される」という別の悲劇が始まってしまうので注意が必要ですね。
痛いのが嫌で大きめを選んだ結果起きる靴擦れ
「革靴は素材が硬いから、少し余裕があったほうが足が痛くないはずだ」という優しげな考え方は、残念ながら生体力学的には逆効果になることがほとんどです。実は靴擦れの最大の原因は、靴が小さいことによる圧迫ではなく、靴が大きすぎることによって生じる摩擦にあります。
サイズが大きい靴を履くと、歩くたびにかかとが靴の中で上下に激しく擦れる「ピストニング(踵の浮き)」が発生します。この繰り返される摩擦によって熱が発生し、皮膚の層が剥離して組織液が溜まる。これが痛い水ぶくれ(マメ)の正体です。
また、大きな靴は足が前方に突っ込みやすいため、一番幅の狭いつま先部分に指が無理やり押し込まれることになります。これを「前滑り」と呼びますが、これが起きると外反母趾の痛みが強まったり、指の関節が靴の天井に擦れてタコができたりします。
痛みを避けるために勇気を出して(?)革靴を大きめで買うという選択が、実は一番痛い思いをするための特急券になってしまうのは、本当にもったいない話ですよね。最初は「万力締め」とまでは言わなくても、足全体が優しく、かつしっかりと包み込まれるようなタイトさを感じるくらいが、結果的に肌へのダメージが最も少ないジャストサイズであることが多いんですよ。
参考:革靴がきつい悩みを解消方法【馴染むまでの期間や伸ばすコツを解説】
沈み込みを考慮しないサイズ選びのデメリット

本格的な革靴、特に英国靴やリーガルの上位ラインに採用される「グッドイヤーウェルト製法」の靴には、中底と本底の間に「練りコルク」がたっぷりと充填されています。
このコルクは、履き始めこそフラットで厚みがありますが、数百時間履き込むうちにあなたの体重と歩き方の癖に合わせて、ギュッと圧縮されて形を変えていきます。これを「沈み込み」と呼びますが、この沈み込みが完了すると、中底が2mmから3mmほど下へ下がります。
垂直方向に3mm空間が広がるということは、靴全体の容積としてはハーフサイズ(0.5cm)から、人によってはワンサイズ(1.0cm)近くもゆとりが生まれることを意味します。
もし購入時の「まだコルクが沈んでいない状態」で、指が一本入るくらいの快適なサイズを選んでしまったらどうなるでしょうか…?
沈み込みが完全に終わる頃には、当初の快適さは消え去り、靴紐を限界まで締め上げても足が固定されない「ブカブカの靴」が完成してしまいます。
いわゆる「ブレイクイン(履き慣らし)」が終わった後こそが、その靴の真のサイズなんです。ですから、プロのフィッターは「今は少し窮屈に感じるかもしれませんが、将来的にこれが最高のサイズになりますよ」とアドバイスするわけです。
購入時の静的なフィット感だけでなく、数ヶ月後の動的なフィット感を予測して選ぶのが、革靴愛好家の流儀と言えますね。
革靴を大きめで買うリスクと調整による改善法

さて、ここからは「もう手遅れだよ、大きすぎる靴を買っちゃったんだ!」という方への救済策です。
そのまま無理をして履き続けると、足だけでなく全身の健康にまで影響が及ぶ可能性があるからです。大きめを買ってしまった場合の生体力学的なリスクと、それをどうやって技術的にカバーしていくか、具体的にお話ししていきますね。
かかとがパカパカ浮くことによる歩行への影響
かかとがパカパカと浮いてしまうオーバーサイズの靴を履き続けていると、私たちの体は無意識のうちに「靴が脱げないように」と防衛本能を働かせます。具体的には、足の指を靴底に押し付けて掴もうとしたり(グリッピング)、逆に足の指を思い切り反らせて甲をアッパーに押し付けて固定しようとしたりします。
こうした不自然な足指の緊張が常態化すると、「浮き指」と呼ばれる状態になり、足裏の重心が踵に極端に偏ってしまいます。私も経験がありますが、ゆるい靴を一日履いた後のすねやふくらはぎの疲れ方は、ジャストサイズの靴の比ではありません。
これは本来使わなくていい筋肉を、靴を保持するためだけに酷使している証拠なんです。
さらに恐ろしいのは、足元の不安定さが連鎖して、膝痛や腰痛、ひいては肩こりや頭痛の原因にまでなることです。足元がグラグラしていれば、姿勢は自ずと崩れますよね。
トボトボとした、どこか自信のなさそうな歩き方になってしまうのも、大きな靴のデメリットかなと思います。また、足が靴の中で遊ぶことでアーチを支える機能が働かなくなり、扁平足や開張足を進行させてしまうリスクもあります。
もし鏡を見て自分の歩き方が「パカパカ」していると感じるなら、それは単なる見た目の問題ではなく、体からの黄色信号だと捉えてくださいね。最終的な医学的判断は専門医にご相談ください。
インソールを使った内部空間の正しい調整術

サイズ調整の最も強力な味方といえば、インソール(中敷き)の追加です。ただ、とりあえず適当なものを放り込めばいいというわけではありません。インソールの「厚み」と「素材」を計算することで、科学的にフィット感を高める必要があるんです。
基本的には、厚さ2.0mmのものを入れるとハーフサイズ、3.0mmから4.0mmのものを入れるとワンサイズ近いサイズダウン効果が得られると言われています。ただし、厚すぎるインソールは甲を圧迫しすぎて血行を阻害したり、逆にかかとが浅くなりすぎて脱げやすくなったりすることもあるので注意が必要ですね。
| インソールの種類 | メリット・特徴 | 適したケース |
|---|---|---|
| フルインソール(レザー) | 吸湿性が高く蒸れにくい。靴の見た目を損なわない。 | 全体的にわずかに大きく、高級感を維持したい場合。 |
| フルインソール(EVA) | クッション性が高く、スニーカーのような歩き心地に。 | 長時間歩行が多く、劇的なサイズ調整が必要な場合。 |
| ハーフインソール(つま先) | かかとの高さを変えず、前滑りをピンポイントで止める。 | 指先が痛い、または甲周りの隙間を埋めたい場合。 |
| タンパッド(ベロ裏) | 外から見えず、甲を上から押さえて足を後ろへ固定する。 | かかとの浮きを解消したいが、底上げしたくない場合。 |
私のおすすめは、上質なレザーインソールのつま先側を少しカットして使うカスタム術です。これにより、最も沈み込みが激しく隙間ができやすい中足部(土踏まず周辺)の容積だけを効率よく埋めることができます。
また、最近では100円ショップでも高品質なジェルパッドが手に入りますが、これらは一時的な応急処置としては優秀ですが、長期的には加水分解して中底を汚すこともあるので、大切な靴には革製のものを選んであげてくださいね。
厚手の靴下やパッドでフィット感を高める工夫
「インソールを入れるほどでもないけれど、なんとなく心許ない」という絶妙な緩さには、靴下の厚みを変えるのが最も手軽で効果的な解決策になります。夏用の薄いソックスから、ウール混の少し肉厚なビジネスソックスに変えるだけで、足周りの容積が数ミリ増加し、驚くほどホールド感が高まることがあります。
パイル地のスポーツソックスを履くわけにはいかない場面でも、最近は見た目はドレッシーなのにクッション性に優れたビジネスソックスが増えているので、そういったアイテムを賢く選ぶのが小次郎流のコツです。
知られざる救世主「タンパッド」

かかとパカパカに悩む方の多くがかかとの裏側にパッドを貼りますが、実は「タン(靴のベロ)の裏側」に厚手のパッドを貼るほうが、ホールド感への影響が大きいことを知っていましたか?
甲を上から適度な圧力で押さえつけることで、足がヒールカップ(かかと)の奥深くに押し込まれ、物理的に抜けにくくなるんです。かかとパッドは厚すぎると足が前に押し出されて指先が痛くなることがありますが、タンパッドならその心配がありません。
見た目にも全く影響しないので、靴好きの間では「サイズ調整の最終兵器」として密かに愛用されていますよ。
ヒールロックの結び方でかかとの浮きを止める
もしあなたの革靴が外羽根式(紐を通す部分が全開するタイプ)なら、新しいグッズを買う前に「ヒールロック(またはレーサーズループ)」という結び方を試してみてください。
これはランニングシューズなどで足を強力に固定するために使われるテクニックですが、革靴でも非常に効果的です。やり方は簡単で、最上部の紐の穴を二つ使い、小さな輪っかを作ってから、その輪に反対側の紐を通してクロスさせるだけ。これにより、紐を締める力が「甲を下に押さえる力」だけでなく「足をかかと側へ引き込む力」に変換されます。
この結び方をすると、多少サイズが大きくてもかかとが靴に吸い付くような、全く新しい感覚が得られるはずです。普通の結び方ではどれだけ強く締めても甲が痛くなるだけで、かかとのパカパカは止まりませんが、ヒールロックなら理論的に踵をロックできます。
見た目が少しテクニカルになるため、冠婚葬祭などの厳格な場には不向きかもしれませんが、毎日の通勤や外回りでの疲労を軽減したいなら、これほどコストパフォーマンスの高い調整術はありません。ぜひ一度、お家で試してみてくださいね。
正しいサイズの測り方で理想の一足に出会う
次に新しい靴を買うときに二度と失敗しないため、そして今の靴の調整が本当に正しいかを知るために、自分の「足の実寸(足長)」を正確に計測しておくことは必須項目です。
多くの人が「いつも27.0cmを履いているから自分は27cmだ」という思い込み(靴サイズ基準)で生きていますが、これは間違い。測定すべきはあなたの足そのものの長さです。壁にかかとをつけて立ち、一番長い指の先までの距離をミリ単位で測ってみてください。左右で5mm以上差があることも珍しくないので、必ず両足測るのがポイントですよ。
例えば実寸が25.3cmだった場合、JIS規格の革靴なら25.5cmが適正サイズの第一候補になります。ここに「足囲(ワイズ)」の概念を加味します。親指の付け根と小指の付け根の最も出っ張った部分をぐるりとメジャーで測り、それをワイズ表(Eや2Eなど)と照らし合わせます。
幅広だからといってレングス(足長)を上げて「大きめ」を買うのが一番の失敗パターン。幅が気になるなら「同じ25.5cmの3Eや4E」を探す。この視点を持つだけで、あなたの靴選びの精度は劇的に跳ね上がります。最近では3D計測を無料で行ってくれる店舗も増えているので、客観的なデータとして一度自分の「足の履歴書」を作ってみるのも面白いかなと思います。
【まとめ】失敗から学ぶ革靴を大きめで買うのを防ぐコツ
今回のまとめとして、革靴を大きめで買うという一見合理的な選択が、いかに多くのリスク(疲れ、痛み、姿勢の崩れ)を孕んでいるか、しっかりとお伝えできたでしょうか。
革靴は工業製品でありながら、履く人の汗と体重で形状を変えていく「育てる楽しみ」がある特別な履物です。新品の状態でスニーカーのような快適さを求めてしまうと、沈み込みが進んだ数ヶ月後に必ず後悔することになります。
最初は少し窮屈でも、特定の箇所に突き刺さるような痛みがない限り、そのタイトさこそが「極上のフィット感」への入場券なんです。これからは、大きめを買う「安心」よりも、ジャストサイズを「育てる喜び」を優先してみてくださいね。
もし、サイズは合っているはずなのに、なぜか革の表面がポロポロと剥がれてきたり、白っぽくなって汚れて見えたりする場合は、それはサイズの問題ではなく「素材の寿命」や「お手入れのミス」かもしれません。以前、革靴がポロポロ剥がれる原因と自分でできる補修方法という記事でそのあたりの悩みについても詳しく解決策をまとめました。
サイズ選びを完璧にした後は、メンテナンスの知識も深めて、あなたの大切な相棒を一生モノへと昇華させてあげましょう!最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。あなたの足元が、明日も快適で輝かしいものでありますように!
