こんにちは!革の小部屋管理人の小次郎です!
革靴好きなら誰もが一度は憧れる、靴の聖域とも言える存在。それがジョンロブのイヤーモデルですよね。毎年10月25日の聖クリスパンの日に合わせて発表されるこの特別なコレクションは、職人たちの技術の結晶とも言える素晴らしい仕上がりで、見ているだけでため息が出てしまいます。
でも、いざ自分で手に入れようと思うと、これまでの歴代モデルにはどんな特徴があるのか、中古での相場やサイズ感はどうなのかなど、気になることも多いはずです。
私自身も新しいモデルが発表されるたびに、その超絶技巧に驚かされつつ、自分に合う一足はどれだろうかと夜な夜な調べてしまいます。この記事では、そんなジョンロブのイヤーモデルの歴史や各モデルの魅力、そして選ぶ際のポイントについて、私なりの視点で詳しくまとめてみました。
至高の既製靴ジョンロブのイヤーモデルの魅力

ジョンロブのイヤーモデルがなぜ「既製靴の最高峰」と呼ばれるのか、その理由を探ってみましょう。毎年、採算を度外視して作られるこのコレクションには、ブランドの誇りと情熱が詰まっています。
聖クリスパンの祝日に誕生するサンクリスパン
ジョン ロブ イヤー モデルは、別名「サン・クリスパン(Saint Crépin)」とも呼ばれています。これは靴職人の守護聖人である聖クリスピンに由来しているんですよ。毎年10月25日の祝日に合わせて新作が発表されるのですが、これは単なる新製品の発売ではなく、職人たちが自らの技術の限界に挑む「儀式」のような意味合いがあるんです。
1996年から続くこの伝統は、エルメスグループの資本力と、ノーザンプトンの質実剛健な靴作り、そしてパリの洗練された感性が融合したからこそ実現したプロジェクトだと言えます。効率よりも美学を優先するその姿勢には、本当に頭が下がりますね。
歴代のモデルに宿るビスポーク級の意匠と技術

このコレクションの最大の特徴は、通常の既製靴ではまずお目にかかれないような超絶技巧が惜しみなく投入されている点です。例えば、一枚の革から靴全体を形作る「ホールカット」や、それをさらに進化させた「スパイラルカット」などが代表的ですね。
これらの技術は本来、ビスポーク(注文靴)の世界でしか許されないような手間の掛かるものばかり。それを既製靴の枠組みで表現してしまうのが、ジョンロブの凄さなのだと感じます。ジョン ロブ イヤー モデルの歴史を辿る!歴代モデル年表
ジョン ロブ イヤー モデル(サン・クリスパン)の魅力を語る上で、過去のモデルがどのような進化を遂げてきたかを知ることは、最高の楽しみの一つですよね。1996年の初代モデルから最新作まで、その年の技術の粋を集めた歴代モデルを一覧表にまとめました。
| 発表年 | モデル名 | 主な特徴・技術的ポイント |
|---|---|---|
| 2026年 | LOPEZ 75 | ロペス生誕75周年記念。驚異の「一枚革」ローファー。7 5針の手縫いステッチと「LXXV」の隠し文字。 |
| 2025年 | ALEXANDER | シングルバックル。 アッパーに施された「ハンド・ウーブン・ライン(手織り風ライン)」が特徴。 |
| 2024年 | HENRY | 穴飾りの代わりに革紐の刺繍でウィングチップを表現。 だまし絵的なアート作品。 |
| 2023年 | MAYFAIR | スパイラルホールカットをローファーに応用。 マーブルカーフの独特な質感が魅力。 |
| 2022年 | HENLEY | 0118ラストを採用した2アイレット・ダービー。 螺旋状の一枚革(スパイラルホールカット)構造。 |
| 2021年 | WILLIAM 75 | ウィリアム75周年記念。ダブルモンクをホールカットで再現。 スキンステッチで意匠を表現。 |
| 2020年 | STRAND | 5アイレット・オックスフォード。 「ソール・シーム」と呼ばれる独特のステッチラインが特徴。 |
| 2019年 | HOLT | 3アイレットのホールカット。 サイドに施されたシェブロン(山型)ステッチがモダンな印象。 |
| 2018年 | ALWYN | サイドエラスティックを採用したレイジーマン。 伝統と機能性を融合させたスリッポン。 |
| 2017年 | HAYES | ダブルモンクのUチップ。モ カ部分に高度な「スキンステッチ」が施された逸品。 |
| 2016年 | - | 【欠番】 1996年の開始以来、唯一リリースがなかったとされる「空白の年」。 |
| 2015年 | FOWEY | 優美なラインを持つエプロンフロントのアンクルブーツ。 ブーツながらプレステージの繊細さ。 |
| 2014年 | Unnamed (2014) | 3アイレットのキャップトゥ。 深みのある「ブラン・ロブ」カラーが展開された。 |
| 2013年 | Unnamed (2013) | 2511ラストを使用したプレーントゥ。 究極のシンプルさとラストの美しさが際立つ。 |
| 2012年 | Unnamed (2012) | 非対称のデザインが特徴のチャッカブーツ。 手揉みのボーデッド加工レザーを使用。 |
| 2010年 | JL 2010 | エルメス製「JL」バックルを採用したダブルモンク。 シームレスバックの一枚革構造。 |
| 2009年 | SPIRAL WHOLECUT | 【伝説の傑作】 完全シームレスのスパイラルカット。 技術的到達点とされる伝説のモデル。 |
| 2008年 | Unnamed (2008) | ステッチではなく「装飾用の革紐」を埋め込むことでデザインを表現した芸術的モデル。 |
| 2007年 | Unnamed (2007) | 1105ラスト。 ヒールまで一枚革のシームレス構造。独自のメダリオンが施された。 |
| 2006年 | Unnamed (2006) | 継ぎ目が見当たらない「ファントム(幻影)」と称される完璧なシームレス・オックスフォード。 |
| 2005年 | Unnamed (2005) | 名作7000ラストを世に知らしめたオックスフォード。 実験的なカラーが多く採用された。 |
| 2001年 | Unnamed (2001) | 5アイレットのホールカット。当時、既製靴の限界を超えるほどの高コストで話題に。 |
| 1996年 | KLEIN | 【初代モデル】 記念すべきイヤーモデルの原点。既製靴にビスポークの魂を宿した最初の一歩。 |
こうして見ると、2000年代は「シームレス(継ぎ目なし)」への執着が凄まじく、2010年代はブーツや素材の多様化、そして2020年代はブランドのアイコン(ウィリアムやロペス)を最新技術で再解釈するという、面白い変遷を辿っているのが分かりますね。
年代によってラストも細身の8000番だったり、標準的な7000番だったりと様々です。中古市場で探す際は、この年表を参考に「自分好みの技術やデザイン」がどの年に発表されたのかをチェックしてみると、より深く楽しめると思いますよ!
2026年新作・ロペス75に見る究極の仕様
そして2026年モデルとして発表された「LOPEZ 75(ロペス 75)」は、ジョンロブの象徴であるコインローファー「ロペス」の誕生75周年を祝う、まさに記念碑的な一足です。何がそこまで凄いのか、もう少し踏み込んでお話ししますね。

まず驚かされるのが、その構造です。通常のローファーは、甲の部分(アプロン)やサドル、踵など、いくつものパーツを縫い合わせて作られます。しかし、このロペス 75は「シングルピース(一枚革)」で構成されているんです。
紐のないローファーを一繋ぎの革で、しかも立体的なラストに沿わせて完璧に成形するのは、オックスフォード以上にシビアな技術が求められます。革に少しでも歪みがあれば、履き口が笑ってしまったり、フィット感が損なわれたりするからです。
カラー展開も魅力的で、定番のブラックやダークオークに加えて、今期のジョンロブらしい「ストーム」という深みのある色がラインナップされています。私のようなロペス愛好家からすると、この「究極の普通」を最高峰の技術で再構築する姿勢には、惚れ惚れしてしまいますね。
2021年のウィリアム75と伝説の2009年
イヤーモデルの歴史を語る上で、絶対に外せない「二大巨頭」についても詳しく解説させてください。これを知ると、ジョンロブというブランドの「変態的なまでのこだわり(褒め言葉です!)」がよく分かります。
伝説の2009年:スパイラル・ホールカット
靴好きの間で今なお「史上最高傑作」と囁かれるのが、2009年モデルの「スパイラル・ホールカット」です。東京の青山にあるスパイラルビルから着想を得たと言われるこのモデルは、一枚の革を螺旋状に裁断し、足の周りを渦巻くように包み込む構造になっています。
最大の特徴は、タン(舌革)以外のすべてが完全に一繋ぎの革でできており、サイドにもヒールにも一切の継ぎ目(シーム)がないことです。平面の革を、螺旋状にカットしながら立体の靴へ仕立て上げる。
これはパタンナーの計算能力と、ラスティング職人の指先の感覚が頂点で一致しなければ不可能です。ウィングチップのような模様も、革を重ねるのではなく、カッティングとパンチングだけで表現するという、まさに「引き算の美学」の極致ですね。
2021年:WILLIAM 75(ウィリアム 75)
そして、2021年に登場した「WILLIAM 75」も衝撃的でした。ダブルモンクの元祖であるウィリアムは、本来「堅牢な軍用靴」のルーツを持つため、パーツ数が多いのが普通です。しかし、この75周年モデルは、それを「ホールカット」で再現してしまったんです。

一見するとキャップトゥやバックルの台座パーツが縫い付けられているように見えますが、実はこれ、一枚の革を内側からつまんで縫う「スキンステッチ」などの技法を駆使して、パーツがあるように「見せている」だけなんです。実際には一枚の滑らかな革。この「視覚のトリック」には、多くの靴愛好家が膝を打ちました。
さらに、職人が手作業で革を洗って独特の風合いを出す「ハンドウォッシュ」加工が施され、2021年を示す「XXI」の刺繍が入るなど、どこを切り取ってもスペシャルな仕様。こうした過去の名作を最新の技術で「再定義」する遊び心こそ、ジョン ロブ イヤー モデルの醍醐味だと言えますね。
プレステージラインを超える贅沢な素材の魅力
イヤーモデルには、エルメスグループの特権とも言える最高級のレザーが使用されます。特に有名なのが「ミュージアムカーフ」や「ミスティカーフ」ですね。手作業で色を重ねることで生まれる独特のムラ感は、唯一無二の表情を見せてくれます。

2023年には天然の大理石のような模様を持つ「マーブルカーフ」が登場するなど、素材のテクスチャへの探求も毎年進化しています。極上の革は、磨き込むほどに宝石のような輝きを放ちますよ。
歴代モデルの平均定価と価値の推移
さて、皆さんが一番気になっているであろう「お財布事情」について、少し踏み込んでお話ししますね。イヤーモデルの価格は、正直に言って「右肩上がりの急上昇」が続いています。私がこの世界に興味を持ち始めた頃よりも、はるかに高いステージに行ってしまった感があります。
定価:プレステージラインとの比較で見える「価値」
2024年モデルの「HENRY」や2025年モデルの「ALEXANDER」の価格を見ると、定価は概ね46万円(税込)前後となっています。ジョンロブの既製靴における最高峰である「プレステージライン」の定番モデル(フィリップIIなど)が現在31万円〜32万円程度であることを考えると、その差は約15万円。かなりの金額差ですよね。
ですが、熱狂的なファンの中には「この内容で46万円ならむしろ安い」と言う人も少なくありません。その理由は単純で、イヤーモデルに投入されている技術は、本来100万円以上する「パリのビスポーク(注文靴)」でしか行われないようなものばかりだからです。
いわば、ビスポークのクオリティを既製靴の価格で手に入れているという感覚なんですね。そう考えると、不思議と納得できてしまうのがジョンロブの恐ろしいところです。
限定性と「MTO不可」が生む二次流通のプレミア
イヤーモデルの価値をさらに高めているのが、その徹底した限定性です。多くのモデルが世界限定500足〜750足程度。
これを全世界の店舗で分けるわけですから、一つのサイズあたりの在庫は驚くほど少ないんです。しかも、イヤーモデルは基本的に「バイ・リクエスト(MTO)」での後日オーダーが認められていません。
つまり、その年に買い逃したら、二度と新品を手に入れるチャンスはないということ。この「一期一会」のルールが、中古市場(二次流通)での価値を押し上げています。
例えば、2009年の伝説的モデルなどは、状態が良ければ現在でも30万円以上の高値で取引されるケースがあります。靴を投資対象として見るのは少し寂しい気もしますが、それだけ資産価値が落ちにくい「一生モノ」であることは間違いありません。
憧れの一足をいつか手に入れたい……そう思っているなら、今の価格が「一番安い」という可能性も十分にあります。いつか自分の足元に、あの美しいイヤーモデルが鎮座する日を想像しながら、コツコツと「靴貯金」に励むのも、革靴ライフの醍醐味かもしれませんね。
ジョンロブのイヤーモデルを購入する際の指標

高価な買い物だからこそ、失敗はしたくないですよね。ここからは、私が実際に調べたり試したりする中で重要だと感じたポイントをまとめていきます。
0118や7000などラストによるサイズ感の違い
靴の履き心地を左右する「ラスト(木型)」選びは非常に重要です。イヤーモデルではその年のデザインに合わせた最適なラストが選ばれます。
| ラスト番号 | 特徴 | 代表的な採用モデル |
|---|---|---|
| 7000番 | モダンなラウンドトゥ。標準的でエレガント。 | 2005年、2024年(Henry) |
| 8000番 | シャープなセミスクエアトゥ。ロングノーズ。 | 2010年(JL2010) |
| 0118番 | 新開発の流れるような曲線美が特徴。 | 2022年(Henley) |
注意したいのは、ホールカットモデルなどは革の継ぎ目がないため、履き込むと通常よりも革が伸びて緩く感じやすい傾向があることです。ジャストサイズを選ぶのが基本ですが、不安な場合は直営店で近いラストの靴を試着させてもらうのが一番安心かなと思います。
ミュージアムカーフなど使用されるレザーの種類
選ぶレザーによって、その後のエイジングの楽しみ方も変わってきます。ミュージアムカーフは華やかな印象ですが、手入れには無色のクリームを使うなど、その風合いを壊さない工夫が必要です。
一方で、最近のモデルで見られる「ハンドウォッシュ」加工が施された革などは、最初からヴィンテージのようなこなれた雰囲気があります。自分がどんなスタイルで履きたいか、どんな風に育てていきたいかをイメージして選ぶのが楽しいですよ。
関連記事:革靴のクリームの頻度は月1回?塗りすぎの弊害と素材別の最適解
中古市場での流通価格と狙い目の名作モデル
新品での入手が難しい過去のモデルは、二次流通(中古)で探すことになります。2009年などの伝説的モデルはプレミア価格がつくこともありますが、中には10万円〜15万円程度で取引されている「隠れた名作」も存在します。
特に2013年や2014年のようなシンプルなモデルは、飽きがこず実用性も高いので、中古市場では狙い目かもしれません。
シューツリーの重要性とメンテナンスの秘訣
ジョンロブのイヤーモデルを手に入れたら、絶対に欠かせないのが純正のシューツリーです。多くのイヤーモデルには、そのラスト専用の高級ツリーが付属しています。これを入れ忘れると、せっかくの一枚革が型崩れしてしまい、台無しになってしまいます。
メンテナンスについては、過剰なケアは禁物です。私は、質の良い馬毛ブラシでのブラッシングと、時々のデリケートクリームによる保湿を基本にしています。鏡面磨き(ハイシャイン)も映えますが、革の呼吸を妨げない程度に留めるのが、長持ちさせるコツかなと思っています。
まとめ:ジョンロブのイヤーモデルが放つ不変の美
1996年の「クライン」から最新の「ロペス 75」まで、ジョンロブのイヤーモデルが歩んできた30年近い歴史は、まさに革靴の進化の歴史そのものでした。効率を追い求める現代において、ここまで「手仕事の魂」にこだわった既製靴は他にありません。
一足数十万円という価格は決して安くはありませんが、その靴に込められた物語や職人の技を手に取る喜びは、それ以上の価値があると私は信じています。毎年10月25日、次はどんな驚きを届けてくれるのか。これからも一人の靴好きとして、この素晴らしいコレクションを追いかけ続けていきたいと思います。
