こんにちは!革の小部屋管理人の「小次郎」です!
お気に入りの革靴を履いて意気揚々と出かけたのに、歩くたびにかかとがパカパカと浮いてしまって、歩きにくさや恥ずしさを感じたことはありませんか。
実は、革靴のかかとが浮くという悩みは非常に多く、原因もサイズ選びのミスから靴自体の構造的な問題まで多岐にわたります。そのまま無理して履き続けると、痛い靴擦れや姿勢の悪化にもつながりますが、正しい知識を持って対策すれば、驚くほどフィット感を改善できるんです。
今回は、革靴のかかとが浮く根本的な理由から、身近なアイテムを使った調整術、さらにはプロに任せるべき修理の境界線まで、私自身の経験も踏まえて詳しくお話ししていきます。この記事を読めば、あなたの足元が再び快適になり、自信を持って歩けるようになりますよ。
革靴のかかとが浮く原因とは?構造から紐解く基礎知識

まずは「なぜかかとが浮いてしまうのか」という敵の正体を知ることから始めましょう。
原因を特定しないまま闇雲にパッドを詰め込んでも、足が窮屈になるだけで解決しないことが多いんです。ここでは、靴と足の間で起きている物理的な現象を詳しく見ていきますね。
歩行時にかかとが浮く原因とバイオメカニクス
私たちが普段何気なく行っている「歩行」という動作。実はこれ、足の骨や筋肉がダイナミックに変形を繰り返す非常に複雑なプロセスなんです。革靴のかかとが浮く現象を理解するためには、まず歩行のバイオメカニクス(生体力学)的な視点が欠かせません。
歩行サイクルと「蹴り出し」の瞬間
歩行は、かかとが地面につく「踵接地」、足裏全体が地面にのる「立脚中期」、そしてつま先で地面を蹴る「蹴り出し(プッシュオフ)」というサイクルで構成されています。
この中で最もかかとが浮きやすいのが、まさに蹴り出しの瞬間です。このとき、足はつま先を支点にしてかかとを高く持ち上げますが、靴がその動きにしなやかに追従できないと、足だけが靴から抜け出してしまうのです。
ウィンドラス機構による足の変化
さらに興味深いのが「ウィンドラス機構」という足の仕組みです。つま先が上に曲がると、足裏の腱が引っ張られて土踏まずのアーチがグッと持ち上がります。この時、足の全長はわずかに短くなり、逆にかかとの位置は高くなろうとします。
つまり、歩くたびに足の形は変化しているんですね。革靴側がこの変化を受け止める余裕がなかったり、逆に空間が空きすぎていたりすると、この機構が働くたびにパカパカという不快な浮きが発生してしまいます。
重心移動と摩擦の関係
また、歩行中の重心移動も大きく関わっています。前方につま先立ちの状態になると、かかと部分にかかっていた荷重は激減します。荷重が減るということは、靴とかかとの間の「摩擦力」も低下するということ。
摩擦がなくなれば、少しの力で足はスッと抜けてしまいます。このように、革靴のかかとが浮く原因は、足の自然な動きと靴の設計がどこかで喧嘩してしまっている状態だと言えるかなと思います。
新品靴の構造とソールの剛性がかかと浮きを招く
「新品の靴だからかかとが浮くのは仕方ない」という話を聞いたことはありませんか?これは単なる迷信ではなく、革靴の製法や素材に基づいた明確な理由があります。特に本格的な革靴を初めて履いた方が驚くのが、そのソールの「硬さ」ですよね。
グッドイヤーウェルト製法の「剛性」という壁
高級紳士靴に多いグッドイヤーウェルト製法などは、何層もの厚い革や中底、そしてコルクが詰まっており、新品状態ではまるで見事な一本の板のように頑丈です。
この「曲げ剛性」が高い状態だと、足が蹴り出しの際に曲がろうとしても、ソールが反発して真っ直ぐに戻ろうとします。足は曲がっているのに靴は曲がらない。この「剛性のミスマッチ」こそが、新品時に革靴のかかとが浮く最大の犯人だったりします。
「返り」がつくまでのプロセス
この問題の解決策は、一般的に「返り(屈曲性)」をつけることだと言われます。履き込むうちにソールが足の曲がる位置で柔らかくなり、中底のコルクが自分の足型に沈み込んでいくことで、ようやく靴が足の動きに同期するようになります。
沈み込みが完了すると、かかとのホールド感も劇的に向上します。
沈み込みによるサイズ変化の罠
コルクが沈むと、靴内部の容積は広がります。新品の時点で「かかとが少し浮くけれど、全体的にゆとりがあるな」と感じるサイズを選んでしまうと、沈み込みが進んだ後はさらにブカブカになり、修復困難なほどかかとが浮く原因になります。新品時は「少しタイトすぎるかな?」くらいが、後々のジャストフィットへの近道かもしれません。
ただし、最近はラバーソール(ゴム底)の靴も増えています。革底に比べて最初から柔らかいものもありますが、それでもアッパー(表革)の硬さが影響することもあるので、焦らず少しずつ慣らしていくのが正解かなと思います。新品時の皮の馴染みを早めたい時は革靴を柔らかくするコツ4選の記事を参考にしてみてください。
調整が難しいローファーのかかとが浮く理由と選び方

革靴の中でも、最もフィッティングがシビアだと言われるのがローファーです。なぜなら、ローファー(スリッポン)には靴紐という「最強の調整機構」が存在しないからです。そのため、構造的に革靴のかかとが浮くリスクを常に抱えています。
甲の抑えが生命線
紐靴の場合、たとえ少しサイズが大きくても、紐をギュッと締めることで甲を固定し、足を靴の後方(ヒールカップ側)へ押し付けることができます。
しかし、ローファーにおいて足を固定するポイントは、甲の部分にある「サドル」周辺のわずかな面積しかありません。この「甲の抑え」が甘いと、歩くたびに足が靴の中で前後にズレ動き、その勢いでかかとが脱げそうになります。つまり、ローファーにおけるかかと浮きの多くは、実はかかとではなく「甲の隙間」に原因があることが多いんですね。
失敗しないローファー選びの極意
私がローファーを選ぶときに最も注意しているのは、捨て寸(つま先の余裕)よりも「履き口の締まり」と「甲の当たり」です。試着の段階で、靴べらを使ってようやく足が入るくらいのタイトさが理想的です。
足を入れた後に、かかとを浮かせてみて靴がピッタリついてくるか、歩いた時に履き口の両サイドが笑って(開いて)しまわないかをチェックしてください。
もし、すでに愛用しているローファーがパカパカする場合は、次項で紹介するタンパッドなどの「空間を埋める」対策が非常に有効になります。
ローファーは馴染んだ後の変化が激しい靴なので、最初から余裕を持ちすぎないことが最大の防御ですね。
100均のダイソーやセリアで買える防止策
「明日大事な会議があるのに、靴がパカパカして集中できない!」という緊急事態、ありますよね。そんな時の強い味方が100円ショップです。ダイソーやセリアの靴ケアコーナーは、今や驚くほどの進化を遂げていて、革靴のかかとが浮く悩みをワンコインで解決できるグッズが揃っています。
ダイソーとセリアの製品比較
ダイソーで特筆すべきは、厚みのバリエーションです。特に「かかと用のクッションパッド」には、薄手から超厚手まで種類があり、靴と足の隙間の大きさに合わせて選べるのが強みですね。

一方、セリアは素材の質感が良いものが多く、ジェルタイプや起毛素材など、靴擦れ防止を兼ねたマイルドなホールド感の製品が充実しています。
| 対策グッズ | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| シール型かかとパッド | 安価で即効性があり、どこでも買える | 剥がした時にベタつきが残る、耐久性が低い |
| ジェルタイプパッド | 透明で目立たず、グリップ力が非常に高い | 蒸れやすく、長時間使用すると位置がズレやすい |
| 低反発タイプパッド | 足の形に馴染みやすく、靴擦れに強い | 厚みがあるため、つま先側が窮屈になることがある |
100均グッズを上手に使うコツ
これらのパッドを貼る際の注意点は、事前に靴の内側の汚れや油分をしっかり拭き取っておくことです。革靴の内側はクリームや汗で意外と汚れており、そのまま貼るとすぐに剥がれてしまいます。
また、かかとの「一番高い位置」に貼るのではなく、アキレス腱のくぼみにフィットするよう、少し下げた位置に貼るのが、かかと浮きを効果的に抑えるテクニックですよ。安価なアイテムでも、工夫次第でプロ顔負けの調整が可能になります。
インソールやタンパッドで調整する
100均のパッドだけでは物足りない、あるいは靴全体のフィット感を底上げしたい場合は、もう少し専門的なフィッティングパーツを検討しましょう。ここでは、私自身も愛用している「インソール」と「タンパッド」の活用術について深く掘り下げます。
「タンパッド」という隠れた名品

皆さんは「タンパッド」をご存知でしょうか?靴のベロ(タン)の裏側に貼り付けるクッションのことです。実は革靴のかかとが浮く原因の多くは、甲部分の隙間にあります。
ここに厚みを持たせることで、足が上から押し下げられ、かかとがしっかりと靴のヒールカップに固定されます。かかとにパッドを貼るのと違い、つま先を前に押し出さないため、「かかとは浮くけれど、つま先はこれ以上狭くしたくない」という場合に最適な解決策となります。
インソールの選び方:全敷きか半敷きか
インソールには、靴の底全体に敷く「フルインソール」と、かかとから土踏まずまでをカバーする「ハーフインソール(半敷き)」があります。
全体的にサイズがブカブカな場合はフルインソールが有効ですが、かかとの浮きだけが気になるならハーフタイプがおすすめ。なぜなら、つま先側の厚みを変えずに、かかとの位置をわずかに上げることで、ヒールカップの「くびれ」部分に足が引っかかりやすくなるからです。
アーチサポートの重要性
さらに踏み込んだ調整をしたいなら、土踏まず(アーチ)を支える形状のインソールを選びましょう。足裏の隙間を埋めることで、歩行中の足のズレ(前滑り)を物理的に防ぐことができます。
ペダック(Pedag)などの専門メーカーの製品は、人間工学に基づいて設計されており、長時間の歩行でも疲れにくくなるという副次的なメリットもありますよ。正確なフィッティングについては、シューフィッターのいる専門店で確認してもらうのが一番安心かなと思います。
革靴のかかとが浮く悩みを解決!即効性の高い対処法

ここからは、道具に頼るだけでなく、知恵や技術でパカパカを解消する方法をご紹介します。
意外と知られていない靴紐のテクニックや、プロの修理屋さんが行う本格的な処置など、一歩踏み込んだ解決策を見ていきましょう。
靴紐の結び方ヒールロックで浮きを防止
「何をしても革靴のかかとが浮く…」と嘆く前に、ぜひ試してほしいのが靴紐の結び方の工夫です。中でも「ヒールロック(ダブルアイレット)」と呼ばれる結び方は、魔法のようにフィット感を変えてくれます。
もともとは本格的なアスリートがシューズ内で足が動かないように考案した手法ですが、これをドレスシューズに応用しない手はありません。
ヒールロックの物理的効果
通常の結び方では、甲を「点」や「線」で押さえるだけですが、ヒールロックは一番上の二つの紐穴を利用して「輪(ループ)」を作ります。
このループに紐を通すことで、紐を引いた時の力がダイレクトにかかと方向へと伝わります。テコの原理を利用して足首周りを後ろにグッと引き込むため、物理的にかかとが浮き上がる余裕を奪ってしまうんですね。
具体的な手順とコツ
- 一番上の紐穴(一番足首に近い穴)に紐を通す際、反対側へ渡さず、同じ側のすぐ下の穴(あるいは予備の穴)から通して、外側に小さな輪を作ります。
- 左右の紐の先端を、反対側の作った輪の中に通します。
- 紐を締め上げる際、真上に引くのではなく、斜め後ろのかかと方向へ向かってグッと引きます。これで足首がロックされます。
- そのまま通常通り蝶結びをして完了です。
この方法の素晴らしいところは、コストゼロですぐに試せる点です。
見た目が少しスポーティーにはなりますが、羽根が閉じきってしまっている靴や、少し緩さを感じる靴には劇的な効果がありますよ。歩行時の安定感が格段に増すのを実感できるはずです。
靴擦れを引き起こすハグルンド病との関係
実は、かかとの浮きがどれだけ調整しても治らない場合、それは靴の問題ではなく「足の形」に由来している可能性があります。その代表的な例が「ハグルンド病(隆起性骨端炎)」です。
アキレス腱の踵骨(しょうこつ:かかとのほね)付着部には、アキレス腱と他の組織との摩擦を軽減するための滑液包(かつえきほう)が存在します。この滑液包が靴などによる摩擦や圧迫刺激で炎症を起こします。この障害をハグルンド病(Haglund's disease、ハグランド病)、もしくはパンプバンプ病(pump bump disease)と呼ばれています。
秋元接骨院より引用
これは、かかとの骨の後面上部が異常に隆起してしまう症状です。
なぜハグルンド病だとかかとが浮くのか
かかとの骨が出っ張っていると、靴のかかと芯(カウンター)がその突出した一点に集中して当たります。すると、その一点は痛いのに、出っ張りの周囲(上下左右)には不自然な空間ができてしまいます。
この「点接触」の状態だと、ホールド感が得られず、痛みを感じながらもかかとは常にパカパカと動いてしまうという、最悪の矛盾が生じます。
無理なパッド調整の危険性
ハグルンド病の方が、隙間を埋めようとして厚いパッドをかかとに貼ると、さらに骨の出っ張りが靴に圧迫され、激痛や炎症を引き起こす恐れがあります。これは靴の調整で解決できる範囲を超えているケースが多いです。
医学的なアドバイスの推奨
かかとの骨に明らかな隆起があり、調整をしても改善せず激痛を伴う場合は、無理をせず整形外科を受診してください。最終的な判断は専門医に委ねることが、足の健康を守る最善の道です。
靴選びの際は、あえてヒールカウンター(かかとの芯)が柔らかいものを選んだり、アッパーに柔軟な素材が使われているものを選ぶといった工夫が必要になるかもしれません。自分の足の個性を知ることも、快適な靴生活には欠かせないステップですね。
修理店でのライニング補修で恒久的に直す
市販のグッズや紐の結び方でも解決しない深刻なパカパカには、プロの修理職人による「外科手術」が有効です。その中でも最も効果が高いのが「カウンターライニング(腰裏)補修」と呼ばれるメニューです。
革靴のかかとが浮くことで内側の革がボロボロになってしまった靴にも、この修理は福音となります。
カウンターライニング修理の内容
この修理では、摩耗してしまったかかとの内側に、新しく切り出した革を丁寧に貼り付け、履き口のラインに沿って縫い付けます。ただ破れを隠すだけでなく、新しい革の厚み分だけかかと周りの空間がタイトになります。
さらに、使用する革に「スエード(起毛革)」を指定するのがプロの裏ワザ。スエードの毛足が滑り止めの役割を果たし、驚くほどかかとが抜けにくくなるんです。
コストと持続性のメリット
修理費用は、一般的な靴修理店で両足3,000円〜5,000円程度。
期間は1〜2週間ほどかかることが多いですが、シール式のパッドと違って「剥がれる」「位置がズレる」というストレスが一切ありません。一度直してしまえば、その後数年間は快適なフィット感が持続します。
お気に入りの高価な靴であれば、100均グッズを何度も買い換えるより、最初からプロの手を借りるほうが結果的に安上がりで、靴も長持ちしますよ。修理に出すタイミングで、靴全体のメンテナンスを依頼するのもいいですね。
革靴を毎日履くのはNG【臭いや痛みを防ぐ3足ローテーションの方法とメリット】
無印良品やユニクロの靴下で不快感を軽減
意外と忘れがちなのが、靴と足の間に介在する「靴下」の存在です。革靴のかかとが浮く問題において、靴下は摩擦をコントロールする極めて重要なインターフェースになります。皆さんは、革靴を履く時にどんな靴下を選んでいますか?
滑り止めの科学:無印良品の底力
特にかかとが抜けやすい「ベリーショート丈」や「フットカバー」を履く際、無印良品の製品は非常に優秀です。かかと部分に配置された強力なシリコンの滑り止めが、靴側ではなく「足とかかと」をガッチリ固定してくれます。
靴下自体が足からズレなければ、その分だけ靴内部での安定感も増すというわけです。また、生地の適度な厚みが隙間を埋めてくれるため、タイトなフィッティングを助けてくれます。
ユニクロのホールド感と生地の選び方
ユニクロのソックスも侮れません。特にスポーツラインの知見を活かしたフィット感の強いモデルは、土踏まず付近にサポート(締め付け)があり、靴下の中で足が遊ぶのを防いでくれます。
逆に、シルク混などの光沢がありすぎる薄手のビジネスソックスは、靴内部で足が滑りやすく、かかと浮きを助長してしまうこともあります。
厚みの調整によるマッチング
「この靴、少し緩いな」と感じる時は、あえてパイル地の厚手の靴下を選んでみてください。物理的に容積を埋めることで、パカパカ感がピタッと止まることがあります。
逆に、タイトすぎる靴にかかとパッドを貼る場合は、極薄の靴下を合わせることで全体のバランスをとることができます。靴、パッド、靴下の「三位一体」で調整を考えるのが、おしゃれで快適な足元への近道ですよ。
革靴のかかとが浮く症状を改善するための重要ポイント
さて、ここまで革靴のかかとが浮く問題について、原因から具体的な対策までたっぷりと深掘りしてきました。これだけ多くの選択肢があれば、きっとあなたの悩みも解決の兆しが見えてきたのではないでしょうか。
最後にお伝えしたいのは、革靴のフィット感に「絶対の正解」はないということです。足の形は一人一人違いますし、同じ靴でも朝と夕方ではむくみによってサイズが変わります。
大切なのは、自分の足の声を聞きながら、その時々に最適な調整を組み合わせていくことです。今回ご紹介した対策を、まずは簡単なものから一つずつ試してみてください。
革靴は、手をかければかけるほど、そして履き込むほどに応えてくれる最高の相棒です。かかとが浮くからといって諦めて靴箱の隅に追いやってしまうのは、本当にもったいない!
この記事が、あなたの素敵な靴との付き合いを再びスタートさせるきっかけになれば、私(小次郎)としてこれ以上に嬉しいことはありません。なお、正確な情報は各製品の公式サイトや取扱説明書を確認し、深刻な足のトラブルについては必ず専門家にご相談くださいね。
