こんにちは!革の小部屋管理人の小次郎です!
英国靴の聖地ノーザンプトンにおいて、最高峰の既製靴ブランドとして君臨し続けるエドワードグリーンですが、その魅力を語る上で欠かせないのが製造年代による作りの違いですよね。
特に古着屋さんやネットオークション、フリマアプリなどで中古の靴を探していると、この個体は一体いつ頃のものなんだろうと頭を悩ませることも多いはずです。そこで大きな手がかりになるのが、靴の内部に刻まれたインソールロゴのデザインなんです。
このロゴの変遷を辿ることは、ブランドが歩んできた激動の歴史や、職人たちのこだわりを知ることと同義だと言っても過言ではありません。
特に旧グリーンと呼ばれる時代のものは、現代の靴とはまた一味違った「もちっ」とした最高の革質が楽しめるとあって、私のような靴好きの間では常に注目の的です。
今回は、ロゴの種類から年代を判別する方法や、知っておきたいポイントを詳しく深掘りしてみました。この記事を読めば、手元にある一足がブランドの歴史の中でどのような位置付けにあるのか、その背景にある物語までしっかりと見えてくるはずですよ。
エドワードグリーンのインソールロゴで年代を見極める

エドワードグリーンの靴を手に取ったとき、まず最初にチェックすべきはインソールですよね。ここに刻印されているロゴは、単なるブランド名以上の情報をもたらしてくれます。
実は、ブランドの経営者が変わったり、工場が移転したりといった大きな転換期のたびに、このロゴのデザインも微妙に変化してきた歴史があるんです。ロゴを詳しく観察することで、その靴がジョン・フルスティック氏による再生期のモデルなのか、あるいは現代の洗練された工場のものなのかを見分けることができます。
ここでは、時代ごとの特徴的なデザインを追いながら、それぞれの時代の背景についても触れていきたいと思います。
黄金期の証である旧グリーンのロゴと特徴
エドワードグリーンの長い歴史の中で、今もなお多くの愛好家から「最高傑作」と称えられ、熱烈に支持されているのが「旧グリーン」と呼ばれる時代の靴です。この時代のインソールを覗き込むと、まず目に飛び込んでくるのが、金色の長方形で描かれた華やかな飾り枠(囲み枠)です。

この金枠ロゴは、主に1980年代から1990年代半ばにかけて採用されていたもので、ブランドの救世主であるジョン・フルスティック氏が経営を指揮していた時期と重なります。
当時のエドワードグリーンは、一度は経営難に陥りながらも、フルスティック氏の「古き良き英国靴の復興」という信念のもとで驚異的な品質向上を果たしました。この時期の靴が特別視される最大の理由は、何と言ってもその革質にあります。
現代では入手困難とされるような、きめが細かく、しっとりとした弾力を持つ最高級のカーフが惜しみなく使われていたんです。アニリン仕上げによって革本来の風合いが活かされており、磨き込むほどに深みのある光沢、いわゆる「パティーナ」が生まれるのがこの時代の特徴ですね。
また、作りに関しても非常に手が込んでおり、出し縫いのピッチの細かさや、土踏まず部分の絞り込みなど、既製靴とは思えないほどのクラフトマンシップが随所に感じられます。
私自身、この時代の靴を手に取るたびに、当時の職人たちがどれほどの熱意を持って一足一足を作り上げていたのかを想像して、胸が熱くなる思いがします。
ただし、これらはあくまで一般的な傾向であり、保管状態によっては革が乾燥してしまっているものもあるので、ヴィンテージ品を探す際は表面のひび割れ(クラック)がないか、インソールが沈み込みすぎていないかなどを慎重にチェックすることをおすすめします。
希少なMade by表記がある旧スタンプの価値
旧グリーンの中でも、さらに希少価値が高く、コレクターの間で「別格」として扱われているのが、ロゴの中に「Made by」という一言が含まれているタイプです。

1980年代の中頃から後半にかけて見られる仕様で、金枠の中、あるいはそのすぐ上に「Made by EDWARD GREEN」と刻印されています。この「Made by」という言葉には、当時のジョン・フルスティック氏の並々ならぬプライドが込められています。
なぜこの表記がそれほど重要視されるのかと言うと、それが「匿名的な工場製品」ではなく、あくまで「エドワードグリーンという職人集団が責任を持って作り上げた作品」であることを強調しているからです。
当時のフルスティック氏は、効率を優先して品質が低下していた英国靴業界に警鐘を鳴らし、手間を惜しまない伝統的な手法への回帰を実践しました。その強い意志が、この「Made by」という前置詞に集約されていると解釈されているんですね。
ヴィンテージ市場での人気も凄まじく、このロゴが付いているだけで価格が跳ね上がることも珍しくありません。靴としての完成度はもちろんのこと、ブランドの再生という劇的なストーリーを背負っている点が、多くのファンを惹きつけてやまない理由かなと思います。
もし、古着屋の片隅でこのロゴを見つけることができたら、それはまさに幸運な出会いと言えるでしょう。ただし、製造から40年近く経過しているものも多いため、ソールの摩耗だけでなく、内部のクッション材(コルク)の状態などもプロの修理店に相談しながら、末永く付き合っていく覚悟が必要な一足でもあります。
金枠がありMade byなしの旧工場末期モデル
1990年代に入ると、ロゴのデザインに小さな変化が現れます。金色の飾り枠はそのまま維持されていますが、そこから「Made by」の文字が消え、シンプルに「EDWARD GREEN」とだけ記されるようになるんです。

これは、1995年に工場を移転するまでの、いわゆる「旧工場末期」と呼ばれる時代の仕様ですね。この頃になると、ブランドの規模が拡大し、より組織的な体制へと移行していった背景がロゴからも見て取れます。
「Made byがなくなったから品質が落ちたのか?」と心配される方もいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。この時期も依然として旧工場での生産が続いており、フルスティック氏の哲学は現場にしっかりと浸透していました。
革のクオリティも黄金期と遜色ないレベルを保っており、実際に履いてみると、吸い付くようなフィッティングと、使い込むほどに馴染んでいく感覚を十分に味わうことができます。むしろ、黄金期のモデルに比べて流通量が比較的安定しているため、程度の良い個体を見つけやすいというメリットもありますね。
実用性を重視しつつ、旧グリーンならではの「古き良き質感」を楽しみたいという方にとって、この末期モデルは非常に現実的で賢い選択肢になるかなと思います。
また、この時代のラスト(木型)は、現代の洗練されたものに比べてどこか無骨でクラシックな雰囲気が残っており、ツイードジャケットやデニムといったカジュアルなスタイルにも抜群に馴染んでくれます。ロゴの文字数に一喜一憂するのもマニアの楽しみではありますが、靴としての本質的な作りの良さを体感するには、これ以上ない年代だと言えるでしょう。
新工場への移転後に採用された筆記体アイコン
1995年、エドワードグリーンは大きな転換期を迎えます。長年慣れ親しんだ古い工場を離れ、ノーザンプトン市内の新しい拠点へと移転することになったのです。
この移転に伴い、ブランドイメージをより現代的で洗練されたものにアップデートするため、インソールのロゴも一新されました。そこで登場したのが、金枠を廃止し、流れるような美しい筆記体(スクリプト)で「Edward Green」と記されたデザインです。

1990年代後半から2000年代の半ばにかけて使われていたこの筆記体ロゴは、ブランドの新たな門出を象徴するものでした。この時代の靴は、旧グリーンのような「泥臭いまでの重厚感」は少し抑えられましたが、代わりに生産ラインが整理されたことで、品質の安定感は飛躍的に向上しました。
ステッチの正確さや仕上げの美しさは、現代のラグジュアリーシューズとしての高い基準を確立した時期と言えるでしょう。旧グリーン派からは「味がなくなった」と言われることもありますが、現代人の足型にフィットしやすいように木型が微調整されるなど、靴としての完成度は非常に高い次元にあります。
筆記体ロゴの靴は、ヴィンテージというよりは「良質な中古品」として市場で見かけることが多く、適切なケアが施されていれば、まだまだ現役で数十年履き続けられるものばかりです。当時のエドワードグリーンが目指した「伝統とモダンの融合」を、足元で感じることができる興味深い年代ですね。高年式の個体を探しているなら、この筆記体ロゴを一つの基準にしてみるのも面白いかもしれません。
現行ロゴの種類とブランドの変遷
そして現在、正規店や有名セレクトショップの棚に並んでいるのが、現行の最新ロゴです。筆記体から一転し、力強く視認性の高いローマン体(セリフ体)のブロック文字で「EDWARD GREEN」と水平に配置されています。

非常にクリーンで自信に満ちたデザインになっていますね。2000年代後半から現在に至るまで、このスタイルがブランドの顔として定着しています。
現行品の最大の魅力は、最新のタンナーから供給される高品質なレザーと、デジタル技術も取り入れた極めて精密な製造工程にあります。
サイズ感や左右のバランスに個体差がほとんどなく、世界中どこで購入しても最高峰のクオリティを保証されている安心感は、やはり現行品ならではの特権です。また、現代のビジネスシーンやフォーマルな場にふさわしい、凛とした立ち姿の美しさは、数多ある英国靴ブランドの中でも群を抜いています。
価格は年々上昇しており、今や一足20万円を優に超える高嶺の花となっていますが、それでもなお多くの人がエドワードグリーンを求めるのは、そこに時代を超えた価値があるからでしょう。最新のモデルについては、公式の情報を確認するのが一番です。 (出典:Edward Green Official Heritage Page)
このように、現行のロゴはブランドが「世界のトップオブトップ」として揺るぎない地位を築いた現在の姿を映し出しているんです。ロゴの形が変わっても、創業以来の「妥協なき卓越」という精神が今も脈々と受け継がれているのを感じると、一ファンとして嬉しくなりますね。
エドワードグリーンのインソールロゴ以外での判別法

ここまでインソールロゴの変遷を見てきましたが、中古の靴だとどうしてもロゴが擦れて消えてしまっていることも多いですよね。でも、そこで諦めるのはまだ早いです!
実は、ロゴ以外にも製造年代を特定するための「隠された暗号」が靴の内部にいくつか残されているんです。プロの鑑定士やマニアは、ロゴが見えないときでもライニングの表記や木型の特徴を組み合わせることで、驚くほど正確に年代を言い当ててしまいます。
ここからは、ロゴが見えないときの代替手段として、ぜひ覚えておいてほしいチェックポイントを詳しく解説していきます。
ライニングの手書き表記で旧工場製を判別

インソールロゴが消えていても、靴の内側(小指から踵にかけての側面)をライトで照らして覗き込んでみてください。そこに、サイズやウィズ、木型番号などが書かれた文字が見えるはずです。
もし、その文字が「手書き」であれば、それは1995年以前の旧工場で作られた、極めて価値の高い個体である可能性が非常に高いです。当時の工場には、ライニングにデータを書き込む専門の職人さんがいて、独特の美しいカリグラフィーで一足ずつ記入していたんです。
この手書き文字は、革に直接インクが染み込んでいるため、ロゴよりも耐久性が高く、長年履き込まれた靴でも判読できる場合が多いのが特徴です。文字のクセやインクの濃淡からは、当時の工場の空気感や、機械化される前の「人の手」による温もりが伝わってきます。
手書き表記があるということは、必然的にあの「もちもちの革質」を備えた旧グリーンである証拠でもあります。中古市場でロゴが消えた激安品を見つけたとき、この手書き文字が残っていれば、それは隠れたお宝かもしれません。ただし、汗や摩擦で文字が完全に消えてしまっている場合もあるので、その際は他の要素と併せて判断していく必要があります。
新工場製に見られる窓枠スタンプの仕様
一方で、1990年代半ばの新工場移転以降に製造された靴には、ある明確な特徴が見られます。それが、ライニングの革を一部切り抜いたり、四角い枠線を引いたりした中にデータを印字する「窓枠(ウィンドウボックス)」と呼ばれる仕様です。

旧工場の「革に直接手書き」というアナログな手法から、生産効率を上げるために導入されたスタンプ方式への変化ですね。
窓枠の中に並ぶ文字は、タイプライターやデジタルフォントのような整った形状をしており、非常に読みやすいのが特徴です。この窓枠仕様が見られる場合は、基本的には1990年代後半以降の製造であると判断できます。
ただ、面白いことに移転直後の短い期間には「窓枠があるのに、中身はまだ手書きのまま」という、移行期ならではのレアな個体が存在することもあります。こうした細かな違いを見つけるのも、エドワードグリーンの年代判別の醍醐味と言えますね。
現代的な「窓枠」は、製品の均一性と管理のしやすさを象徴しており、ある意味でブランドがモダンに進化を遂げた証とも言えるでしょう。
豆知識:手書きと窓枠の共存期
1995年頃の移転前後には、在庫パーツの関係などで古いロゴと新しいライニングが組み合わさることが稀にあります。こうした「例外」を知っておくと、より深い年代鑑定が楽しめるようになりますよ。
UKとUSが併記されたサイズ表記の読み方

エドワードグリーンのサイズ表記は、初めて見る人には少し不思議に映るかもしれません。ライニングには「8 / 8 1/2」のように、スラッシュで区切られた2つの数字が必ず並んでいます。
これは、左側がイギリス(UK)サイズ、右側がアメリカ(US)サイズを表すエドワードグリーン独自の伝統的な表記法なんです。創業当初からアメリカ市場への輸出を意識していた同社ならではの工夫ですね。
| ライニング表記 | UKサイズ(本国基準) | USサイズ(米国基準) | 日本サイズの目安 |
|---|---|---|---|
| 6 / 6 1/2 | UK 6.0 | US 6.5 | 約24.5cm |
| 7 / 7 1/2 | UK 7.0 | US 7.5 | 約25.5cm |
| 8 / 8 1/2 | UK 8.0 | US 8.5 | 約26.5cm |
この表記は、時代を問わず一貫して守られていますが、中古品を購入する際は注意が必要です。特にアメリカの古着店などで流通していた個体は、USサイズ基準で説明されていることがあり、自分の本来のUKサイズと混同してしまうケースがあります。常に「左側の数字がUKである」ことを覚えておけば、失敗を防げるはずです。
また、サイズ感については、自分の足に合った最適なフィッティングを理解することが大切です。こちらの革靴のジャストサイズが痛い理由と対策!についての記事も参考にしながら、理想の一足を探してみてくださいね。
旧202ラストと現行ラストのシルエットの違い
ロゴの変遷とリンクして語られることが多いのが、エドワードグリーンの代名詞とも言える「202ラスト」の新旧比較です。ブランドの顔であるこの木型は、1995年の工場移転時に、金型が失われた、あるいは現代的な解釈で作り直されたと言われています。
その結果生まれた「旧202」と「新202」の間には、マニアが夜通し語り明かせるほどの明確な違いが存在します。
旧工場の金枠ロゴ時代に使われていた旧202ラストは、つま先が短くポッテリとした丸みを帯びており、ボールジョイント(指の付け根)付近から急激に絞り込まれる、非常にメリハリのある形状をしています。そのどこか愛嬌のあるシルエットは、まさに「クラシックな英国靴」の理想形とも言えるものです。
一方、現行のロゴとともに展開されている新202ラストは、ノーズがわずかに長くなり、全体的にすっきりとスマートな印象にアップデートされています。どちらが優れているというわけではなく、好みやその日のスタイルによって使い分けるのが正解かなと思います。
ただ、旧202特有の「足を包み込むような立体的でエロティックな曲線」を一度体験してしまうと、なかなか抜け出せない魅力があるのは確かですね。
オールソール修理時のロゴ残しと注意点

エドワードグリーンのような高級靴は、適切なメンテナンスを続ければ、20年、30年と履き続けることができます。しかし、長年の着用でどうしても避けて通れないのが、靴底を丸ごと交換する「オールソール」です。
ここで多くのオーナーを悩ませるのが、靴を本国の工場に送って純正修理をした際、インソールのシート(ソックシート)が自動的に最新のロゴ入りの新品に交換されてしまうという問題です。
金箔が薄れていたり、多少汚れていたりしても、その「ヤレ感」こそが靴と共に歩んできた歴史そのものです。消えかかったロゴには、それを履き続けてきたオーナーへの敬意が込められているようにも感じられます。
修理に出す際は、単に綺麗にするだけでなく、「どの部分を残し、どの部分を新しくするか」を職人さんとじっくり話し合うことが、一足の靴と長く深く付き合っていくための秘訣ですよ。
【総括】エドワードグリーンのインソールロゴ完全まとめ
さて、今回はエドワードグリーンのインソールロゴの深遠な世界について、たっぷりと解説してきました。最初はただの「マーク」にしか見えなかったロゴも、こうして歴史を紐解いてみると、そこには経営者の情熱や工場の移り変わり、そして時代の要請といった様々な背景が詰め込まれていることがお分かりいただけたかと思います。
金枠のあるなし、Made byの一言、手書きのライニング。それら一つひとつのディテールを愛でることこそが、エドワードグリーンを履く喜びの本質なのかもしれません。
旧グリーンの圧倒的な革の質感に魅了されるのも、現行品の揺るぎない完成度に信頼を寄せるのも、どちらも革靴を愛する者にとっての正解です。中古市場で年代物の靴を探す際も、今回ご紹介した知識があれば、より冷静に、そしてより楽しみながら一足を選べるようになるはずです。
大切なのは、どの時代の靴であっても、日々の手入れを怠らず、愛情を持って履き続けてあげること。そうすることで、靴はあなたの足に馴染み、唯一無二の相棒へと育っていってくれますよ!
