こんにちは!革の小部屋管理人の小次郎です!
お気に入りの一足として迎え入れた革靴を履き込んでいくうちに、いつの間にかサイズが大きく感じて困っていませんか?実は、革靴がぶかぶかになったと感じるのには、素材の性質や靴の構造に基づいた明確な理由があるんです。
100均のダイソーやセリアで手軽に買える中敷きを試したり、つま先の詰め物を使ってなんとか応急処置をしたいという方も多いはず。特にローファーなどの紐がない靴は、少しかかとが浮くだけでも歩きにくくてストレスですよね。
この記事では、なぜ靴が緩くなるのかという原因の深掘りから、プロの修理店に頼む際の賢いポイントまで、私が調べた知識を余すことなくお伝えします。
革靴がぶかぶかになった原因と沈み込みの仕組み

「買った時はあんなにタイトで足が痛かったのに、今では脱げそうなくらい緩い……」
そんな不思議な現象に悩まされていませんか?革靴がぶかぶかになった背景には、靴の内部で起きている不可避な変化が隠されています。まずはその正体を突き止めていきましょう。
革靴が馴染むと緩くなるのは中底の沈みが原因

本格的な革靴、特に「グッドイヤーウェルト製法」などで作られた靴を愛用しているなら、まず疑うべきは「中底(インソール)の沈み込み」です。
この製法の靴は、足が直接触れる中底と地面に接するアウトソールの間に空間があり、そこには「練りコルク」などの充填剤がぎっしりと敷き詰められています。
新品の時はコルクに厚みと弾力があり、足を押し返してくるような感覚がありますが、履き続けるうちに自分の体重(静荷重)と歩行時の衝撃(動荷重)によって、コルクが足の形に合わせてギュッと圧縮されていきます。
これを「馴染む」と表現することもありますが、物理的には靴内部の体積が拡大している状態です。一般的に、この沈み込みは2mmから5mm程度に達すると言われており、これは靴のサイズで言えばハーフサイズ、あるいはワイズ(足囲)が1ランク変わるほどの劇的な変化なんです。
この仕組みについては、日本を代表する靴メーカーであるリーガルコーポレーションの公式サイトでも詳しく解説されています。 (出典:株式会社リーガルコーポレーション「靴の製法あれこれ① グッドイヤーウェルト製法」)
購入時に「沈み込み分」を計算に入れず、試着室で「ちょうどいい余裕」があるサイズを選んでしまうと、コルクが沈み切った後には足が靴の中で泳いでしまい、結果として「革靴がぶかぶかになった」という悩みが発生してしまいます。本格的な靴ほど、この変化は顕著に現れることを覚えておきたいですね。
ローファーのかかとが抜ける理由と構造的要因
「革靴 ぶかぶか」という悩みの中で、特に深刻なのがローファーです。紐靴であれば、多少緩くなっても紐をきつく締め上げることで甲を固定し、強引にフィットさせることができます。
しかし、ローファーは紐がない「スリッポン」形式。構造上、「甲の押さえ」と「かかとの引っ掛かり」の2点のみで足を保持しています。
前述した中底の沈み込みが発生すると、足の位置が靴の中で全体的に数ミリ下がります。すると、本来ぴったりフィットしていたはずの甲部分に隙間が生まれ、足を固定する力が一気に弱まります。
この隙間のせいで、歩く際にかかとを蹴り出す動作に靴が追いつかず、かかとを支えるカップから足がパカパカと外れてしまうのです。これを「ヒールスリップ」と呼びます。
また、ローファーは紐靴に比べて履き口が広く設計されているため、一度緩くなると足が前方へ滑りやすくなります。つま先側に足が寄ってしまうことで、かかと側の空間がさらに広がり、脱げやすさが加速するという悪循環に陥るのがローファー特有の難しさと言えますね。
調整の際は、単にかかとを埋めるだけでなく「いかに甲の隙間を埋めるか」が重要になってきます。
長期間の着用で革靴が伸びるクリープ現象の正体

革靴がぶかぶかになったと感じるもう一つの大きな要因は、素材である「革」そのものの変化です。
革はコラーゲン繊維が複雑に絡み合った天然素材であり、外からの力に対して柔軟に変形する性質を持っています。長期間履き続けることで、歩行時の屈曲や足の圧力により繊維が徐々に引き伸ばされ、元の形に戻らなくなる現象を物理学で「クリープ現象(永久歪み)」と呼びます。
特に顕著なのが「幅(ウィズ)」方向への伸びです。歩くたびに足の横幅には強い圧力がかかるため、靴の側面を支える革がじわじわと外側へ広がっていきます。
これにより、足の両サイドをホールドする感覚が失われ、靴の中で足が左右にブレるようになります。これが、体感的なサイズアップを招く正体です。また、革の種類によっても伸び方は異なり、次のような特徴があります。
| 革の種類 | 伸びやすさと特徴 |
|---|---|
| カーフレザー | 適度に伸びるが、きめ細かく馴染みが良い。変化は予測しやすい。 |
| スエード | 起毛革は組織が柔らかいため、表革よりも早く伸びやすい傾向がある。 |
| コードバン | 非常に頑丈だが、一度伸びてしまうと元に戻りにくい特性がある。 |
このように、素材の特性上「靴は必ず大きくなるもの」と割り切って、定期的なメンテナンスや調整を行うことが大切ですね。
関連記事:革靴は伸びるのか解説【辛い時の対処法や馴染むまでの目安期間まとめ】
かかとのすべり革が摩耗して脱げやすくなる理由

靴の内側、特にかかとが直接触れる部分を「すべり革(カウンターライニング)」と呼びます。ここは歩くたびに激しい摩擦にさらされる場所で、意外と摩耗が激しいパーツです。長年愛用していると、この部分の起毛がハゲてツルツルになったり、最悪の場合は穴が開いてしまったりします。
すべり革が摩耗すると、大きく分けて2つの問題が発生します。一つは「物理的な厚みの減少」です。わずか1mm程度の摩耗であっても、かかと周りのフィッティングにとっては大きな差となります。
もう一つは「摩擦係数の低下」です。新品のすべり革(特にスエード状のもの)は靴下をしっかりグリップしてくれますが、表面が平滑化してしまうと「ツルッ」と滑りやすくなり、かかとを保持できなくなります。
「サイズ感はそんなに変わっていないはずなのに、なぜかかかとだけ抜ける」という場合は、このライニングの劣化が原因かもしれません。
かかとが抜けると歩行バランスが崩れ、膝や腰への負担も増えてしまいます。早めに対策を打つことで、靴自体の寿命も延ばすことができますよ。
朝と夕方で変わる足のむくみとサイズの変動
靴側の変化だけでなく、私たち自身の「足」も一日の中で劇的に変化しています。よく言われるのが「足のむくみ」ですね。重力の関係で水分が足元に溜まりやすいため、夕方になると朝に比べて足の体積が数パーセント大きくなると言われています。
もし夕方のむくんだ状態でフィッティングして靴を購入した場合、朝の「すっきりした足」の状態では相対的に靴が大きく感じられ、「あれ、革靴がぶかぶかになった?」と錯覚することがあります。
また、季節による変化も見逃せません。冬場に厚手のウールソックスを履いて調整した靴を、夏場に薄手のビジネスソックスで履けば、当然ながら緩さを感じるようになります。さらに、体重の増減によって足の脂肪層の厚みが変わることでもフィット感は左右されます。
このように、足のサイズは常に一定ではありません。そのため、ある程度の「許容範囲」を持たせた調整が必要になります。朝だけ緩いのか、一日中緩いのかを冷静に見極めて、調整パーツを使い分けるのが「革の小部屋」流の賢い付き合い方かなと思います。
革靴がぶかぶかになった時の調整方法と解決策

原因がわかれば、あとは対策あるのみです。高いお金を出して買った大切な革靴ですから、少し緩くなったくらいで手放すのはもったいないですよね。
ここでは、DIYでできる手軽な方法から、プロによる本格的なカスタマイズまで、具体的な解決策をステップ別に解説していきます。
100均のダイソーやセリアの中敷きでサイズ調整

「とにかく安く、今すぐなんとかしたい!」という時に心強い味方なのが、ダイソーやセリアなどの100均ショップです。
最近の100均の中敷き(インソール)コーナーは非常に充実しており、厚手のタイプから衝撃吸収性に優れたジェルタイプまで、多種多様なアイテムが揃っています。
まず試してほしいのが、2mm〜4mm程度の厚みがあるフルインソールです。これを1枚入れるだけで、中底の沈み込み分をほぼカバーできることが多いです。
ただし、100均の低価格なウレタン素材やEVA素材は、体重による「へたり」が早いという弱点があります。数回履くとペシャンコになって調整効果が薄れてしまうこともあるため、あくまで「どのくらいの厚みの中敷きを入れればフィットするか」を確認するためのテスト用として活用するのがコツです。
100均アイテム活用のポイントは「重ね技」です。つま先側だけが緩いなら、ハーフタイプを2枚重ねるなど、低コストを活かして自分だけの「ちょうどいい厚み」を探ってみてください。納得のいくフィット感が見つかったら、それを基準に専門メーカー製の耐久性の高いインソールに乗り換えるのが無駄のない流れですね。
なお、100均素材は吸湿性が低いものが多いため、夏場は蒸れやすくなる点には注意してください。こまめに取り替えるか、消臭効果のあるタイプを選ぶのがおすすめですよ。
つま先の詰め物やタンパッドでフィット感を改善
中敷きを敷くと「かかとが高くなりすぎて、逆に脱げやすくなる」という現象が起きることがあります。そんな時にぜひ試してほしいのが、「タンパッド」と「つま先の詰め物」です。これらは靴の容積を減らすアプローチが中敷きとは根本的に異なります。
特におすすめなのがタンパッドです。これは靴のベロ(舌)の裏側に貼り付けるクッションで、甲部分に厚みを持たせることで足全体を靴底方向へ押し付ける効果があります。これにより、かかとの深さを維持したまま、甲の「押さえ」だけを強化できるんです。ローファーがぶかぶかになった場合には、このタンパッドが最も効果的な解決策になることが多いですね。
一方、つま先の詰め物(フィッティングピロー)は、足が前方に滑ってしまうのを防ぐのに有効です。特にヒールの高い靴や、捨て寸(つま先の余り)が多すぎる場合に重宝します。
代表的な部分調整パーツの特徴
これらのパーツを組み合わせることで、「点はぴったりだけど全体が緩い」といった複雑な悩みにも対応できるようになります。市販の専門メーカー(コロンブスやM.MOWBRAYなど)の製品は1,000円前後で購入でき、耐久性も100均より格段に高いですよ。
市販のインソールや靴紐の結び方による応急処置
100均でのテストが終わったら、次は信頼できる市販のインソールを選んでみましょう。私のおすすめは、本革(レザー)製のインソールです。革は汗を吸い取ってくれるため、靴内部の環境を悪化させず、履き心地も自然なのが魅力です。
また、コストゼロですぐに試せるのが「靴紐の結び方の工夫」です。実は、紐の通し方を変えるだけでホールド力は劇的に変わります。一般的なビジネスシューズは「シングル」や「パラレル」で結ばれていることが多いですが、フィット感を重視するなら「オーバーラップ」という手法を試してみてください。
紐をハトメの上から下へ通していく方法で、緩みにくく、足をしっかり包み込んでくれます。
さらに究極のホールド力を求めるなら、ランニングシューズなどで使われる「ヒールロック(ダブルアイレット)」というテクニックを応用するのも手です。足首に近い一番上の穴で輪っかを作り、紐をロックすることで、かかとの浮きを物理的に防ぎます。見た目は少しスポーティーになりますが、歩行時の安定感は抜群ですよ。
インソール選びに迷ったら、まずは自分の靴のブランドと同じメーカーが出している純正インソールを探してみるのも良いですね。形が靴のラスト(木型)に合っているため、カットの手間が省けることもあります。
ミスターミニットや靴専科に修理を依頼する料金

DIYでの調整に限界を感じたり、高級靴なので見た目を一切変えたくないという場合は、迷わずプロのリペアショップに持ち込みましょう。「ミスターミニット」や「靴専科」などの専門店には、靴の構造を熟知したスタッフによる「サイズ調整メニュー」が存在します。
プロの技で最も素晴らしいのが、中敷きを一旦剥がして、その下に調整材を仕込む「インナーパット調整」です。これなら、靴を脱いだ時も調整パーツが見えず、ブランドロゴの入った純正の中敷きをそのまま活かすことができます。「この靴、実は調整してるんだよね」と気づかれないほど自然な仕上がりになりますよ。
| サービス内容 | プロに頼むメリット | 料金相場(税込) |
|---|---|---|
| インナーパット調整 | 見た目が変わらず、左右個別の細かい厚み調整が可能。 | 1,650円 〜 2,750円 |
| カウンターライニング補修 | かかとの破れを直しつつ、厚みを出してホールド力復活。 | 3,300円 〜 4,400円 |
| 中敷き全交換 | 劣化をリセット。クッション性の高い素材も選べる。 | 2,200円 〜 |
プロに頼む際は、「どの部分が、どんな歩き方の時に気になるか」を正確に伝えるのが成功の秘訣です。
店舗によっては実際に歩行シーンを確認してくれるところもあります。料金やサービス内容は地域や店舗の状態によって変動するため、必ず公式サイトで最新情報をチェックしたり、直接店頭で相談したりするようにしてくださいね。
革靴がぶかぶかになった後も愛用するためのまとめ
ここまで読んでいただきありがとうございます!革靴がぶかぶかになったという悩みは、実はお手入れや調整次第で「世界に一足の完璧なフィット感」に進化させるチャンスでもあります。
最初は足が痛かった靴が、沈み込みを経て、適切な調整を加えることで自分の足の分身のようになる過程こそ、革靴を育てる醍醐味だと私は考えています。
今回ご紹介した解決策をもう一度振り返ってみましょう。
靴が緩いまま無理に歩き続けると、変な履きジワが付いて靴を傷めるだけでなく、外反母趾やタコ、さらには腰痛の原因にもなりかねません。少しでも違和感を感じたら、今回ご紹介した方法で早めに対処してあげてくださいね。
もし足の形自体に不安がある場合や、調整しても痛みが消えない場合は、靴の調整と並行して専門の医療機関や義肢装具士の方に相談することも検討してください。この記事が、あなたの素敵な革靴ライフの一助になれば幸いです!
