こんにちは!革の小部屋管理人の小次郎です!
オールデンのバーガンディ、いわゆるナンバーエイト(No.8)の輝きに心を奪われたことはありませんか。私もあの深い色味と、使い込むほどに表情を変えるコードバンの質感には、いつも惚れ惚れしてしまいます。
ただ、実際に手に入れようとすると、オールデンのバーガンディ特有の色抜けがどんな風に進むのか、あるいは独特なラストによるサイズ感はどう選べばいいのかなど、迷うポイントも多いですよね。
高価な靴ですから、中古での購入を検討したり、手入れの方法を調べたりして、慎重に判断したいと思うのは当然のことです。この記事では、私が実際に調べたり試したりして感じた、オールデンのバーガンディの魅力やエイジングの醍醐味、誠実に向き合うための選び方について詳しくお伝えしていきます。
オールデンのバーガンディが持つ魅力と素材の秘密

オールデンの代名詞とも言えるバーガンディ。
この色がなぜこれほどまでに世界中の人を惹きつけるのか、その理由を素材の特性から紐解いていきましょう。まずは、私たちが「バーガンディ」と呼んでいるあの色の正体と、時間の経過がもたらす魔法のような変化についてご紹介します。
唯一無二の深みを生むエイジング

オールデンのバーガンディにおける最大の魅力は、なんといっても唯一無二のエイジングにあるかなと思います。使われているのは、アメリカ・シカゴの名門、ホーウィン社が作る最高級の「シェルコードバン」です。
新品のときは、一見すると黒に近いような、とても深い紫色のような色合いをしていますよね。これが履き込むうちに、持ち主の歩き方のクセに合わせて、コードバン特有のダイナミックな「うねるようなシワ」が刻まれていきます。牛革の細かいシワとは違い、大きな波が打つようなシワに光が反射する様子は、まるで芸術品を見ているような気分になります。
このシワの部分に光が当たることで、平面だった革に立体感が生まれ、より一層深みが増していくんです。私自身、このシワが入った瞬間に「自分だけの靴になった」という実感が湧いて、ますます愛着が深まるのを感じます。
また、コードバンは繊維が垂直に整列しているため、毛穴がなく、磨き込むことで「濡れたような光沢」が生まれます。この光沢とシワが組み合わさることで、他のどんな革靴にも出せない圧倒的な存在感を放つようになります。
まさに、履く人とともに成長し、刻まれた歴史をそのまま美しさに変えてしまうのが、このバーガンディエイジングの素晴らしさですね。
コードバン自体の希少性も、この魅力を支えています。農耕馬の臀部からしか採れない極めて限られた層を、熟練の職人が半年以上の時間をかけてタンニングするプロセスは、現代の効率化社会とは対極にあるロマンを感じさせてくれます。この手間暇こそが、私たちが手にする一足の重みとなり、単なる「靴」以上の価値を与えてくれるのかなと思います。
茄子紺から赤茶へ変化する色抜け
バーガンディを語る上で避けて通れないのが、いわゆる「色抜け」という現象です。
新品の時は「茄子紺(なすこん)」と表現されるようなダークな色味ですが、紫外線や摩擦の影響を受けて、少しずつ色が明るくなっていくんです。これが本当に面白いところで、数年後には元の色からは想像もつかないような、透き通った赤茶色や、明るいワインレッドのような色合いへと変化していきます。

この色の変化を楽しみたいがために、あえて直射日光の当たる窓際で保管する愛好家がいるほど、この「色抜け」はポジティブな要素として親しまれています。
この変化は「フェーディング」とも呼ばれますが、決して劣化ではなく、むしろ価値が高まるようなポジティブな変化として捉えられています。日光に当たる時間が多いほど変化が早まるので、人によって全く違う表情に育っていくのが、オールデンのバーガンディを楽しむ醍醐味ですね。
なぜ色が抜けるかというと、ホーウィン社で使用されている赤色の染料が光に対してデリケートだからなのですが、それが結果として「自分だけのオリジナルカラー」を作り出すという、最高の副産物を生んでいます。5年、10年と経ったときに、あなたの靴がどんな色になっているか、想像するだけでワクワクしませんか?
ちなみに、この変化を遅らせたい場合は、補色効果の高いクリームで手入れをすればある程度維持できますし、逆に変化を加速させたいなら無色のワックスだけで仕上げるという選択肢もあります。自分の理想のバーガンディ像に合わせて、育てる楽しみがあるのが最大の強みと言えるでしょう。 (出典:Horween Leather Company公式『Leathers』)
名作の風格を纏う:990

オールデンのバーガンディを語るなら、まず外せないのが「990」というモデルでしょう。装飾が一切ないプレーントゥ・ブラッチャー(外羽根式)ですが、そのシンプルさゆえに、コードバンの素材の良さが一番ダイレクトに伝わってくる一足かなと思います。
大きな一枚革で贅沢に作られているので、先ほどお話しした「シワのうねり」が最も綺麗に出るのがこのモデルの特徴です。990を履き込むことで現れる、甲全体を覆うような力強い波状のシワは、まさにオールデン愛好家の勲章のようなものです。
ボリューム感のある「バリーラスト」が採用されていて、武骨さとエレガントさが同居したような独特のシルエットは、デニムからスラックスまで幅広く馴染んでくれます。
初めてオールデンのバーガンディを買うなら、この990を選んでおけば間違いないと言われるほどの定番ですね。バリーラストは適度なゆとりがあり、長時間の歩行でも疲れにくいという実用性も備えています。また、360度リバースウェルトという仕様により、がっしりとした見た目の重厚感があり、アメリカ靴らしい力強さを感じさせてくれます。
990の魅力は、その「普遍性」にあります。流行に左右されず、20年前に買った人が今でも現役で履いているのをよく見かけます。手入れを怠らなければ、一生モノとして使い続けることができる耐久性も、この990が名作と呼ばれる所以です。
新品の時のパキッとした輝きも素敵ですが、数年経って色が抜け、シワが定着した990の横顔は、言葉では言い表せないほどの格好良さがあります。私自身、街中で綺麗にエイジングされた990を見かけると、ついつい足元を二度見してしまいます。
憧れの最高峰モデル:1339

ブーツ好きの方なら、チャッカブーツの「1339」が真っ先に思い浮かぶかもしれません。足首まで覆う広い面積のコードバンが使われているので、履き込んだときに出るシワの迫力は圧倒的です。
1339も990と同じバリーラストですが、くるぶしまでホールドされる安心感があり、冬場のジャケパンスタイルには最高の相棒になってくれます。2アイレットという最小限の紐通し穴が、コードバンの広大な面を際立たせ、無機質な美しさを演出しています。
価格については、2026年現在、原材料の高騰や円安の影響もあり、国内定価は18万円〜21万円を超えることも珍しくありません。数年前を知っている身としては、かなりの値上がりを感じますが、それでも需要が絶えないのがこの靴の凄いところです。
高額ではありますが、その分しっかり手入れをすれば10年、20年と履ける耐久性があり、ソールを交換しながら長く付き合うことができます。長い目で見れば、安価な靴を数年ごとに買い替えるよりも、結果として満足度の高い投資になるのかなと思います。
1339のようなチャッカブーツは、パンツの裾幅を選ばず合わせやすいのがメリットです。細身のパンツならスタイリッシュに、太めの軍パンなら無骨な印象にと、表情を自由に変えられるのも魅力の一つですね。特にバーガンディの色味は、オリーブやネイビーといった定番のパンツカラーと非常に相性が良いですよ。
資産価値としても非常に高く、中古市場でも状態が良いものは驚くほどの高値で取引されています。それだけ世界中に「1339を履きたい」と願う人が絶えないということですね。手に入れるまでは勇気がいりますが、一度足を通せば、その重厚なコードバンの質感と、包み込まれるような履き心地に、きっと魅了されるはずです。
唯一無二の造形美を誇るVチップ

日本で特に人気が高いのが、モディファイドラストを採用した「Vチップ(54321)」です。つま先のV字のステッチがアクセントになっていて、足をすっきりと長く見せてくれる効果があります。
バーガンディの艶やかな光沢が、Vチップの立体的な造形をさらに際立たせて、とても色気のある足元を演出してくれます。このモデルは、もともと「アルゴンキン・オックスフォード」という名前で親しまれており、狩猟用の靴にルーツを持つデザインです。
モディファイドラストは、もともと医療用の矯正靴をルーツに持っているため、土踏まずをグッと持ち上げるような独特のフィット感が特徴です。指先は解放されているのに、足のアーチ部分はしっかりと固定されるため、歩行時の安定感が抜群なんです。
一度履くとこの感覚が忘れられなくなるファンも多く、「オールデンを履くならモディファイドラスト以外考えられない」という熱狂的な愛好家も少なくありません。
Vチップのデザインは、カジュアルな装いをクラスアップさせてくれるだけでなく、ビジネスシーンでの「外し」としても優秀です。特にバーガンディの54321は、黒の靴よりも柔らかい印象を与えつつ、しっかりと主張もしてくれる絶妙な立ち位置にあります。
履き込むことでV字部分の革が馴染み、立体感がさらに増してくる様子は、まさに自分だけの造形美を育てているような感覚になります。高価な靴ではありますが、その機能美とデザインの完成度を考えれば、選ぶ価値は十分すぎるほどあります。
大人な表情を作るコーデ術
バーガンディという色は、実は黒以上に汎用性が高い万能カラーだと私は思っています。特にグレーのスラックスとの相性は抜群で、黒靴ほど重くなりすぎず、ブラウンほどカジュアルすぎない絶妙なバランスを保ってくれます。

チャコールグレーのパンツにバーガンディを合わせると、足元に一点「色気」が加わり、全体のコーディネートがグッと引き締まります。また、ネイビーのスーツに合わせれば、クラシックかつ知的な印象を与えることができます。
休日のカジュアルスタイルなら、色落ちしたヴィンテージのインディゴデニムに、あえてツヤツヤに磨いたバーガンディを合わせるのも、大人っぽくて素敵ですよね。デニムのラフさと、コードバンの高級感というコントラストが、こなれた雰囲気を生み出します。
他にも、ベージュのチノパンと合わせれば、古き良きアメリカのアイビースタイルを現代的に楽しむことができます。バーガンディは暖色系なので、カーキやオリーブといったミリタリーカラーとも非常に相性が良いですよ。
ソックスの色を変えるだけでも印象がガラッと変わります。ネイビーのソックスで知的な印象にしたり、あえてアイビー風に白のソックスを合わせて、バーガンディの色味を際立たせるのも面白いですよ。
赤みのあるソックスで同系色にまとめたり、アーガイル柄で英国調の雰囲気をプラスしたりと、足元の遊び心が広がります。一見、色の主張が強そうに見えるバーガンディですが、実際に履いてみると驚くほど何にでも馴染んでくれる。そんな懐の深さが、大人のファッションにおけるバーガンディの真の価値なのかなと思います。
オールデンのバーガンディの選び方や手入れの哲学

ここからは、実際に手に入れる際に気になるサイズ選びや、その輝きを一生保つためのメンテナンスについて掘り下げていきます。高価な靴だからこそ、自分なりの「手入れの流派」を見つけるのも、楽しみの一つになるはずです。
ラストごとに異なるサイズ感
オールデン選びで一番難しいのがサイズ感です。モデルによって「ラスト(木型)」が異なり、それぞれ履き心地が全く違います。よく言われる目安をまとめてみましたが、足の形は人それぞれなので、あくまで一般的な傾向として参考にしてくださいね。
特に、バーガンディコードバンは馴染むまでに時間がかかるため、最初のサイズ選びがその後の靴人生を左右すると言っても過言ではありません。
| ラスト名 | 特徴 | サイズ選びの目安 |
|---|---|---|
| バリーラスト | ゆったりしたアメリカ標準。踵も大きめ。 | 普段よりハーフサイズ下げるのが一般的。 |
| モディファイド | 土踏まずが絞られ、指先は広い。 | 土踏まずの位置を合わせるのが最優先。 |
| バンラスト | ローファー専用。甲が低く設計されている。 | 甲高の人はサイズ選びに注意が必要。 |
| ミリタリー | 軍用ラスト。踵が小さめで日本人に合いやすい。 | バリーと同じか、実寸に近いサイズ。 |
コードバンは牛革に比べて「伸びにくい」という性質があります。最初は少しタイトなくらいが馴染みやすいと言われますが、痛みを我慢するほどの「修行」はおすすめしません。
無理に小さなサイズを履き続けると、足に負担がかかるだけでなく、革に無理な力がかかって寿命を縮めてしまうこともあります。逆に大きすぎると、コードバン特有のシワが変な場所に入ってしまい、美しさを損なう原因にもなります。
自分に合うサイズを見つけるには、USサイズ表記だけでなく、ウィズ(足幅)の概念も理解しておく必要があります。オールデンの多くは「Dウィズ」が標準ですが、足幅が広い方は「Eウィズ」を探してみるのも一つの手です。
輝きを永く保つための手入れ方法
バーガンディコードバンの手入れには、大きく分けて二つの考え方があります。一つは、あまり過保護にせず、革本来の油分を活かす「マックメソッド」のような自然派スタイル。もう一つは、専用のクリームでしっかりと補色し、鏡面磨きなどで輝きを与えるスタイルです。
どちらが正解ということはなく、自分が「どういう風に育てたいか」という哲学の問題になります。私自身は、普段はブラッシングメインで、季節の変わり目などにしっかりとクリームで栄養補給をするバランス型を好んでいます。
個人的には、「馬毛ブラシでのブラッシング」こそが最強の手入れだと思っています。履いた後にしっかりとブラッシングするだけで、革の奥から油分が表面に出てきて、自然なツヤが戻ります。
特にコードバンは、ブラッシングの摩擦熱によって繊維が整い、輝きが増す性質があります。毎日1分だけでもいいので、愛情を込めてブラッシングを続けることが、10年後の美しさを決めると言っても過言ではありません。クリームを使うのは、数ヶ月に一度、色が抜けてカサつきを感じたときだけで十分かもしれません。
手入れのしすぎも禁物です。クリームを塗りすぎると、表面にロウ分が溜まりすぎて、コードバン本来の透明感が失われてしまうことがあります。何事も「適量」を心がけるのが、バーガンディを美しく保つ秘訣ですね。
関連記事:革靴のクリームの頻度は月1回?塗りすぎの弊害と素材別の最適解
職人技で魅せる磨き方のコツ
もし、宝石のような輝きを求めるなら、ワックスを使った鏡面磨き(ハイシャイン)に挑戦するのもいいですね。バーガンディの深い色味に、透き通るような光沢が加わると、その美しさはさらに倍増します。

ただし、コードバンは水に弱いので、磨く時の水加減には注意が必要です。水分が多すぎると革がふやけてしまい、せっかくの繊維が寝てしまうこともあります。熟練の職人さんは、最小限の水分とワックスの層を重ねることで、奥行きのある輝きを作り出します。
また、コードバンケアで欠かせないのが「かっさ棒」や「レザースティック」を使った毛羽立ちの抑制です。履き込むとシワの部分が白っぽく毛羽立つことがありますが、これをスティックで押し込むように擦ることで、表面を平滑に整えることができます。
この工程を挟むことで、磨き上げた時の光の反射が一段とシャープになります。補色には、サフィールノワールのコードバン専用クリームのバーガンディ色が非常に優秀です。染料ベースで革に深く浸透し、ナンバーエイト特有のあの「茄子紺」の色味を絶妙に補ってくれます。
雨の日の着用は極力避けましょう。もし濡れてしまったら、すぐに柔らかい布で水分を拭き取り、陰干ししてください。濡れたまま放置すると、繊維が膨張して表面にブツブツとした「水ぶくれ(ブク)」ができる原因になります。もしブクができてしまったら、無理に自分で直そうとせず、プロの靴磨き職人に相談することをおすすめします。
資産価値も高い中古品

近年の定価高騰により、中古市場でオールデンを探す人も増えています。バーガンディのコードバンは非常にタフなので、中古でも状態が良いものが多く出回っています。
特に、前の持ち主が良い感じに育てた「色抜けした個体」を狙うのも、中古ならではの楽しみ方ですよね。新品から育てる苦労をスキップして、最初からヴィンテージ感あふれる姿で履き始められるのは、中古ならではのメリットです。また、昔の個体の方が革質が良いという意見もあり、「あえてヴィンテージを狙う」マニアの方も多いんですよ。
ヤフオクやメルカリなどで探す際は、「ソールの減り具合」や「クラック(ひび割れ)の有無」をしっかりチェックしましょう。特にコードバンは、乾燥した状態で放置されると、屈曲部からパカッと割れてしまう「クラック」が起きやすいのが弱点です。
写真でシワの奥に深いひびがないか、注意深く確認してください。また、インソールの沈み込みが激しすぎるものは、前の持ち主の足型が強く残っていて、自分の足に馴染みにくい場合があるので注意が必要です。
中古相場も上がっていますが、状態の良いものであれば8万円〜10万円前後、多少の使用感があるものでも5万円〜7万円台で見つかることもあります。新品定価が20万円を超えている今、半額以下で手に入れられる中古市場は、賢い選択肢の一つと言えるでしょう。
まとめ:魅惑のオールデンのバーガンディを楽しむ
オールデンのバーガンディは、ただの靴という枠を超えて、共に時間を刻むパートナーのような存在だと私は思います。最初は濃い茄子紺だった色が、数年後には美しい赤茶色へと変化していく過程は、まさに自分だけの物語を紡いでいるようです。
履くたびに深まるシワ、磨くたびに増す光沢、そして年月がもたらす絶妙な色抜け。そのすべてが、この靴を「唯一無二」の存在へと押し上げてくれます。10年後にその靴を見たとき、あなたはきっと、その靴と一緒に歩んだ日々を思い出すことでしょう。
