こんにちは!革の小部屋管理人の小次郎です!
オールデンといえば、独特の光沢を放つコードバンのモデルが真っ先に思い浮かぶかもしれませんが、実生活での実用性をじっくり考えていくと、オールデンの981のようなカーフモデルががぜん気になってくるという方も多いのではないでしょうか。
特に、981のサイズ感や現在の定価事情、さらには賢い中古での選び方など、いざ購入しようと思うと事前にチェックしておきたいポイントは山ほどありますよね。
この記事では、これから新品を通販や実店舗で探したいと考えている方はもちろん、状態の良い個体を中古市場で狙っている方に向けて、具体的なコーデの提案から日々の手入れ、失敗しないフィッティングのコツまで、気になる情報を私なりの視点で網羅的にまとめてみました。
この記事が、皆さんの相棒選びのヒントになれば嬉しいです。ぜひ最後までお付き合いくださいね!
オールデンの981が誇る不朽の美学と特徴

まずは、オールデンの981がどのような背景を持ち、どんなこだわりで作られているのかという基本スペックから深掘りしていきましょう。
この靴の成り立ちを知ることで、なぜ世界中のファンから「あがりの一足」として選ばれ続けているのか、その理由が見えてくるはずですよ。
艶やかなカーフスキンとエイジングの魅力

オールデンの981を語る上で絶対に外せないのが、アッパーに採用されている高品質なブラックカーフスキンの存在です。
オールデンといえば「革のダイヤモンド」と称されるシェルコードバンのイメージが強烈ですが、実はこのカーフモデルこそが、ブランドの靴作りに対する誠実さを最も体現しているのではないかと私は思っています。使用されているのは、世界中のタンナーから厳選されたトップグレードのカーフであり、さらに「アニリン仕上げ」が施されている点が非常に重要です。
アニリン仕上げとは、革の表面を顔料で塗りつぶすのではなく、染料をじっくり染み込ませて色付けする手法のこと。これにより、仔牛革ならではのキメの細かさや毛穴の美しさがそのまま残り、奥行きのある透明感が生み出されるんですね。
コードバンが「うねるようなダイナミックな皺」を刻んでいくのに対し、カーフは「細かく繊細な波のような皺」が重なっていくのが特徴です。この繊細な皺が、使い込むほどに持ち主の足の形を記憶し、唯一無二の表情へと育っていきます。
また、カーフはコードバンに比べて非常にしなやかで、最初から足当たりが柔らかいというメリットもあります。磨き込めば磨き込むほど、奥からじわっと滲み出るような気品ある光沢を楽しめるので、日々のシューケアが本当に楽しくなる革質ですよ。
さらに、このカーフスキンは厚みがありながらもしなやかさを失わない絶妙なバランスで仕上げられています。これにより、長年履き込んでも型崩れしにくく、それでいて足の動きに柔軟に追従してくれるんです。
快適さを生むバンラストの設計と履き心地

981の履き心地の核心を担っているのが、ローファー専用に設計された「バンラスト(Van Last)」という木型です。このラストは、オールデンが持つ数々の木型の中でも特に個性的で、熱烈なファンが多いことで知られています。
視覚的な大きな特徴は、つま先(トゥ)の部分がソールに対して垂直に近い角度で立ち上がっていること。これにより、靴の内部の指先周りに独特の立体的な空間、いわゆる「遊び」が生まれ、指が圧迫されにくい快適な設計になっているんです。
しかし、単にゆったりしているだけではありません。ローファーは紐で締め付けを調整できないため、歩行時に踵(かかと)が浮いてしまうのが最大の弱点ですよね。
そこでバンラストは、踵をしっかりホールドするために、甲(インステップ)の高さを意図的に低く抑えています。この「つま先の余裕」と「甲の抑え」の絶妙なバランスこそが、吸い付くようなフィット感の秘密なんです。
履き始めは、人によっては「甲が少しタイトかな?」と感じることもあるかもしれませんが、これこそが後々の最高の履き心地を生むための計算された設計なんですね。
もし他の靴でサイズ選びに悩んでいるなら、パラブーツのReims(ランス)を徹底解説!など、他のボリュームあるローファーと比較してみるのも、自分の好みの傾向を知る良いきっかけになるかもしれませんよ。
職人の技が光るハンドソーンモカシンの詳細
モデル名に含まれる「レジャーハンドソーン(Leisure Handsewn)」という言葉。この「ハンドソーン(手縫い)」の精神が最も凝縮されているのが、つま先のU字型にあしらわれたモカシン縫いです。

現代の靴作りの多くが機械化されていますが、981のこの部分は、熟練した職人が一針一針、魂を込めて手作業で縫い上げているんです。特にLHS(レジャーハンドソーン)のモカ縫いは「スキンステッチ」に近い高度な技法が用いられており、革の厚みの中に針を通すことで、表面に力強い「畝(うね)」を作り出しています。
この手縫いのステッチは、単なる装飾ではありません。職人の手の加減によって微妙な力加減の差が生まれ、それが靴全体に柔らかなニュアンスと工芸品のような温かみを与えているんです。
機械縫いの均一すぎるステッチとは一線を画す、どこか有機的で生き生きとした表情。これこそが、981を「単なる工業製品」から「一生モノの作品」へと昇華させている要因だと私は思います。光の当たり方によってステッチが作り出す影が変わり、黒一色の靴に驚くほど豊かな立体感をもたらしてくれるんですね。
また、この手縫いの工程は非常に手間がかかるため、一日に生産できる数には限りがあります。大量生産が当たり前の現代において、あえて職人の手仕事に拘り続けるオールデンの姿勢には、履く側としても背筋が伸びるような思いがします。
このステッチ部分をケアする際、馬毛ブラシで丁寧に埃を払い、クリームがステッチの溝に詰まらないように優しく仕上げていく。そんな時間さえも、この靴を所有する喜びの一部になるはずです。
耐久性に優れたグッドイヤーウェルトの構造

オールデンの981が「一生モノ」と呼ばれる最大の技術的根拠は、その堅牢な「グッドイヤーウェルト製法」にあります。この製法は、アッパーとソールを直接縫い合わせるのではなく、「ウェルト」と呼ばれる細い革のパーツを介して接合する複雑な構造をしています。
このおかげで、アウトソールが摩耗して薄くなっても、アッパーを傷つけることなくソールだけを何度も交換(オールソール)することができるんです。つまり、10年、20年という長いスパンで愛用し続けることが物理的に可能な設計になっているんですね。
さらに、この製法の素晴らしいところは、中底とアウトソールの間にたっぷりと敷き詰められた「練りコルク」の存在です。最初は少し硬く感じるかもしれませんが、履き込むほどに自分の体重によってコルクが沈み込み、自分の足裏の形にぴったりと成形されていきます。
これを「フットベッドの形成」と呼びますが、これによりオーダーメイドシューズにも負けない、自分だけの究極のフィット感が完成するわけです。また、土踏まず部分には「テンパードスチールシャンク」という強靭な鋼鉄製の芯材が埋め込まれており、これが靴の背骨となって歩行時の歪みを防ぎ、圧倒的な安定感を生み出しています。
コードバンの986と比較した実用性の違い
「オールデンのローファーを買うなら、やっぱりコードバンの986じゃないとダメかな?」と悩む方は非常に多いです。
確かにコードバンの輝きは唯一無二ですが、実用性という観点から見ると、私は断然981のカーフモデルを推したいと思っています。その最大の理由は、日本の気候、特に「雨」に対する耐性です。
コードバンは水分に極めて弱く、一滴の雨でも表面に「ブク」と呼ばれる水膨れができてしまうことがありますが、カーフは比較的雨に強く、濡れてもしっかりケアすれば元通りになります。雨の予報を気にせずに毎日ガシガシ履けるというのは、道具として非常に大きな強みですよね。
| 比較ポイント | オールデン 981 (カーフ) | オールデン 986 (コードバン) |
|---|---|---|
| 日常の実用性 | 非常に高い。天候を問わず履ける。 | 晴れの日限定。繊細な扱いが必要。 |
| メンテナンス | 標準的な靴磨きでOK。初心者向け。 | カッサ棒など特殊な道具が必要。上級者向け。 |
| 履き心地の馴染み | 革が柔らかく、馴染むのが早い。 | 最初は硬く、馴染むまで時間がかかる。 |
| 価格の妥当性 | 比較的手が出しやすく、高コスパ。 | 非常に高価で、入手困難な場合も多い。 |
また、ビジネスシーンでの「誠実さ」という面でも、カーフの方が一日の長があるかもしれません。コードバンの強い光沢は時に華美すぎる印象を与えることがありますが、カーフの上品で落ち着いた輝きは、どんな相手にも好印象を与えてくれます。
もちろん「憧れのコードバン」という気持ちも分かりますが、まずは981でオールデンの魅力を存分に味わい、日常の相棒として使い倒す。そんな「通」な選択も、私はすごく素敵だなと思います。
オールデンの981のサイズ感と賢い購入方法

どれだけ素晴らしい靴でも、サイズが合っていなければ宝の持ち腐れ。ここからは、購入前に誰もが頭を悩ませる「サイズ選び」の深い沼と、現在の市場でいかに賢く手に入れるかという現実的な戦略についてお話ししていきます。
バリーラストと比較する失敗しないサイズ選び

オールデンのサイズ選びにおいて、避けては通れないのが「他のラストとの比較」です。特に、ブランドの基準となる「バリーラスト」をお持ちの方は多いでしょう。
一般的なセオリーとしては、バンラストはバリーラストと同じサイズ、もしくはハーフサイズ(0.5cm)ダウンが良いと言われることが多いです。しかし、これが曲者なんです。バンラストは前述の通り、甲が非常に低く設定されています。このため、足の実寸以上に「タイト」に感じることが非常に多いんですね。
特に我々日本人は、欧米人に比べて「幅広・甲高」の足型をしているケースが多いため、長さだけで選んでしまうと、甲が圧迫されて痺れるような痛みを感じることがあります。かといって、甲の痛みを避けるためにサイズを上げてしまうと、今度はローファーの天敵である「踵抜け」が発生してしまいます。この「甲の攻め」と「踵の抑え」のジレンマをどう解消するかが、981選びの最大の鍵となります。
失敗しないためのコツは、薄手の靴下で試着をし、最初は「少し窮屈かな?」と感じるくらいのものを選ぶことです。コルクが沈み、革が横方向に伸びてくると、驚くほど快適な空間に変わります。最初から楽なサイズを選んでしまうと、半年後にはガバガバになってしまうリスクがあることを忘れないでくださいね。
ブランド別・サイズ比較の目安表
| 現在の愛用靴 | オールデン 981 (バンラスト) の推奨サイズ |
|---|---|
| Alden バリーラスト US 8.5D | US 8.5D (同サイズが基本) |
| Alden モディファイドラスト US 8.0D | US 8.0D 〜 8.5D (甲の高さで判断) |
| パラブーツ シャンボード UK 7.5 | US 8.0D 〜 8.5D |
| 一般的なスニーカー (NIKE/adidas) 27.5cm | US 8.0D 〜 8.5D (約1.0〜1.5cmダウン) |
納得のいく価格で手に入れる新品と定価の現状

さて、現実的なお財布の話をしましょう。2025年〜2026年現在の日本国内におけるオールデン・981の正規販売価格は、約176,000円(税込)となっています。
数年前までは10万円前後で購入できていたことを考えると、驚くほどの値上がりですよね。これには世界的な原材料費の高騰や為替の影響、さらにはアメリカ国内の職人不足による希少性の高まりなどが複雑に絡み合っています。
「流石に高すぎる」と感じるかもしれませんが、こればかりはメーカーの公式な価格設定なので、安売りを期待するのは難しいのが現状です。むしろ、今後もさらなる値上げが予想されるため、「今が一番安い」という考え方もあります。
新品を確実に手に入れるなら、正規代理店であるラコタハウスや、信頼のおけるセレクトショップ(BEAMSやUNITED ARROWSなど)で、プロのフィッティングを受けてから購入するのが、最も確実で納得感のある方法と言えるでしょう。
私のアドバイスとしては、初めてのオールデンであれば、多少高くても実店舗で購入することを強くおすすめします。自分にぴったりのサイズを選んでもらえる安心感と、その後のアフターケアを受けられる権利は、数万円の価格差以上の価値があるからです。
また、正規店で購入することで、将来的にソール交換などの修理が必要になった際も、純正パーツを使ったスムーズな対応が期待できますよ。長く履くことを考えれば、最初の「安心」への投資は決して高くはないはずです。
資産価値も高い中古市場での探し方と注意点
新品の価格高騰を受けて、ますます注目を集めているのが中古市場です。981は流行に左右されない定番中の定番なので、メルカリやヤフオク、セカンドストリートなどのブランド古着店でも活発に取引されています。
中古の魅力は何と言ってもその価格。状態にもよりますが、6万円〜9万円程度で程度の良い個体に出会えるチャンスがあります。中には「サイズが合わなくて数回しか履いていない」といった掘り出し物も出てくるので、こまめにチェックする価値はありますよ。

ただし、中古購入には特有の注意点があります。最も重要なのは、前述した「コルクの沈み込み」です。前の持ち主がガッツリ履き込んでいた場合、すでにその人の足の形にコルクが成形されてしまっています。
これが自分の足型と極端に違うと、どれだけサイズが合っていても違和感を感じ、最悪の場合は痛みの原因になってしまいます。中古を狙うなら、できるだけ「試着のみ」や「使用数回」といった、まだフットベッドが完成しきっていない個体を選ぶのが賢明です。
中古品をチェックする際は、アッパーの「クラック(ひび割れ)」がないか、インソールのロゴがどれくらい残っているか、そしてソールの減り具合(特に爪先)を重点的に見ましょう。アッパーさえ綺麗なら、ソールは後から修理でどうにでもなりますが、革のひび割れだけは修復が困難だからです。
季節を問わず楽しめる大人のコーデと着こなし
オールデンの981の真の魅力は、その驚異的な「汎用性」にあります。黒のペニーローファーという、これ以上ないほどシンプルなデザインだからこそ、どんな服装にも馴染み、なおかつ全体を品良く引き締めてくれるんです。
ビジネスシーンなら、チャコールグレーやネイビーのスラックスに、ジャストサイズの白シャツ、そしてネイビーブレザーを羽織る。これだけで、信頼感のある大人のビジカジスタイルの完成です。足首を少し見せて軽快さを出すのが、今っぽく着こなすコツですね。
カジュアルに振るなら、私はあえて無骨なデニムやチノパンと合わせるのが大好きです。リジッド(濃紺)のデニムを少し太めにロールアップして、厚手の白ソックスを合わせ、そこに981を持ってくる。

この「清潔感とラギッドさ」のミックス加減こそ、オールデンならではの世界観だなと思います。夏場であれば、バミューダパンツにポロシャツ、インビジブルソックス(素足風)で履けば、リゾート感のある上品なスタイルに。
冬場なら、ツイードジャケットにコーデュロイパンツを合わせれば、温かみのあるクラシックな装いを楽しめます。まさに、春夏秋冬、オンからオフまでこれ一足で完結してしまうと言っても過言ではありません。
美しさを保つ手入れやメンテナンスのポイント

17万円以上もする高価な靴ですから、できるだけ長く、美しく履き続けたいですよね。オールデン・981の手入れは、実はそんなに難しくありません。
むしろ、カーフモデルはコードバンよりもずっと扱いやすいので、靴磨き初心者の方にも安心です。最も大切なのは、「履いたら休ませる」こと。一日履いた靴はかなりの湿気を吸っています。脱いだらすぐにシューツリーを入れてシワを伸ばし、少なくとも二日間は風通しの良い場所で休ませてあげてください。
日々のケアは、馬毛ブラシでのブラッシングだけで十分です。着用後にサッと埃を払う。これだけで、革の乾燥や汚れの蓄積を防ぐことができます。月に一回程度、あるいは革が少しカサついてきたなと感じたら、乳化性クリームで栄養補給をしてあげましょう。
ブラックのクリームを使えば、色が深まり、カーフ特有のしっとりとした光沢が蘇ります。もし雨に濡れてしまった場合は、乾いた布で水分を拭き取り、中に新聞紙などを詰めて陰干しし、完全に乾いてからクリームを入れるのが鉄則です。
メンテナンスの秘密兵器として、つま先に「ヴィンテージスチール」を装着するのもおすすめです。オールデンのレザーソールは返りが良くなるまでつま先が削れやすいので、新品のうちにスチールで補強しておくと、ソールの寿命を大幅に伸ばすことができますよ。
一生モノの相棒となるオールデン・981の魅力
いかがでしたでしょうか。ここまでオールデン・981の持つ歴史、構造、素材の魅力、そして実用的な購入のアドバイスまで、私なりの視点でたっぷりとお伝えしてきました。この靴は、単なるファッションアイテムとしての「ローファー」という枠を大きく超えた、履く人の歩みを支え、人生に寄り添う「最高のパートナー」と言える存在です。
コードバンの華やかな誘惑も確かに魅力的ですが、日本の多湿な気候や日常での使い勝手を真剣に考えれば考えるほど、このブラックカーフの981という選択肢が、どれほど賢明で誇り高いものかが分かっていただけるはずです。
初期投資こそ勇気が必要な価格ですが、10年、20年とソールを張り替えながら履き続け、自分の足に完全に同化したその一足は、間違いなく支払った金額以上の価値をあなたに返してくれますよ。
