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革靴

スコッチグレインのチロリアンレビュー!ミカエルとの比較も

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こんにちは!革の小部屋管理人の小次郎です!

皆さんはスコッチグレインのチロリアンシューズと聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか。武骨で力強い印象がある一方で、実際に手に取ってみようと思うと、その種類やモデルごとの違い、あるいは独特のサイズ感に悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。

特にパラブーツのミカエルといった超有名モデルと比較されることも多いため、日本ブランドであるスコッチグレインを選ぶ決め手がどこにあるのか、気になっている方もいらっしゃるはずです。

この記事では、アウトレットでの賢い探し方や、自分だけの一足に育てるための手入れ、そして数年履き込んだ後の経年変化の様子まで、私が学んできた知識を余すことなくお伝えします。

この記事を読み終える頃には、あなたが探しているスコッチグレインのチロリアンに関する疑問がすっきり解消し、自信を持って相棒を選べるようになっているはずですよ。

ポイント

  • スコッチグレインが展開するチロリアンの主要モデルと素材ごとの特徴
  • 失敗しないための実寸をベースにしたサイズ選びの具体的な基準
  • パラブーツとの徹底比較で分かった日本人のための設計とコスパの正体
  • 一生モノにするためのメンテナンス術と専門工場による修理の仕組み

スコッチグレインのチロリアンが愛される理由と種類

スコッチグレインのチロリアンが愛される理由と種類
革の小部屋

まずは、スコッチグレインのチロリアンシューズがなぜこれほどまでに靴好きの心を掴んで離さないのか、そのラインナップの多様性と構造的な魅力についてじっくりと紐解いていきましょう。

ポイント

  • 代表モデル・ウェールズをレビュー
  • 理想のフィッティングを叶えるサイズ感
  • パラブーツと比較して分かる独自の価値
  • アウトレットで手に入れる希少なモデル
  • 百貨店モデルとの違いは?

代表モデル・ウェールズをレビュー

スコッチグレインが満を持してリリースした「WALES(ウェールズ)」シリーズの「No.87」は、まさに現代のチロリアンシューズにおける決定版といえる存在です。

代表モデル・ウェールズをレビュー
ウェールズ:No87

これまで多くのモデルが存在してきましたが、今、私たちが注目すべきは間違いなくこの一足でしょう。アルプス地方の伝統的な作業靴をルーツに持ちつつ、日本の都市生活、さらには休日のアウトドアシーンまでをシームレスに繋ぐ「新たなスタンダード」として君臨しています。

伝統と革新が融合した「No.87」の正体

このモデルの最大の特徴は、伝統的な「モカ縫い」が醸し出す重厚な雰囲気と、スコッチグレインの魂ともいえるグッドイヤーウェルト製法が見事に融合している点です。見た目はワイルドでボリューム感がありますが、足を入れると驚くほどのリラックス感に包まれます。

これは、絶妙な丸みを帯びたラウンド系の外羽根式デザインが採用されているからですね。ビジネスシーンのカジュアル化が進む中で、単なる仕事靴ではない、けれどスニーカーほど軽くはない、そんな「ちょうど良い佇まい」を求める層に突き刺さるデザインになっています。

ブラックブリックソールがもたらす実用性

また、底材に採用されている「ブラックブリックソール」の存在も見逃せません。このソールは、未舗装路のような悪路でもしっかりと地面を捉えるグリップ力を持ちながら、街歩きでも疲れにくいクッション性を備えています。

一足の靴で平日のジャケットスタイルから、週末のキャンプや小旅行までをカバーできてしまう。まさに「オールマイティ」という言葉がこれほど似合うチロリアンは、他にないかなと思います。価格は55,000円(税込)と、スコッチグレインの中では高級な部類に入りますが、そのスペックを考えれば納得の投資といえるでしょう。

「No.87」はウィズが「EE」設定となっており、これまでのゆったりしたチロリアンとは少し異なるフィット感です。同一木型が存在しない専用設計なので、履き始めのホールド感は非常にしっかりしています。

関連記事:スコッチグレイン・ウェールズを徹底レビュー!悪評も総まとめ!

素材によって変わるチロリアンの表情

素材によって変わるチロリアンの表情
レザーとタンナー

「No.87」を語る上で、絶対に避けて通れないのがその贅沢なアッパー素材です。スコッチグレインがこのモデルに選んだのは、英国の名門タンナーであるチャールズ・F・ステッド社製の「リージェンシーカーフ」。

リージェンシーカーフの注目ポイント

  • 英国リーズの名門タンナーによる希少なオイルドレザー
  • 手作業による刷り込みが生み出す唯一無二の斑模様
  • 曲げると白くなるプルアップ効果がもたらす圧倒的な重厚感

この革こそが、これまでのチロリアンとは一線を画す「独特のアンティーク感」の源泉になっています。世界中の高級スエード界を牽引する同社が、その繊細な製造プロセスを応用して作り上げたオイルドレザーは、まさに芸術品のような深みを持っています。

リージェンシーカーフが描く斑模様の美学

この革の凄みは、全体に広がるランダムな斑(ふ)模様にあります。これは機械で均一に作られたものではなく、藁を束ねてロープ状にしたものを革の下に敷き、職人が手作業でオイルを刷り込むという、非常に手間のかかる古くからの技法によって生み出されています。

そのため、一足一足の表情が微妙に異なり、手に入れた瞬間から「世界に一つだけ」の個性を楽しむことができるんです。鈍い光沢を放つその質感は、光の当たり方によって見え方が変わり、いつまでも眺めていたくなるような魅力がありますね。

オイル分が豊富である証「プルアップ現象」

さらに面白いのが、履き皺が入る部分や革をグッと曲げた時に、その箇所が瞬間的に白っぽく変化する点です。これは革の繊維内にたっぷりとオイルが含まれている証拠で、オイルが移動することで色が変化する「プルアップ」と呼ばれる現象です。

この特性により、履き込むほどに自分だけの「歩き癖」が革の表情として刻まれ、唯一無二のアンティーク感へと育っていきます。単なる劣化ではなく、「共に時間を刻む楽しさ」をこれほどまでに実感させてくれる素材は、チャールズ・F・ステッド社ならではのものだと私は感じています。

グレインレザーの堅牢性と実用美

グレインレザーの堅牢性と実用美
切り出しレザー

次は「No.87」に採用されているオイルドレザー(リージェンシーカーフ)が持つ、従来のグレインレザーを超える堅牢性と実用的な美しさについて深掘りしていきます。スコッチグレインが「No.87」において、あえてワイルドな印象のオイルドレザーを採用した背景には、日本の過酷な歩行環境でも長く愛用してほしいという強い想いが込められています。

過酷な環境に耐えうるオイルドレザーの強み

オイルドレザーは、その名の通り革の中に潤沢な油分を含ませているため、一般的なスムースレザーに比べて水や汚れに対する耐性が非常に高いのが特徴です。雨の日でも、表面の油分が水分を弾き、革の内部への浸透を防いでくれます。

これは、多湿で雨の多い日本の気候において、大きなアドバンテージになりますよね。また、万が一傷がついてしまっても、豊富に含まれたオイルのおかげで、ブラッシングや指での揉み込みによって傷が目立ちにくくなるという特性もあります。まさに「ガシガシ履いて、味を出す」という、チロリアン本来の道具としての美学を体現していると言えます。

ジャケットにも合う「洗練された武骨さ」

実用性だけでなく、その見た目の「美学」も見逃せません。ワイルドな印象のリージェンシーカーフですが、スコッチグレインの緻密な仕立てによって、不思議と品格を失っていません。

そのため、デニムやカーゴパンツといったカジュアルなボトムスはもちろんのこと、ツイードやフランネル素材のジャケットスタイルにも驚くほどマッチします。通勤から休日まで、これ一足あれば「靴選び」の悩みから解放される。そんな圧倒的な汎用性こそが、No.87が提供する最大の実用美かなと思います。

一足の靴を修理しながら10年、20年と履き続ける。スコッチグレインの理念は、この「No.87」という最新モデルにもしっかりと受け継がれています。詳しい修理の仕組みについては、公式サイトでも紹介されていますので、ぜひ一度目を通してみてください。

(出典:株式会社ヒロカワ製靴 公式サイト『WALES No.87』商品詳細

スペック項目詳細内容(No.87)
カラー展開ブラック / ダークブラウン
ウィズ(足囲)EE
底材(ソール)ブラックブリックソール
製法グッドイヤーウェルト製法

理想のフィッティングを叶えるサイズ感

理想のフィッティングを叶えるサイズ感
履き慣らし

革靴選びで最も失敗したくないのがサイズ感ですよね。スコッチグレインのチロリアンは、一般的なスニーカーや欧米ブランドの靴とはサイズ表記の感覚が大きく異なります。

日本のメーカーであるため、日本人の足に多い「幅広・甲高」を考慮した木型が採用されていますが、それゆえに安易に普段のスニーカーサイズで選んでしまうと、大きすぎて踵が抜けてしまう原因になります。

実寸計測を基準にする黄金律

私がおすすめするサイズ選びの基準は、「足の実寸からハーフサイズ(0.5cm)下げる」という考え方です。例えば、足を計測して実寸が26.5cmだった場合、スコッチグレインでは26.0cmがジャストフィットになるケースが非常に多いです。

チロリアンシューズは紐を通すアイレット(穴)が2つから3つと少ないため、甲全体を面で押さえるフィッティングになります。もしサイズが大きいと、歩くたびに踵が上下に動いてしまい、靴擦れの原因になるだけでなく、せっかくの美しい歩行姿勢も崩れてしまいます。

ウィズ(足囲)の選択と馴染みの変化

また、スコッチグレインのチロリアンは「EEE」という幅広のウィズが採用されることが一般的です。これにより、小指の外側が当たって痛むという悩みは解消されやすいですが、逆に幅が細い足の方は、横幅が余って靴の中で足が遊んでしまうこともあります。

履き始めは「少しタイトかな?」と感じるくらいが理想的です。なぜなら、グッドイヤーウェルト製法の中底に敷き詰められたコルクは、半年から1年ほど履き込むことで自分の体重により沈み込み、縦方向にも横方向にもわずかなゆとりが生まれるからです。

詳しい調整方法については、スコッチグレインのサイズ選び完全ガイドで詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

チロリアンは羽根がガバッと開くデザインのため、試着時には必ず「羽根が閉じきっていないか」を確認してください。最初から羽根がぴったり閉じてしまっていると、革が伸びたりコルクが沈んだりした後に、これ以上紐で締められなくなってしまいます。

パラブーツと比較して分かる独自の価値

パラブーツと比較して分かる独自の価値
パラブーツ・ミカエル

チロリアンシューズを語る上で避けて通れないのが、フランスの至宝「パラブーツ」のミカエルとの比較です。多くの人が「パラブーツは憧れるけど、価格が……」と悩む中で、スコッチグレインが選ばれる理由は、単なる安さだけではありません。それは、日本の歩行環境に特化した徹底的な合理性にあります。

比較ポイントスコッチグレインパラブーツ (ミカエル)
主要製法グッドイヤーウェルトノルヴェイジャン
参考価格約33,000円〜約94,000円〜
ソールの特徴自社開発(修理容易)天然ラバー(高耐久・重め)
フィッティング日本人の足型(EEEなど)欧州基準(やや大ぶり)

製法の違いがもたらす歩行性能

パラブーツのミカエルが「ノルヴェイジャン製法」という、登山靴由来の完全防水に近い重厚な作りであるのに対し、スコッチグレインは「グッドイヤーウェルト製法」を頑なに守っています。

ノルヴェイジャンは非常に堅牢ですが、都市部の舗装されたアスファルトの上を歩くには、時にその剛性が「重すぎる・硬すぎる」と感じることもあります。一方、スコッチグレインのチロリアンは、適度な返りの良さとクッション性を兼ね備えており、長時間の通勤や街歩きでも疲れにくい設計になっています。

圧倒的なコストパフォーマンスと信頼感

価格面でもその差は顕著です。パラブーツが昨今の価格改定で9万円を超える高価格帯になっているのに対し、スコッチグレインは3万円から4万円台という、非常に誠実な価格設定を維持しています。

しかし、安いからといって素材が劣るわけではありません。むしろ、日本の熟練職人が一足一足丁寧に縫い上げ、アフターケアまで自社工場で完結できる体制を整えている点は、海外ブランドにはない大きな安心感です。パラブーツ一足分の予算があれば、スコッチグレインのチロリアンを二足買ってローテーションさせることも可能です。

これにより、一足あたりの休ませる期間が長くなり、結果として靴の寿命を大幅に伸ばすことができる。これこそが、賢い大人の選択だと言えるのではないでしょうか。

アウトレットで手に入れる希少なモデル

アウトレットで手に入れる希少なモデル
アウトレット

スコッチグレインのチロリアンを探しているなら、アウトレット店舗は絶対に外せない聖地です。というのも、チロリアンモデルは直営店での「定番常設」というよりも、不定期に生産されるスポット入荷品であることが多いからです。この「いつでも買えるわけではない」という希少性が、私たちの所有欲を絶妙にくすぐるんですよね。

アウトレット専用モデルの魅力

土岐プレミアム・アウトレット(岐阜県)や御殿場プレミアム・アウトレット(静岡県)など、全国にあるスコッチグレインのアウトレット店では、「F-」から始まる型番のチロリアンが並ぶことがあります。

これらはアウトレット店舗のために特別に企画されたモデルで、プロパー品(直営店モデル)で使用される高級皮革の端材や、仕様を一部簡略化することで、さらなる驚きのコストパフォーマンスを実現しています。それでいて、製法や心臓部である木型は通常モデルと変わらないため、履き心地や耐久性に遜色はありません。

むしろ、アウトレット限定の珍しいカラーやシボ感の強いレザーに出会えることも多く、宝探しのような感覚で楽しめます。

賢く在庫情報をキャッチする方法

ただし、アウトレットゆえに「自分のサイズが常にある」とは限りません。確実に手に入れるためには、事前に各店舗へ電話で在庫状況を確認するのが一番の近道です。

その際は、単に「チロリアンはありますか?」と聞くのではなく、「チロリアンタイプのEEEモデルで、私のサイズ(例:25.5cm)の在庫はありますか?」と具体的に伝えるとスムーズです。また、スコッチグレインの公式ブログや各アウトレットモールのニュースページでは、大型連休やセール期間に合わせて「チロリアンフェア」のようなスポット入荷情報が出ることもあります。

こうした情報を逃さずチェックすることで、3万円を切るような驚きの価格で一生モノのチロリアンを手に入れられるかもしれませんよ。

百貨店モデルとの違いは?

百貨店モデルとの違いは?
アウトレット

直営店やアウトレット以外にも、三越伊勢丹や高島屋といった主要な百貨店の紳士靴売り場でスコッチグレインのチロリアンを見かけることがあります。これらは「百貨店別注モデル」と呼ばれるもので、直営店で販売されているものとは一味違う、独自のこだわりが詰まっています。

百貨店のバイヤーが「自社の顧客層に最適な一足」をオーダーしているため、よりエレガントで上品な仕様になっていることが多いのが特徴です。

素材とディテールのグレードアップ

具体的な違いとして最も分かりやすいのは、使用されている皮革のグレードです。百貨店モデルでは、フランスのアノネイ社製ベガノカーフといった、世界最高峰のタンナーによる皮革が採用されることがあります。

これにより、チロリアン特有のボリューム感はそのままに、ドレスシューズのような繊細な光沢と、しなやかな足馴染みを両立させています。また、ソールのコバ部分の仕上げが通常より丁寧に削り込まれていたり、ライニング(内張りの革)の色が特別なカラーリングになっていたりと、所有満足度を高める細かな演出が随所に施されています。

試着環境とアフターサービスの利点

また、百貨店で購入する大きなメリットは、そのフィッティングの専門性にあります。多くの百貨店には経験豊富なシューフィッターが在籍しており、スコッチグレインの木型の特徴を熟知した上で、あなたの足に最適なサイズを提案してくれます。

さらに、百貨店独自のポイント制度やカード優待を利用すれば、実質的にお得に購入できるケースもあります。修理に関しては、百貨店経由でも直接「匠ジャパン」へ依頼することが可能ですので、長く履き続ける上での不安はありません。

「少し背伸びをしてでも、最高級の素材を使ったチロリアンが欲しい」という方は、ぜひお近くの百貨店の紳士靴売り場を覗いてみてください。

百貨店モデルを選ぶべき人

  • より高級感のある素材(アノネイ社など)にこだわりたい
  • ビジネスシーンでの利用をメインに考えている
  • 専門のシューフィッターにじっくりと足を計測してほしい
  • 特定の百貨店ポイントを活用してお得に手に入れたい

スコッチグレインのチロリアンを育てる手入れと修理

スコッチグレインのチロリアンを育てる手入れと修理
革の小部屋

手に入れた瞬間が完成ではなく、そこからが本当の始まり。スコッチグレインのチロリアンを「自分だけの一足」に昇華させるための、メンテナンスとリペアの世界をご案内します。

ポイント

  • 美しさを引き出す日々の正しい手入れ
  • モルトドレッシングで磨き上げる至高の艶
  • 1年履き込んだ後に現れる経年変化の魅力
  • 幅広いシーンで活躍するおすすめのコーデ
  • 匠ジャパンによる安心の修理とソール交換

美しさを引き出す日々の正しい手入れ

美しさを引き出す日々の正しい手入れ
モカ割れ

チロリアンシューズを美しく保つ秘訣は、何と言っても「シボ(革の凹凸)」や「モカ縫い」の隙間に溜まる埃をいかに取り除くかにかかっています。特にスコッチグレインのグレインレザー(シボ革)モデルは、その複雑な表情が魅力ですが、手入れを怠ると溝に汚れが固着し、革のひび割れを招く原因になります。日々のケアは、帰宅後の「1分間のブラッシング」から始めましょう。

馬毛ブラシと乳化性クリームの役割

まず、コシのある馬毛ブラシを使って、靴全体を丁寧に掃くようにブラッシングします。特にアッパーとソールの境目(ウェルト部分)や、モカのステッチ周りは埃が溜まりやすいので念入りに。

これだけで革の通気性が保たれ、カビの発生を抑えることができます。そして月に一度は、ステインリムーバーで古いクリームを落とし、乳化性クリームで栄養を補給してあげてください。チロリアンのような肉厚な革には、指で直接クリームを塗り込み、革の温度で油脂分を溶かしながら馴染ませる手法が非常におすすめです。

これにより、革が本来持っている柔軟性が維持され、履きジワが深く入りすぎるのを防いでくれます。

雨染みへの対策とリカバリー

実用性の高いチロリアンは雨の日に履く機会も増えますが、濡れた後の処理が寿命を左右します。濡れてしまったら、まずは乾いた布で表面の水分を拭き取り、中に新聞紙やシュートゥリーを詰めて「風通しの良い日陰」でじっくり乾かしてください。

完全に乾く直前にデリケートクリームを塗布すると、革の乾燥を防ぎ、ソバカスのような雨染みができるのを最小限に抑えられます。もし染みができてしまっても、あきらめないでください。少し濃いめの色のクリームでケアを続けることで、それさえも「味」として馴染んでいくのが、この靴の懐の深いところなんですよ。

モルトドレッシングで磨き上げる至高の艶

スコッチグレインの愛好家にとって、手入れの到達点とも言えるのが「モルトドレッシング」です。

これは、つま先や踵をワックスで鏡面状に磨き上げる際に、水の代わりに「ウイスキー」の原酒を使用するスコッチグレイン独自の技法です。なぜ水ではなくウイスキーなのか。それは、アルコール成分がワックスの油分を適度に溶かし、革の表面に極めて薄く均一な膜を形成してくれるからです。

ウイスキーが引き出す透明感のある光沢

実際にやってみると分かりますが、水で磨いたときよりも艶の「奥行き」が違います。チロリアンのようなラギッド(無骨)な靴に、あえてつま先だけピカピカに光らせる。このギャップが、カジュアルな中にも「手入れの行き届いた紳士の品格」を漂わせてくれるんです。

使うウイスキーは、実際にヒロカワ製靴の社長がスコットランドで選んできたものが推奨されますが、市販のシングルモルトウイスキーでも代用可能です。自分の好きな銘柄の香りに包まれながら靴を磨く時間は、まさに至福のひとときと言えるでしょう。

モルトドレッシングは、一度に厚塗りするのではなく、薄い層を何度も重ねるのがコツです。チロリアンの場合は、サイドのシボ感はそのままに残し、つま先のキャップ部分だけを集中的に磨くことで、メリハリのある美しい表情が完成します。

1年履き込んだ後に現れる経年変化の魅力

1年履き込んだ後に現れる経年変化の魅力
エイジングが進んだミカエル

革靴を履き続ける最大の喜びは、何と言っても「エイジング(経年変化)」にあります。スコッチグレインのチロリアン、特にグレインレザーのモデルは、1年も履き込めば新品のときとは全く別の表情を見せてくれるようになります。

購入当初の「ガチガチに硬い鎧」のような感覚はどこへやら、1年経つ頃には自分の足の動きに合わせて革がしなやかに折れ曲がり、吸い付くようなフィット感に変化しているはずです。

陰影が深まるグレインレザーのエイジング

視覚的な変化もドラマチックです。シボの凸部分は摩擦によって磨かれ、自然な艶が出てくる一方で、凹部分にはクリームの色が重なり、深い陰影が生まれます。これにより、平面的な新品の状態よりも圧倒的に「立体感」が増し、アンティーク家具のような重厚な雰囲気が漂い始めます。

また、グッドイヤーウェルト製法の特徴である「コルクの沈み込み」が完了するのもこの時期です。自分の足裏の形をそのままコピーしたインソールは、もはやオーダーメイドの靴を履いているかのような錯覚さえ与えてくれます。この「自分専用にカスタマイズされた道具」になっていくプロセスこそ、スコッチグレインを手にする最大の価値だと私は確信しています。

幅広いシーンで活躍するおすすめのコーデ

チロリアンシューズは、その独特なフォルムゆえに「どう合わせればいいのか分からない」という声をよく聞きます。しかし実際には、これほど汎用性の高い靴も珍しいんです。最大の武器は、足元にしっかりとしたボリューム(視覚的な重さ)を持たせることができる点にあります。

カジュアルからビジカジまでの必勝パターン

まず間違いないのが、太めのデニムやミリタリーパンツ(軍パン)との組み合わせです。

幅広いシーンで活躍するおすすめのコーデ
ミリタリーカジュアル

パンツの裾を少しロールアップし、あえて柄物のカジュアルソックスや厚手のウールソックスを覗かせてみてください。チロリアンの武骨さが、アメカジやアウトドアスタイルをグッと大人っぽく引き締めてくれます。

また、最近主流の「ビジカジ(ビジネスカジュアル)」スタイルでも大活躍します。ネイビーのブレザーにグレーのウールパンツ、そこにスコッチグレインのチロリアンを合わせる。ストレートチップでは堅すぎる、スニーカーでは軽すぎるという絶妙な隙間を、チロリアンが見事に埋めてくれるんです。

季節感を取り入れたスタイリング

冬場なら、ツイードジャケットやコーデュロイパンツといった、素材感の強いアイテムと合わせるのが私のお気に入りです。厚手の生地に負けない存在感がチロリアンにはあります。

逆に夏場は、あえてシアサッカーのパンツやクロップドパンツに合わせて、足元を主役にするスタイルも軽快で面白いですよ。どんなコーディネートでも、足元に「確かな本物感」があるだけで、全体の印象は驚くほど変わります。チロリアン一足あれば、平日の仕事から週末のデートまで、服装に迷う時間が大幅に減るはずですよ。

関連記事:パラブーツのミカエルはダサい?後悔しないカラーとコーデ術

チロリアンコーデのコツ

  • パンツの裾幅は少し広め(20cm以上)のものを選ぶとバランスが良い
  • 靴の色に合わせたレザーベルトを着用し、統一感を出す
  • 雨の日は、バブアーなどのオイルドジャケットと合わせて機能美を楽しむ

匠ジャパンによる安心の修理とソール交換

匠ジャパンによる安心の修理とソール交換
マッケイ製法

スコッチグレインの靴を語る上で、専門の修理工場「匠ジャパン」の存在を忘れてはいけません。良い靴を長く履くためには、適切な時期の修理が不可欠ですが、スコッチグレインなら「作ったメーカーが、作ったときと同じ機械とパーツで直してくれる」という、究極の安心感があります。

グリッパーソールへの変更で雨の日をより快適に

チロリアンシューズで特に人気の修理は、ソールの張り替え(オールソール)です。最初がレザーソールだったとしても、修理のタイミングで雨の日に強い「グリッパーソール」や「SGテクノソール」に変更することができます。

これにより、本来のルックスを損なうことなく、滑りやすい駅の床や濡れた路面でも安心して歩けるようになります。修理に出す目安は、毎日履く人で2年半から3年程度。ソールが薄くなり、中底のコルクが見え始める前に行うのがベストです。

トータルケアで一生モノの相棒へ

匠ジャパンでは、ソールの交換だけでなく、内側の踵部分(腰裏)の擦れ補修や、小指が当たる部分の革の補強(小指当て)なども安価で丁寧に行ってくれます。

一度修理を終えて戻ってきた靴は、まるで新品のような輝きを取り戻しながらも、履き心地は自分の足に馴染んだままという、魔法のような状態になります。修理を繰り返しながら10年、20年と履き続ける。それは単なる節約ではなく、一つのモノを愛でる豊かなライフスタイルそのものです。最新の修理価格については、必ず公式サイトで確認してくださいね。

(参照元:匠ジャパン『修理価格表』

まとめ:スコッチグレインのチロリアンの選び方

ポイント

  • 製法: 伝統の意匠をグッドイヤーウェルト製法でタフに構築
  • 素材: 上品なスエードと雨に強いシボ革の2大ラインナップ
  • サイズ: 実寸マイナス0.5〜1.0cmが失敗しない鉄則
  • 価値: パラブーツを凌ぐ圧倒的コスパと日本人に合う木型
  • 入手: アウトレットや百貨店別注での「一期一会」が狙い目
  • 育てる: 1年後の馴染みとウイスキー磨きによる至高のエイジング
  • 修理: 専門工場「匠ジャパン」の純正リペアで一生履き続けられる

ここまで、スコッチグレインのチロリアンシューズについて、その種類から手入れ、修理に至るまで詳しくお伝えしてきました。この靴は、日本の職人が「日本人の足」と「日本の気候」を本気で考えて作り上げた、まさに至宝の一足です。

改めて選び方のポイントを整理すると、まずは「自分の実寸を正確に把握し、ハーフサイズ下を試すこと」。そして、自分が最も履くシーン(ビジネス寄りか、完全カジュアルか)を想定して、「素材(スエードかグレインレザーか)」を決めること。もし運良くアウトレットで見かけることがあれば、それは運命の出会いかもしれません。迷わず試着室へ向かってください。

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