こんにちは!革の小部屋管理人の小次郎です。
J.M.Westonのサイドゴアブーツ、通称705について気になっている方は多いのではないでしょうか。憧れのフランス靴の中でも、特にこのモデルは一枚革の美しさが際立っていて、いつかは手に入れたい一足ですよね。
ただ、決して安い買い物ではないですし、J.M.Westonのサイドゴアブーツはサイズ感が独特だという評判や、あの有名な修行に耐えられるかといった不安、さらには定価の値上げ状況など、事前に知っておきたいポイントがたくさんあると思います。
この記事では、私が実際に調べたり感じたりしたことをベースに、モデルごとの特徴や失敗しない選び方をまとめました。読み終わる頃には、あなたにとって最高の相棒が見つかるはずですよ。
究極の一枚革が光るJ.M.Westonのサイドゴアブーツ

まずは、J.M.Westonのサイドゴアブーツがなぜ世界中の靴好きから愛されているのか、その核心に迫ってみましょう。特に代表作である「705」の作り込みは、他のブランドとは一線を画す芸術的な領域に達しています。装飾を一切削ぎ落としたからこそ、素材の良さと職人の腕がダイレクトに伝わってくる、そんな一足なんですよね。
705とジョッパーブーツ722の決定的な違い
サイドゴアブーツを検討していると、必ずと言っていいほど比較対象に上がるのが、ジョッパーブーツの「722」ですね。
同じブーツカテゴリーですが、実は性格が全く違います。705は一切の装飾を省いたミニマルなデザインなのに対し、722はストラップとバックルが付いた華やかな見た目です。
大きな違いは採用されている木型(ラスト)で、705は少し丸みのあるエッグトゥの#39ラスト、722はよりシャープなセミスクエアトゥの#41ラストが使われています。足元の印象をモダンに引き締めたいなら705、クラシックな装飾を楽しみたいなら722、という選び方が良さそうですね。
もう少し掘り下げてみましょう。#39ラストを採用している705は、全体的にボリューム感があり、どこか中性的で優しい表情を持っています。対して722の#41ラストは、180ローファーなどでもお馴染みのスマートなラインを描きます。
履き心地の面でも、722は足首をストラップで固定するため、よりタイトで「包まれている」感覚が強い一方、705はサイドのエラスティック(ゴム)による柔軟なホールド感が特徴です。
脱ぎ履きのしやすさと、どんなパンツにも溶け込む汎用性で選ぶなら、やはり705に軍配が上がるかなと思います。どちらも甲乙つけがたい魅力がありますが、自分のワードローブが「引き算の美学」なのか「華やかなアクセント」を求めているのかで判断するのが正解ですよ。
希少なボックスカーフが支えるシングルピース構造

705の最大の自慢は、なんといっても「シングルピース(一枚革)」で仕立てられている点です。普通のサイドゴアブーツは、ゴムの下あたりで革を繋ぎ合わせることが多いのですが、J.M.Westonは広大な面積の革を贅沢に一枚で使い切ります。
これ、実はものすごい贅沢なんです。傷一つない完璧な革の部位を大きく確保しなければならず、歩留まりが非常に悪い。最高級のボックスカーフを扱う自社タンナー(デュプイ社など)をグループに擁しているからこそできる、まさにブランドの矜持を感じる部分ですね。継ぎ目のない滑らかな曲線は、視覚的なノイズを排除した究極のエレガンスと言えます。
このシングルピース構造は、見た目の美しさだけでなく、耐久性や履き心地にも直結しています。継ぎ目がないということは、それだけ足への当たりが均一で、ストレスがかかるポイントが少ないということ。
革の繊維が繋がっているため、履き込むほどに足全体を包み込むような独特の伸びを見せ、最終的にはオーダーメイドのようなフィット感へと育っていきます。一般的に「一枚革の靴は贅沢品の象徴」とされますが、J.M.Westonはその贅沢を「一生履き続けるための機能」として昇華させている点が素晴らしいんです。
一枚の革を熱と蒸気、そして職人の手技だけで立体的なブーツへと成形する「クリッピング」の工程は、もはや工芸品の域に達しています。
センタークリースが演出するフレンチエレガンス
705の正面をまっすぐ走る鋭い線、「センタークリース」に目を奪われた方も多いはず。これは単なる飾りではなく、平らな一枚革を立体的な足の形に沿わせる「クリッピング」という工程で生まれる技術の結晶です。
このクリースがあることで、ブーツに垂直なラインが強調され、立ち姿がスッと美しく見えるんですよね。履き込むうちに少しずつ馴染んで柔らかくなることもありますが、その変化さえも所有者だけの歴史として楽しむのが、J.M.Weston流の嗜みかなと思います。
フランスらしい端正な美しさを象徴するこのディテールは、イギリスのタフなサイドゴアブーツ(チェルシーブーツ)とは一線を画す「高貴な雰囲気」を醸し出します。光が当たった際にクリースを境に明暗がはっきりと分かれる様子は、まるで彫刻のよう。
この垂直線があることで、足長効果も期待できるのが嬉しいポイントですよね。また、着用を重ねることでクリースが消えてしまうのではないかと心配される方もいますが、しっかりと熱処理とプレスで固定されているため、基本的にはその輪郭は維持されます。
むしろ、そのクリースを中心に左右に波打つような履きシワが入っていく様は、芸術的なエイジングと呼ぶにふさわしい光景です。「規律ある美」を掲げるブランドアイデンティティを最も純粋に体現しているのが、このクリースラインだと確信しています。
定価改定で見直される資産価値と投資の意義

正直なところ、近年の価格上昇には驚かされますよね。2026年現在、J.M.Westonのサイドゴアブーツの定価は198,000円(税込)ほどになっています。かつては18万円台だったことを考えると、まさに「今が一番安い」という状況が続いています。
しかし、これだけ高価になっても人気が衰えないのは、その圧倒的な耐久性と、中古市場での残存価値の高さがあるからです。手入れさえ怠らなければ20年、30年と履ける靴ですから、1年あたりのコストで考えれば、決して高い投資ではないと私は考えています。
経済的な視点で見ても、J.M.Westonの靴は「値崩れしにくい資産」と言えます。皮革原材料の価格高騰は世界的に続いており(出典:財務省関税局『貿易統計』などを参照すると原材料費の推移が伺えます)、今後さらに価格が上昇する可能性も否定できません。
今のうちに手に入れておくことは、将来的なコストを抑える賢い選択とも言えるわけです。また、ウエストンの靴は純正の修理体制が整っているため、ボロボロになっても新品に近い状態までリペアして再び履き続けることができます。
使い捨ての安価な靴を数年ごとに買い換えるよりも、20万円の投資を30年かけて回収するほうが、結果として満足度も高く、サステナブルなライフスタイルにも合致する。そう考えると、この価格設定も納得のいくものに思えてきませんか?
チェルケスグレインレザーが実現する高い防水性

定番のボックスカーフも素敵ですが、実用性を重視するなら「チェルケスグレインレザー」も見逃せません。細かいシボ感があるこの革は、傷に強いだけでなく、油分をしっかり含んでいるため撥水性にも優れています。
雨の日や少し足元の悪い場所でも気兼ねなく履けるので、ガシガシ使い込みたい方には特におすすめ。シボ革特有の無骨さと、J.M.Westonのエレガントなフォルムが融合した、独特の雰囲気を持った一足です。
「サイドゴアブーツは雨の日に履きたい」というニーズは意外と多いもの。紐がない分、隙間からの浸水が少なく、脱ぎ履きも楽ですからね。このチェルケスグレインレザーは、エルメスなどのハイブランドでも採用される非常に高品質な型押し革で、特有の弾力があります。
水滴を弾きやすく、かつ乾燥後の革の硬化も少ないため、天候が不安定な日の心強い味方になってくれます。見た目も、ボックスカーフのようなパキッとした光沢ではなく、落ち着いたマットな質感が大人っぽい余裕を演出してくれます。「雨でも履けるウエストン」という選択肢は、忙しいビジネスマンや、街歩きを楽しみたい旅行者にとって、最高に贅沢で実用的な解決策になるはずです。
関連記事:雨の日の革靴がだめな理由【劣化を防ぐ正しい対策と手入れのコツ・雨天用革靴】
理想のJ.M.Westonのサイドゴアブーツを選ぶ基準

ここでは、実際に購入する際に最も頭を悩ませる「サイズ選び」と、長く付き合っていくためのポイントについて深掘りしていきましょう。ウエストンのサイズ選びは「哲学」とも呼ばれるほど奥が深く、正解に辿り着くには少しの知識とコツが必要です。
39ラストの特徴とサイズ感を選ぶポイント

705に採用されている#39ラストは、一見細身に見えますが、実は「どっしりとした安定感」のある設計です。オールデンのバリーラストに近いような、地面をしっかり踏みしめる感覚があります。
サイズ感の目安としては、一般的なイギリスブランド(クロケット&ジョーンズなど)よりもハーフサイズからワンサイズ下を選ぶのが基本と言われています。例えばUK7を履いている人なら、サイズ6や6.5から試してみるのが良いでしょう。ただし、J.M.Westonはウィズ(足幅)展開がAからFまでと非常に豊富なので、長さだけでなく幅の適合も重要になります。
#39ラストは、足の指先に少し余裕を持たせつつ、土踏まずからカカトにかけてをしっかりとホールドする形状です。初めて足を入れた時は「幅が狭いかな?」と感じるかもしれませんが、それはウエストン特有のタイトフィットの洗礼。
重要なのは、つま先が当たっていないか(捨て寸があるか)と、カカトのカップがしっかり自分のカカトを捉えているかです。ウエストンのサイズ表記は「5/ D」のように、数字(長さ)とアルファベット(幅)で表されますが、「長さはジャスト、幅でタイトさを調整する」のが失敗しないコツです
。私はかつて、長さを妥協して大きめを選んでしまい、後で革が伸びてカカトが浮くという失敗をしました。そんな悲劇を避けるためにも、妥協のない試着が不可欠ですよ。
| ラストの種類 | トゥの形状 | 設計思想 | サイズ感の傾向 |
|---|---|---|---|
| #39(705用) | エッグトゥ | クラシック・コンフォート | 長さは短め、幅に容積がある |
| #41(722用) | セミスクエア | モダン・エレガンス | 全体的にタイトで長い |
厚手のソックスを考慮したウィズ調整のコツ

サイドゴアブーツは秋冬に履く機会が多いので、厚手のウールソックスを合わせることを想定したサイズ選びが欠かせません。短靴と同じ感覚で極限までタイトに攻めすぎると、厚手の靴下を履いた時に血行が悪くなってしまうこともあります。
試着の際は、自分が冬場にメインで履く予定のソックスを持参するのがベストです。もし足幅が細い方なら、サイズを上げてウィズを下げる(例:6/Dから7/Cにする)といった「ウィズダウン」というテクニックも検討してみてください。
実は、ブーツの場合は足首周りのホールド感があるため、短靴(ローファーやゴルフ)ほどシビアな「捨て寸ギリギリ」の攻めは必要ありません。逆に、あまりにタイトすぎると、冬場の足の冷えに繋がることもあります。
私は、180ローファーなどは「修行」覚悟で極限のサイズを選びますが、705に関しては「厚手のパンセラの靴下を履いて、心地よい圧迫感」があるレベルを選びました。
これが大正解で、一日中歩き回る旅行でも疲れ知らずです。ウィズを一つ変えるだけで容積がガラッと変わるので、「長さはいいけど幅がキツい」と感じたら、安易にサイズ(長さ)を上げるのではなく、まずはウィズ(幅)を広げる(DからEにするなど)方向で調整してみてください。これがウエストン通の選び方なんです。
過酷な修行を乗り越えるフィッティングの極意

J.M.Westonといえば「修行」という言葉がセットで語られますが、ブーツの場合は少し勝手が違います。ローファーのように「カカトが浮かないように」と無理やり詰め込む必要はあまりありません。
というのも、705は足首のシャフト(筒)部分がしっかり絞り込まれているため、そこである程度のホールド感が得られるからです。もちろん、最初は着脱に苦労するほどタイトかもしれませんが、革が伸びた後の「万力締め」が解けた瞬間の心地よさは格別。無理は禁物ですが、ある程度のタイトさは覚悟しておくのが「一生モノ」への近道です。
修行の期間は、一般的に「30回ほど履けば馴染む」と言われています。705の素晴らしい点は、一枚革であるがゆえに、縫い目による「足への食い込み」が少ないこと。
全体が均一に伸びるため、馴染んだ後のフィット感は他の靴では味わえない「吸い付くような感覚」になります。修行を成功させるコツは、いきなり長時間履かないこと。まずは家の中で1時間、次に近所のコンビニまで……というように、徐々に時間を延ばしていく「慣らし運転」が大切です。
「修行」は靴を壊すためではなく、自分の足型を革に記憶させるための神聖な儀式だと思って、じっくり向き合ってみてください。そうして育て上げた一足は、まさに世界に一つだけの、あなた専用のコンフォートシューズに化けますよ。
エラスティック交換など純正修理の費用と期間

長く履いていると、サイドのゴム(エラスティック)が伸びてきたり、ソールが削れてきたりします。J.M.Westonの素晴らしいところは、純正の修理サービスが充実している点です。
フランスの自社工場に送って、オリジナルのパーツで直してもらえるのは安心感が違いますよね。特にサイドゴアブーツにおいてエラスティックは「心臓部」ですから、ここの張力が失われると履き心地が激変してしまいます。
純正修理(リペア)の最大のメリットは、その靴が作られた時と同じラスト(木型)を使って作業をしてくれる場合があることです(内容によりますが)。
これにより、修理に出したら形が変わってしまった……というリスクを最小限に抑えられます。費用はそれなりにかかりますが、新品を買い直すことを考えれば圧倒的にリーズナブル。「直して履き続けること」を前提に設計されている靴だからこそ、リペアのインフラがこれほどまでに整っているんですね。
私も以前、エラスティックを交換しましたが、戻ってきた靴は新品のようなシャキッとした表情を取り戻しており、改めて感動しました。一生モノを謳うブランドは数あれど、ここまで誠実に修理に向き合ってくれるブランドは稀有だと思います。
| 修理項目 | 費用の目安(税込) | 期待できる効果 | 納期(目安) |
|---|---|---|---|
| オールソール | 33,000円〜 | クッション性とグリップの完全回復 | 約2〜3ヶ月 |
| エラスティック交換 | 3,300円〜(1箇所) | 着脱の快適さとホールド感の再生 | 約1ヶ月〜 |
| つま先補強(スチール) | 8,250円〜 | 摩耗しやすい先端の寿命を延ばす | 約2週間〜 |
デニムやスーツに合わせる大人のコーディネート
705の魅力はその汎用性です。ブラウンスーツやネイビーセットアップに合わせれば、紐靴よりも少しリラックスした、でも品格のあるドレススタイルが完成します。

また、カジュアルではリジッドデニムを少しロールアップして合わせるのが鉄板。太めのミリタリーパンツ(M-47など)に、あえて細身のこのブーツを合わせることで、シルエットにメリハリをつけるのも最高に格好いいです。まさに「これ一足あればどこへでも行ける」という安心感があります。
個人的に大好きなのが、シャギーなニットやカシミアのコートといった「柔らかい素材」との組み合わせです。足元を一枚革のパキッとした705で締めることで、全身がルーズになりすぎず、上品な「きれいめ」な印象にまとまります。
フランス的な洗練を出すなら、少し短めの丈のパンツを選んで、ブーツの美しい筒(シャフト)のラインをチラリと見せるのがポイント。サイドゴア部分は隠しつつ、センタークリースだけが凛として立っている様子は、まさに「大人の余裕」そのものです。
どんなにカジュアルな格好をしていても、足元がウエストンの705であれば、ホテルのラウンジや高級なレストランでも気後れすることはありません。「スタイルに芯を通してくれる」唯一無二のブーツ、それが705だと私は思います。季節を問わず(真夏は少し暑いですが笑)、雨の日も晴れの日も、あなたのスタイルを支え続けてくれるはずですよ。
色選びのヒント
最初の1足なら圧倒的に「ブラック」がおすすめです。
一枚革の光沢が最も美しく映え、どんな服の色とも喧嘩しません。2足目なら「タン」や「ブラウン」で、シワの入り方や色の深まりをダイレクトに楽しむのも粋ですね。私はブラックを愛用していますが、冠婚葬祭から週末のデートまで、本当にこればかり履いています。
中古市場でも価値が落ちない理由とエイジングの魅力

J.M.Westonの靴は、中古市場でも非常に高く評価されています。特に「修行を断念した」ような状態の良い個体や、珍しいウィズのものは、定価に近い価格で取引されることも珍しくありません。
これは、適切にメンテナンスされた革が、新品時よりも美しい「エイジング(経年変化)」を見せるからです。最高級のボックスカーフは、履き込むほどに深い艶が増し、自分だけのシワが刻まれていきます。この「育てる楽しみ」があるからこそ、多くの人がこのブーツに魅了され続けているんでしょうね。
中古でウエストンを探す層は、単に「安く買いたい」だけでなく、「既に柔らかくなった革を求めている」場合や「現行にはないウィズを探している」玄人も多いのが特徴です。
つまり、あなたが手入れをして履き込んだ705は、時間が経つほどに価値が深まっていく「ヴィンテージ」の候補生なんです。デリケートクリームで保湿し、馬毛ブラシで毎日埃を払う。そんなシンプルな手入れの積み重ねが、数年後に驚くような飴色の光沢となって返ってきます。「
新品が最も美しい」のではなく「履き込んだ後が最も美しい」という価値観こそが、ウエストンというブランドの真髄。シワの一つひとつが、あなたが歩んできた道のりの記録になる。そう考えると、日々のメンテナンスもどこか誇らしい時間になりませんか?
J.M.Westonのサイドゴアブーツまとめ
ここまでJ.M.Westonのサイドゴアブーツ、特に705の魅力について語ってきましたが、いかがでしたでしょうか。一枚革という贅沢な素材使い、#39ラストが提供する安定した歩行、そして何十年と付き合える堅牢な作り。
初期の修行や高価な定価という壁はありますが、それを乗り越えた先にある「自分だけの一足」は、何物にも代えがたい喜びを与えてくれます。トレンドに左右されず、自らの人生を共に歩む基準となってくれる一足。
もしあなたが「本当に良い靴を長く履きたい」と考えているなら、J.M.Westonのサイドゴアブーツは間違いなく最高の選択になるはずですよ。ぜひ、お店でその至高のフィッティングを体感してみてくださいね!
