こんにちは!革の小部屋管理人の小次郎です!
靴好きなら誰もが一度は憧れる名作中の名作、エドワードグリーンのドーバー。しかし、近年の世界的な原材料高騰や為替の影響もあり、新品価格は今や20万円台後半という、なかなか気軽には手が出せない領域に入ってしまいましたね。
そうなると、がぜん注目したくなるのが中古の市場です。私自身、中古市場で掘り出し物を探すのが大好きなのですが、ドーバーに関しては特有のチェックポイントやラストごとのサイズ選びの難しさがあり、初心者の方にとっては少しハードルが高いと感じることもあるかもしれません。
せっかく高いお金を払って手に入れるのですから、相場に見合った、あるいはそれ以上のコンディションの個体を手に入れたいですよね。
ということでこの記事では、中古市場における最新の相場感や、ラスト別のサイズ選びの注意点、そして失敗しないための状態確認のコツまで、私が個人的に収集した情報を余すことなくお伝えします。
エドワードグリーンのドーバーを中古で探す際の基礎知識

ドーバーを中古市場で探すなら、まずはこのモデルが持つ奥深いバリエーションを理解しておくことが大切かなと思います。
ドーバーは単なるUチップシューズではなく、木型(ラスト)の選択によって全く別の靴と言ってもいいほど表情や履き心地が変わるんですよね。ここでは、中古で流通している個体の多くを占める基礎的な知識について深掘りしていきましょう。
ラスト202や606によるサイズ感の違い

エドワードグリーンの魂とも言えるのが、このラスト202です。1940年代に誕生して以来、改良を重ねられながら現代まで愛され続けているこの木型は、「インサイドストレート・アウトサイドカーブ」という人間の足の形に忠実な設計になっています。
中古市場で最も多く見かけるのもこの202ラストですが、履き心地はとにかく「コンフォータブル(快適)」の一言に尽きます。ボールジョイント(親指と小指の付け根)には程よいゆとりがある一方で、土踏まずから踵にかけてはキュッと絞り込まれているため、日本人に多い幅広甲高の足でもしっかりとホールドしてくれる安心感があるんです。
一方、202と並んで人気なのがラスト606ですね。こちらは202をベースに、つま先の形状をチゼルトゥ(角ばった形)にアレンジしたものです。見た目はかなりシャープでモダンな印象になりますが、実は内部の設計は202に近いと言われています。
ただし、私の感覚や多くの愛好家の意見を聞くと、606の方がわずかにタイトに感じることが多いようです。特にスクエアトゥの形状上、指先の当たり方が202とは異なるため、202がジャストサイズでも606では小指が当たるというケースも稀にあります。
数値上ではボールジョイントの幅が数ミリ狭いというデータもあり、よりアーチのサポートを強く感じたい方に向いている木型と言えるかもしれません。
中古で購入する際は、自分が持っている他の靴との比較が重要になります。例えば、ジョンロブの7000番ラストでUK8を履いている方なら、202ラストならUK8.5がジャストになることが多いですね。
希少な32ラストを用いた個体のサイズ選び

中古市場で「おっ、珍しい!」と目を引くのが、ドーバー専用とも言われるラスト32を搭載したモデルです。32ラストは202と同じラウンドトゥではありますが、ノーズが少し長く、全体的にシュッとしたドレッシーなシルエットが特徴です。
最近の現行カタログからは姿を消しつつあるため、この32ラストのドーバーを探しているコレクターの方も多いですよね。しかし、この32ラストこそが中古選びにおける最大の「サイズトラップ」と言っても過言ではありません。
32ラストは、202や606に比べて明らかにタイトなフィッティングです。特にボールジョイントの幅が狭く、甲の立ち上がりも低めに設定されています。そのため、「いつものエドワードグリーンのサイズ」で32ラストを落札してしまうと、痛くて履けないという事態に陥りやすいんです。
具体的には、202でUK8.0Eを履いている人なら、32ラストではUK8.5E、あるいはウィズを上げて8.0Fにするのが正解というケースが多々あります。
また、32ラストのドーバーは「スペードソール(ハーフミッドソール)」という、前半分だけが厚い仕様になっていることが多く、その返りの固さも相まって、タイトなサイズを選んでしまうと足への負担がかなり大きくなります。
中古で32ラストを見かけたら、見た目の格好良さに飛びつく前に、実寸サイズやウィズを慎重に確認し、できればハーフサイズ上げることを検討してみてください。
スキンステッチの真贋と構造が持つ資産価値
ドーバーが他のUチップシューズと一線を画し、高値で取引される最大の理由は、その製造工程の複雑さにあります。特につま先の「スキンステッチ(ライトアングルステッチ)」は、革を貫通させずに断面だけを縫い合わせるという、変態的(褒め言葉です!)なまでに高度な技術が使われています。

この作業は機械では絶対に不可能で、熟練の職人が「イノシシの毛」を針代わりにして、一つひとつ手作業で縫い進めているんです。
この工芸品のような構造こそが、ドーバーが中古市場でも価値を維持し続ける「資産」としての側面を支えています。エドワードグリーンの工場でも、このスキンステッチを完璧にこなせる職人はほんの数名に限られていると言われており、その希少性がそのまま価格に反映されているわけですね。
中古で検討する際は、このステッチ部分を拡大写真で入念にチェックしてください。本物のドーバーは、糸が表面に露出することなく、革が内側から盛り上がったような美しい隆起を見せてくれます。
(出典:Edward Green公式サイト『Craftsmanship』)
スキンステッチは非常に繊細です。中古品の中には、長年の着用による屈曲でこのステッチが「モカ割れ」を起こしているものがあります。後述しますが、この部分の修理は非常に難しく高額になるため、資産価値を重視するならステッチが完全に生きている個体を選ぶことが鉄則です。
オールドグリーンの年代判別とロゴの仕様

エドワード グリーン ドーバー 中古を語る上で避けて通れないのが、いわゆる「オールドグリーン」の存在です。これは主に1990年代から2000年代初頭にかけて製造された個体を指し、現在のロゴとは異なる「筆記体ロゴ」がインソールに刻印されているのが特徴です。
なぜこれほどまでにオールドグリーンが珍重されるのかというと、当時は現在よりもさらに良質な原皮を確保しやすかったという背景があり、「革質が現行品よりも圧倒的にキメ細やかでモチモチしている」と言われているからです。
ロゴの変遷を簡単にまとめると、以下のようになります。
| 年代 | ロゴの特徴 | 中古市場での評価 |
|---|---|---|
| 〜1990年代前半 | 筆記体ロゴ(縦書きなど) | 非常に高い(コレクターズアイテム) |
| 1990年代後半〜2000年代初頭 | 筆記体ロゴ(横書き) | 高い(革質の良さで人気) |
| 2000年代半ば〜現在 | 金枠のブロック体ロゴ | 安定(品質が一定で実用向き) |
また、インソールに「Made by Edward Green」とだけ記され、ブランド名の箇所がロイドフットウェア(Master Lloyd)やラルフローレン(Purple Label)になっている別注品も存在します。
これらは中身は正真正銘のエドワードグリーン製ドーバーでありながら、ブランドネームが異なるだけで本家よりも1〜2万円ほど安く出品されることがあり、実用派にとっては最高の狙い目になります。ロゴが消えかかっていても、内部の窓に手書きでサイズやラストが記載されている特徴的な仕様(EG窓)があれば、それはエドワードグリーン製の証ですよ。
関連記事:エドワードグリーンのインソールロゴで年代判別!旧グリーンの価値
ダークオークやユタカーフのエイジング
ドーバーに使われる素材は、その個体の個性を決定づける重要な要素です。一番人気は、何と言ってもダークオーク・アンティークですね。

この色は、エドワードグリーンの代名詞とも言えるアンティークフィニッシュが施されており、履き込むほどにトゥやヒールの色が深まり、独特のパティーヌのような陰影が生まれます。中古で購入する場合、すでに前のオーナーによってケアされ、美しい光沢と色の深みが出ている個体は「当たり」と言えるでしょう。
一方で、最近急速に人気を高めているのがユタカーフ(Utah Calf)です。これは、型押しを施した後に多量のオイルを染み込ませた非常に柔らかいレザーで、最初から足馴染みが良いのが最大の特徴です。
シボ感があるため傷が目立ちにくく、雨にも比較的強いため、中古で「ガシガシ履ける実用的なドーバー」を探している方には最適です。スムースレザーに比べてひび割れ(クラック)のリスクが格段に低いため、中古で買う際のリスクヘッジとしても優秀な素材なんですよね。どちらの素材もそれぞれの良さがありますが、自分のライフスタイルに合わせて選ぶのが一番かなと思います。
お手入れの基本については、こちらの革靴のクリームの頻度は月1回?も参考にしてみてください。
エドワードグリーンのドーバーを中古で購入する際のコツ

基礎知識を身につけたら、次はいよいよ実践的な購入戦略です。どこで、いくらで、どのような状態のものを狙うべきか。中古市場という「戦場」で失敗しないための立ち回り方を、私の経験からアドバイスさせていただきます。
メルカリ等のフリマアプリにおける販売相場
エドワードグリーンのドーバーの中古を最も安く手に入れられる可能性が高いのは、間違いなくメルカリやヤフオクといった個人間取引のプラットフォームです。
中間マージンがない分、相場よりも数万円安く出品されることがたまにあります。現在のメルカリにおけるドーバー(美品レベル)の相場は、おおよそ75,000円から100,000円程度で推移しています。20万円を超える新品定価を考えれば、半額以下で手に入るのは非常に魅力的ですよね。

フリマアプリでの「狙い目」価格帯
ただし、フリマアプリは「早い者勝ち」の世界です。相場よりも極端に安い(例えば5万円以下など)個体は、数分で売り切れるか、あるいは後述する致命的なダメージを隠している可能性があります。
出品者の評価を確認するのはもちろんですが、質問機能を使って「モカ部分に裂けはないか」「インソールの沈み込みはどの程度か」を具体的に確認することをおすすめします。写真は光の加減でダメージが隠れやすいので、少しでも不安があれば追加の写真を依頼しましょう。
専門店での買取価格と査定時のチェック項目

「個人取引は少し怖いな……」という方には、中古革靴の専門店での購入が一番安心です。専門店(ラストラボ、スタジオCBR、クール・ヴェールなど)は、プロの鑑定士が真贋判定と状態評価を行っており、クリーニングも済んでいることが多いですからね。
専門店での販売価格はフリマアプリより1〜2割ほど高くなり、だいたい90,000円〜120,000円程度が中心となります。
これらのショップの買取基準を知っておくと、中古品を選ぶ際の参考になります。彼らが査定時に特に厳しくチェックするのは、アッパーの履き皺の状態、踵の内側(カウンターライニング)の破れ、そして何よりソールの減り具合です。
専門店で「Aランク(美品)」とされている個体は、これらが非常に良好な状態であることを意味します。自分でチェックする際も、これらのポイントを専門店レベルの厳しい目で見るようにすると、ハズレを引く確率をグンと下げられますよ。
モカ割れやクラックなど致命的な状態の確認

エドワード グリーン ドーバー 中古選びにおいて、これだけは絶対に譲れないチェックポイントがあります。それは「モカ割れ」と「アッパーのクラック」の有無です。これらは、どんなに安くても購入を避けるべき、いわゆる「致命傷」だからです。
絶対に避けるべき個体の特徴
特にドーバーはスキンステッチが命。ステッチ周りに小さな亀裂がないか、糸が切れていないかを写真で執拗に確認してください。
もし「要修理」と書かれた格安個体を見つけても、自分で信頼できる修理店に相談し、修理費用を算出してから判断するのが賢明です。多くの場合、リペア費用を足すと美品を買うより高くついてしまう……なんていう「安物買いの銭失い」になりがちですからね。
オールソール交換にかかる修理費用と維持費

中古で買ったドーバーを自分の相棒にしていくためには、初期メンテナンスや必要に応じたリペアの予算も考えておくべきです。例えば、アッパーは綺麗だけどソールが限界に近いという個体を買った場合、以下のような費用が発生します。
| 修理・メンテ項目 | 概算費用(目安) | 納期(目安) |
|---|---|---|
| オールソール交換(ダイナイト等) | 18,000円〜25,000円 | 3〜4週間 |
| レザーオールソール(オークバーク) | 25,000円〜35,000円 | 1ヶ月〜 |
| ヴィンテージスチール装着 | 4,000円〜6,000円 | 即日〜1週間 |
| トップリフト(踵)交換 | 4,000円〜6,000円 | 即日〜3日 |
| プロによる磨き(ハイシャイン等) | 2,500円〜4,000円 | 即日〜1週間 |
理想を言えば、エドワードグリーンの純正ソールに使われている「J&FJ Baker社のオークバーク」で修理したいところですが、これは非常に高価です。
実用性を考えるなら、あえて中古で買ったのを機にダイナイトソールへ変更し、雨の日でも使える「最強のドーバー」に改造してしまうのも、個人的にはアリかなと思っています。購入価格+リペア費用が、自分の納得できる範囲内に収まるかどうかを常に意識しましょう。
素材別の手入れ方法と長く履くための心得

手に入れた中古のドーバー。まず最初に行うべきは、前のオーナーの古いクリームを一度リセットする「すっぴん作業」です。ステインリムーバーなどで汚れを落とし、乾燥した革にたっぷりと水分と油分を補給してあげましょう。
特にダークオークなどのアンティークフィニッシュが施された靴は、クリームの塗りすぎで透明感が失われていることが多いので、丁寧なケアで見違えるように復活します。
また、長く履き続けるための鉄則は「ローテーション」です。どんなに気に入っていても、毎日のように履くのは厳禁。一日履いたら最低でも二日は休ませ、その間は必ず質の良い木製シューツリーを入れて形を整えましょう。
シューツリーは、できればエドワードグリーンの純正品がベストですが、高価なので、202ラストに形状が近い社外品(スレイプニルなど)を探すのも楽しいですよ。日々のブラッシングだけでも、革の寿命は驚くほど延びます。ドーバーは正しく手入れをすれば20年、30年と付き合える靴ですから、ぜひ楽しみながらメンテナンスしてあげてください。
関連記事:革靴は何足必要か【仕事用は3足・プライベートなら1足でも】
失敗しないエドワードグリーンのドーバーの中古選び
さて、ここまでエドワード グリーン ドーバー 中古の選び方についてかなり詳しく解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。最後にポイントをまとめると、
「ラストの特徴を把握してサイズ選びを妥協しないこと」
「モカ割れやクラックという致命的なダメージを徹底的に避けること」
「リペア費用を含めたトータルコストで判断すること」
この3点に尽きます。特に32ラストのタイトさには注意してくださいね。
ドーバーは、一度足に馴染んでしまえば、その唯一無二の存在感であなたの足元を格上げしてくれる最高のパートナーになります。新品価格が高騰し続ける今、程度の良い中古品を見つけ出すことは、賢く豊かな革靴ライフを送るための素晴らしい戦略です。
もし、具体的な個体の判断で迷ったり、サイズ選びで不安なことがあれば、いつでもコメントしてくださいね。あなたが運命のドーバーに出会えることを、心から応援しています!
