こんにちは!革の小部屋管理人の小次郎です!
一生モノの靴として憧れのエドワードグリーンですが、いざ選ぼうとすると多くの方が迷うのがエドワードグリーンの202と82の比較ではないでしょうか。
私も初めての一足を選ぶ際、伝統的な202の丸みに惹かれつつも、スタイリッシュな82のアーモンドトゥも捨てがたくて、店舗で何度も履き比べた思い出があります。実際に足を入れてみると、数値上のサイズ感の違いだけでなく、人によってはラスト82がきついと感じたり、歩いているうちに小指が痛いといった具体的なフィッティングの悩みが出てくるものです。
また、似た形状の606との違いについても気になりますよね。この記事では、エドワードグリーンの202と82を比較しながら、試着する際のチェックポイントや、失敗しないサイズ選びのコツを私なりの視点でまとめました。
最後まで読めば、あなたの足にぴったりのラストがどちらか、きっと見えてくるはずですよ。
エドワードグリーンの202と82の比較と歴史的背景

エドワードグリーンを象徴する二つの木型には、ブランドの存続をかけたドラマや、時代のニーズに応えるための進化が詰まっています。まずはその成り立ちと、見た目の違いから詳しく見ていきましょう。
それぞれのラスト採用モデル一覧
ラスト202とラスト82はエドワードグリーン内で様々なモデルで使われています。そんなモデルたちの一覧を見ていきましょう。
1. 両方のラストで展開される「定番モデル」
この3足は、202と82のどちらを選ぶかで最も個性が分かれる、まさにグリーンの顔です。
2. ラスト202が「王道」とされるモデル
カントリーやクラシックな出自を持つモデルは、202のボリューム感がよく似合います。
3. ラスト82で真価を発揮する「モダンモデル」
細身のシルエットがデザインの美しさを際立たせる、現代的なモデルたちです。
伝統的なラスト202とモダンな82が歩んだ歴史

このように様々なモデルで使われている、今やエドワードグリーンそのものとも言えるこの2種類のラストの歴史は、1890年の創業時にまで遡りますが、現代に続くアイデンティティを確立したのは1980年代のこと。
当時、経営難に陥っていたブランドを救い出したジョン・フルスティック氏が、ブランドの哲学である「でき得る限りの上質を求める」という信念を木型に投影し、「新202」として再構築したのが始まりです。
私たちが今、当たり前のように202を履けるのは、この激動の歴史があったからこそだと思うと、一歩一歩の重みが変わってくる気がしませんか?
ラスト202は、もともと英国軍のオフィサーシューズの流れを汲む、質実剛健な背景を持っています。そのため、単に「古い」のではなく、時代を超えて愛される「正統派」としての品格が備わっているんです。
一方で、ラスト82の誕生は、ブランドが新たなステージへと進むための「挑戦」の象徴でした。2000年代初頭、エドワードグリーンのデザインを手掛けていたのは、後に自身のブランドを立ち上げ、ビスポーク界の風雲児となるトニー・ガジアーノ氏でした。
当時のファッション界は、より細身でシャープなシルエットが求められるモダンな時代へとシフトしており、クラシックな202だけでは応えきれないニーズが生まれていたんです。
そこでガジアーノ氏は、それまでの英国靴にはなかった「色気」と「洗練」を吹き込むべく、ラスト82を設計しました。202が持つ伝統的なフィッティングの良さを土台にしつつ、つま先を流麗な「アーモンドトゥ」へと昇華したわけなんですね。
(出典:Edward Green公式『Our Heritage』)
ラウンドトゥの202とアーモンドトゥの82の形状

エドワードグリーンの靴を真上から、あるいは横から眺めた時、その印象を決定づけるのがつま先の造形、すなわち「トゥシェイプ」です。
これこそが202と82を比較する上での最大のハイライトと言っても過言ではありません。実際に両者を並べてみると、同じブランドの靴でありながら、まるで異なる設計思想で作られていることが手に取るように分かります。
まず、ラスト202の代名詞と言えるのが「イングリッシュ・ラウンドトゥ」です。これは1930年代のオフィサーシューズ(将校用靴)の面影を残す、非常にクラシックで伝統的な形状。
特徴的なのは、単に丸いだけでなく、親指側が直線的な「インサイドストレート」でありながら、小指側がゆったりと膨らむ「アウトサイドカーブ」を描いている点です。ノーズ(捨て寸)が意図的に短く設定されているため、足元がコンパクトにまとまり、重心が低く落ち着いた印象を与えるのが202の魔法なんです。
対するラスト82は、2000年代の美意識を反映した「アーモンドトゥ」を採用しています。その名の通りアーモンドの種のように、先端に向けてスッと細く絞り込まれたラインが特徴です。202に比べるとノーズが明確に長く(ロングノーズ)、ボールジョイントからつま先までの距離があるため、視覚的に足をスラリと長く見せる効果があります。
名作チェルシーにおける印象の違い
エドワードグリーンの内羽根ストレートチップ「チェルシー」は、多くの靴好きがいつかは手に入れたいと願う聖杯のようなモデルです。このチェルシーを202で履くか、82で履くか。これはエドワードグリーン選びにおける「究極の二択」とも言えます。デザイン自体は非常にシンプルですが、ラストという「器」が変わるだけで、醸し出すオーラが驚くほど変化します。
ラスト202のチェルシーは、まさに「質実剛健な英国靴」の完成形です。

チェルシー最大の特徴である「スワンネック(白鳥の首)」のステッチが、202の丸みを帯びたボディに乗ることで、クラシックな装飾としての重厚感を放ちます。この組み合わせは、古き良きサヴィル・ロウの仕立て服を彷彿とさせ、どんなに厳格なビジネスシーンであっても相手に絶大な信頼感を与えてくれます。過度な主張をせず、履く人の品格を静かに引き立てる「アンダーステートメント」の美学。
一方で、ラスト82のチェルシーは「現代のエグゼクティブ」を象徴するような一足です。

シャープなアーモンドトゥによって、スワンネックの曲線がより鋭く、より繊細に際立ちます。ノーズの長さが加わることで、ドレッシーさと華やかさが一気に加速し、まるで芸術品のような佇まいになります。イタリア製の艶やかな生地を使ったモダンなスーツスタイルには、この82のチェルシーが完璧にマッチします。
私なら、弔事や非常に保守的な商談には202を。結婚式や華やかなレセプション、あるいは気合を入れたいプレゼンの日には82を選びます。このように「場」に合わせてラストを使い分けることこそ、チェルシーという名作を遊び尽くす醍醐味と言えるでしょう。
関連記事:エドワードグリーン・チェルシー202の魅力!他ラストなどの違い
ドーバーを履きこなすための選び方
最後にご紹介するのが、Uチップの最高峰として君臨する「ドーバー」です。ドーバーといえば、職人がイノシシの毛を使って手縫いする「ライトアングル・モカステッチ」が最大の見所ですが、この緻密な手仕事の表情もラストによって大きく左右されます。ドーバーをどう履きこなしたいか。その答えによって、自ずと選ぶべきラストが決まってきます。
伝統的な「ドーバー像」を求めるなら、やはりラスト202が筆頭候補です。

実はドーバーのルーツはカントリーシューズに近い背景を持っており、202のボリューム感のあるラウンドトゥこそが、その本来の魅力を引き出すと言われています。スキンステッチによる無骨なモカ縫いが、丸いトゥと合わさることで、ドレスとカジュアルの絶妙な境界線を作り出します。
しかし、近年非常に人気が高まっているのが、ラスト82のドーバーです。

これはある意味で「ドーバーのドレスシューズ化」とも言える進化。細身のアーモンドトゥにスキンステッチが施されることで、Uチップ特有の野暮ったさが消え去り、驚くほどモダンで都会的な印象へと昇華されます。スーツに合わせることを主眼に置くなら、この82のドーバーこそが「ドレスUチップ」の決定版になります。
デニムやチノパンでガシガシ履き込み、エイジングを楽しみたいなら202。細身のスーツやジャケパンで、スマートに「隙のない足元」を演出したいなら82。どちらを選んでも、世界最高峰の職人技を足元に纏う喜びは変わりません。あなたがドーバーと共にどんな景色を歩みたいか。そのイメージが、運命のラストを教えてくれるはずですよ。
606との違いやサイズ感の共通点
202を検討する際、よく比較に挙がるのがラスト606です。実は606は、202のヒールからボールジョイントまでの設計をベースに、つま先だけをスクエアトゥに変更した木型です。
そのため、基本的なサイズ感や土踏まずのフィット感は202とほぼ共通しています。「202だと少し丸すぎて可愛すぎるかな?」と感じる方にとって、少しエッジの効いた606は絶妙な選択肢になります。
サイズ選びも202と同じ基準で考えて問題ないので、デザインの好みで選んでみてください。
エドワードグリーンの202と82の比較とサイズ選び

ここからは、多くの方が頭を悩ませるフィッティングの核心に迫ります。「202と同じサイズで大丈夫?」という疑問や、特有のトラブルへの対処法をまとめました。
ラスト82がきついと感じる際のサイズ感の調整
公式には「202と82は同じサイズ(True to Size)」とされています。しかし、実際に履いてみるとラスト82の方が全体的にタイトに感じることが多いです。
これは、甲が低めに設計されていることや、ノーズの絞り込みが強いためです。もし202がジャストフィットで、82だと全体的に圧迫感が強すぎる場合は、ハーフサイズ上げるか、あるいはウィズを一つ上げる(EウィズからFウィズにするなど)調整を検討してみてください。無理をして修行のような痛みに耐える必要はありません。
小指が痛い際のラスト82の合わせ方

ラスト82特有の悩みとして、つま先の絞り込みによって「小指が当たる」という声を聞きます。特に足の形がスクエア型に近い方は、この現象が起きやすいかもしれません。
小指が痛いまま履き続けると、歩行姿勢が悪くなるだけでなく、靴自体の型崩れの原因にもなります。対策としては、厚手のソックスを避けるか、薄い中敷きなどで調整する方法もありますが、根本的にはウィズを広げるのが最も効果的です。
エドワードグリーンの革は非常に上質で馴染みも良いですが、小指の骨が当たるような痛みは我慢せず、適切なサイズ選びを優先しましょう。
ジョンロブ等との比較で見る適正なサイズ選び
他の高級靴ブランドを愛用している方のために、サイズ感の目安を一覧表にまとめました。あくまで一般的な目安ですので、個体差や足型による違いは考慮してくださいね。
| 比較ブランド・ラスト | サイズ感(対 EG 202/82) | 特徴 |
|---|---|---|
| ジョンロブ (7000) | 同サイズ 〜 -0.5 | ロブの方が踵周りにややゆとりがある傾向 |
| クロケット&ジョーンズ (337) | 同サイズ | ほぼ近いが、EGの方が土踏まずの絞りが強い |
| ガジアーノ&ガーリング (TG73) | 同サイズ 〜 +0.5 | G&Gは非常にタイトなのでハーフアップも視野 |
| カルミナ (Rain) | -0.5 | Rainの方が甲高でゆとりを感じやすい |
※数値は目安です。正確な情報は公式サイトをご確認いただくか、店頭での試着を強くおすすめします。
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それぞれに相性の良いアイテムとコーデ
さて、ここまでは構造やサイズ感についてマニアックにお話ししてきましたが、最後は「結局、どう合わせるのが一番かっこいいの?」というスタイリングのお話です。
202と82、それぞれのラストが持つ個性を最大限に引き出すためのコーディネートを、私の実体験を交えながら詳しく提案させていただきますね。足元が変われば、全体のシルエットの「落ち着きどころ」がガラリと変わるのが面白いんですよ。
【ラスト202】英国の伝統と質感を愉しむ「タイムレス・スタイル」
ラスト202の魅力は、何と言ってもその「包容力のある丸み」です。これに合わせるなら、やはり英国的な素材感のあるアイテムが鉄板ですね。

例えば、秋冬なら肉厚なグレーのフランネルパンツや、重厚なツイードジャケット。202の適度なボリューム感が、重い生地の質感に負けることなく、足元をどっしりと支えてくれます。ネイビーの王道スーツに合わせれば、これ以上ないほどの安心感と信頼感を演出できるはずです。
【ラスト82】現代の洗練を纏う「アーバン・エレガンス」
一方で、ラスト82の流麗なアーモンドトゥが映えるのは、モダンで都会的なスタイリングです。特におすすめしたいのが、イタリア製の高番手ウールを使用した、艶のある生地のスーツ。

82のロングノーズなシルエットが、細身のスーツが持つシャープなラインを地面まで綺麗に繋げてくれます。パンツの裾幅は少し細めに、かつテーパードが効いたものを選ぶと、82の色気がさらに強調されますね。
このシャープさは、華やかなフォーマルシーンでも大きな武器になります。結婚式やパーティーなど、普段よりも少し背筋を伸ばして参加したい場面では、82の放つドレッシーな緊張感が、着る人の品格を一段階引き上げてくれます。
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エドワードグリーンの202と82の比較と結論
エドワードグリーンの202と82の比較をしてきましたが、結論として「どちらが優れている」ということはありません。
202は包容力のある故郷のような安心感を、82は都会的でシャープな緊張感を私たちに与えてくれます。私自身の経験から言えば、まずは基本の202で英国靴の王道を味わい、その次に82で違った表情を楽しむのが、このブランドの醍醐味ではないかと思います。
最終的なフィッティングの判断は、足の健康を守るためにも専門家のフィッターさんに相談しながら、最高の相棒を見つけてくださいね。あなたの革靴ライフが、より豊かなものになることを願っています!
