こんにちは!革の小部屋管理人の小次郎です!
英国靴の最高峰として名高いエドワードグリーンですが、その中でも「伝説」や「幻」と称されるラストが存在することをご存知でしょうか。そう、エドワードグリーン・808ラストです。このラストは、ジョンフルスティック氏が率いた黄金時代の空気感を今に伝える特別な存在ですよね。
ネットで検索してみても、エドワードグリーンの808はサイズ感が難しいという声や、888との違いがよく分からないといった悩み、さらには廃盤の噂まで飛び交っていて、手を出したくても二の足を踏んでいる方も多いかもしれません。私自身、このラストの美しさに惚れ込み、情報を集め続けてきた一人として、その気持ちは本当によく分かります。
この記事では、エドワードグリーンの808ラストの歴史的な背景から、他のラストとの徹底比較、そして失敗しないためのサイズ選びまで、私がこれまで培ってきた知識を余すことなくお届けします。この記事を読み終える頃には、あなたが探している一足が本当に自分に合うものなのか、はっきりと確信が持てるようになっているはずですよ。
エドワードグリーンの808ラストにおける歴史と造形

まずは、なぜこのラストがこれほどまでに愛好家を惹きつけてやまないのか、そのルーツと独特の形について紐解いていきましょう。ここを知ることで、ただの「靴」が「芸術品」に見えてくるはずです。
ジョンフルスティックが築いた黄金時代の歴史と評価

エドワードグリーンの歴史を語る上で、1980年代から90年代にかけてブランドを再生させた故ジョン・フルスティック氏の存在は欠かせません。
彼が指揮を執っていた時代は「黄金時代」と呼ばれ、そこで生み出された靴たちは現在でも「オールドグリーン」としてヴィンテージ市場で別格の扱いを受けています。
この時代、フルスティック氏は英国靴の伝統を重んじながらも、そこに現代的なエレガンスを注入しました。その結晶の一つが、まさにこのエドワードグリーンの808ラストなんです。当時の職人技が光るステッチの細かさや、上質な革の質感が見事にラストの形状と調和しており、今なお「エドワードグリーン史上最もエレガニック」と評される所以はここにあります。
ラルフローレンパープルレーベル別注品の特別な価値
808ラストの名を世界に知らしめたもう一つの大きな要因が、ラルフローレンの最上級ライン「パープルレーベル(RLPL)」とのコラボレーションです。

ラルフ・ローレン氏本人が、既成靴でありながらビスポークのような流麗なシルエットを求め、白羽の矢が立ったのがこの808ラストでした。
この別注モデルでは、通常のグリーン以上に手間をかけたピッチドヒールや、極限まで絞り込まれたウエストなど、今の既成靴では考えられないような贅沢な仕様が盛り込まれていました。当時のRLPLモデルを手にすることは、単に靴を買う以上の、一つの文化を所有するような特別な意味を持っていたんですね。
ソフトスクエアトゥの造形美と606とのデザイン差
808ラストの最大の外見的特徴は、その「ソフトスクエア」と呼ばれるつま先の形状にあります。

角を立てすぎず、どこか柔らかな丸みを残したスクエアトゥは、英国的な気品と色気を絶妙なバランスで両立させています。
このように比較してみると、同じスクエア系でも目指している方向性が全く違うことが分かります。808は、よりドレッシーで洗練された装いに寄り添うラストと言えますね。
低い甲のフィッティングが支える美しいドレープ感
808ラストの美しさを支える構造的な特徴として、「甲の低さ(ローインステップ)」が挙げられます。甲を極限まで低く設計することで、アッパーの革が足にぴたっと吸い付くような感覚を生みます。
これにより、歩行時に余計な革のたわみが出にくく、足のラインに沿った美しいドレープが生まれるんです。この緊張感のある佇まいは、甲が高い設計の靴では決して味わえない、808ならではの特権と言えるでしょう。
失敗を防ぐためのサイズ感とおすすめのウィズ選択

さて、一番気になるのがサイズ感ですよね。808ラストは、そのエレガントな見た目と引き換えに、フィッティングはかなりシビアです。基本的には「甲が低く、幅がタイト」であるということを覚えておいてください。
サイズ選びの注意点:
普段、202や82ラストでEウィズを履いている方が、同じ感覚で808のEウィズを選ぶと、甲が圧迫されて羽根が開きすぎたり、ボールジョイントが痛んだりするリスクが高いです。
私のおすすめとしては、ハーフサイズ上げる(例:7.0E→7.5E)か、あるいはウィズを一つ上げる(例:7.0E→7.0F)という選択肢です。特に日本人に多い「甲高幅広」の足型の方は、思い切ってFウィズを探してみるのが、このラストを快適に履きこなす近道かなと思います。
エドワードグリーンの808ラストと主要モデルの比較

ここからは、他の人気ラストとの詳細な比較や、808を語る上で外せない最高峰の仕様について見ていきましょう。これを読めば、あなたの理想の一足がどれなのか、より明確になるはずです。
定番82やモダンな888ラストとの決定的な違い
現行の主力である82ラストや、トニー・ガジアーノ氏が手掛けた888ラストと、808はどう違うのでしょうか。私の個人的な見解も含めてまとめてみました。


| ラスト | トゥ形状 | 印象 | フィッティング |
|---|---|---|---|
| 808 | ソフトスクエア | 貴族的・クラシック | 非常にタイト・甲が低い |
| 82 | アーモンド | モダン・スタイリッシュ | 標準的・万能型 |
| 888 | チゼル | 鋭角的・都会的 | 細身だが808より甲がある |
888がエッジの効いた現代的な美しさだとすれば、808はあくまで伝統の枠内にある最高のエレガンスという感じですね。この「888と808の違い」を理解しておくと、モデル選びの失敗がぐんと減りますよ。
最高峰トップドロワー仕様に宿るビスポークの魂
エドワードグリーンには「トップドロワー」という、既成靴の枠を超えた半受注生産ラインがあります。そして、808ラストはこのトップドロワーでこそ、その真価を発揮すると言われています。
ベヴェルドウエストやピッチドヒールといったビスポーク由来のディテールが、細身の808ラストに施されることで、その色気はさらに加速します。まさに「タンスの引き出しの一番上」にしまっておきたくなるような、至高の一足が完成するわけです。現在、現行品で808を味わうなら、このトップドロワー経由でオーダーするのが最も確実な方法と言えるでしょう。
808ラストが使われてる主なモデル

808ラストが現在使われている、過去使われていたモデルが意外とたくさんあります。
中でも808ラストを象徴するモデルといえば、まずは「Walcot(ウォルコット)」が挙げられます。繊細なイミテーションブローグが施されたこのモデルは、808のロングノーズと抜群の相性を誇ります。
また、最高級仕様で見られる「Gladstone(グラッドストーン)」も忘れてはいけません。スキンステッチを駆使した究極のフルブローグは、まさに芸術品。他にも、セミブローグの「Asquith(アスキス)」などが808で作られることがありますが、いずれも「特別な一足」としてのオーラが漂っていますね。
廃盤の噂とヴィンテージ市場での賢い入手方法
「808は廃盤になった」という話を耳にすることがありますが、厳密には「メインラインのラインナップから外れた」というのが正しい表現です。現在、既成の店頭で見かけることは稀ですが、MTO(パターンオーダー)やトップドロワーでは指定可能な場合が多いようです。
ヴィンテージ市場では、時折デッドストックや状態の良い808が眠っていることがあります。サイズさえ合えば、現行のトップドロワーをオーダーするよりもかなり抑えた価格で、黄金時代のクオリティを手にすることができますよ。
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エドワードグリーンの808ラストに関する結論と総括
ここまでエドワードグリーンの808ラストについて深く掘り下げてきましたが、いかがでしたでしょうか。このラストは、単なる靴の木型を超えて、英国靴が到達した一つの「頂点」だと言っても過言ではありません。
タイトなサイズ感や低い甲など、履く人を選ぶ側面は確かにあります。しかし、自分の足にぴたっと合った808を履いた時の、あの背筋が伸びるような高揚感と足元の美しさは、他のラストでは決して得られない唯一無二のものです。もしあなたが、時代に流されない究極のエレガンスを求めているなら、ぜひ一度このラストを手に取ってみてください。
なお、サイズ選びや現在のオーダー可否については時期によって変動することもあります。正確な情報は公式サイトや正規代理店をご確認いただき、最終的なフィッティング判断は信頼できるシューフィッター等の専門家にご相談くださいね。あなたの靴選びが、素晴らしいものになることを心から願っています!
