こんにちは!革の小部屋管理人の「小次郎」です!
最近、ショップやネットで靴を探していると、あまりの価格に手が止まってしまうことがありますよね。特にオールデンのコードバンモデルは、今や定価が17万円を超えることも珍しくありません。
数年前の感覚でいると、まさにオールデンが高すぎるという印象を抱くのは当然のことだと思います。憧れのブランドとはいえ、一足にそこまでの金額を出す価値があるのか、品質は価格に見合っているのかと不安になるのは、私だけではないはずです。
この記事では、価格がここまで跳ね上がった構造的な背景から、日本市場における特有の事情、そして手にした後に後悔しないための向き合い方までを詳しく解説します。この記事を読めば、今の市場価格の正体が分かり、納得感を持って自分の一足を選べるようになるはずです。
オールデンが高すぎる理由と価格高騰の背景を徹底解説

まずは、私たちが最も気になる「なぜここまで高いのか」という疑問の核心、素材と歴史的な背景から紐解いていきましょう。
希少なコードバンのコストと価格形成のメカニズム

オールデンの靴がこれほどまでに高額である最大の理由は、やはりその代名詞ともいえる素材、「シェルコードバン」にあります。この革は、世界でも限られたタンナーしか製造しておらず、オールデンが使用しているのは米国シカゴの名門、ホーウィン社製のものです。
コードバンは馬の臀部にあるわずかな「シェル」と呼ばれる層を削り出したもので、一頭の馬から靴一足分が取れるかどうかという極めて希少な素材です。近年、食肉文化の変化や農耕馬の減少により、この原皮そのものが世界的に不足している状況が続いています。
さらに、その製造プロセスも驚くほど手間がかかっています。ホーウィン社では、伝統的な植物タンニンなめしを採用しており、完成までに最短でも6ヶ月、長いものでは9ヶ月近い時間を要します。
現代の多くの革がクロムなめしによって数日で仕上げられるのと比較すれば、その時間の重みは計り知れません。
この長いリードタイムは、メーカーにとって莫大な在庫保有コストを意味し、それがそのまま「革のダイヤモンド」としての価格に反映されているわけです。
実際に、一般的な高級牛革(カウハイド)と比較すると、素材の平方フィート単価は約5倍以上に達するとも言われています。特に傷が目立ちやすく、高品質な原皮しか使えない「ウイスキー」や「シガー」といったレアカラーは、さらに供給が制限されるため、市場価格はさらに高騰します。
私たちが支払う代金のかなりの割合が、この「時間と希少性」に対して支払われていると言っても過言ではありません。
(出典:Horween Leather Company『Shell Cordovan at Horween』)
過去から現在までの日本国内における価格推移の実態
「昔は6、7万円で買えたのに」というベテラン愛好家の言葉を聞くことがありますが、それは決して大げさな話ではありません。オールデンの価格推移を振り返ると、特に日本国内での値上がり方は凄まじいものがあります。
1990年代後半から2000年代初頭にかけては、日本でもコードバンモデルが6万円台から8万円台で購入できる時代がありました。しかし、その後は米国本国での定価上昇と、日本国内の代理店による価格改定が繰り返され、現在の17万円台という水準にまで達しています。
| 年代 | 代表モデル(コードバン)の定価目安 | 主な要因 |
|---|---|---|
| 2000年頃 | 約65,000円〜75,000円 | 安定した為替と原材料供給 |
| 2010年頃 | 約95,000円〜110,000円 | 原材料不足の深刻化、仕様変更 |
| 2020年頃 | 約130,000円〜150,000円 | 人件費高騰、インフレ |
| 2025年現在 | 約171,600円〜 | 歴史的円安、輸送コスト増 |
この上昇トレンドの背景には、米国での熟練工の確保が困難になり人件費が高騰していること、そして環境規制に伴うなめし工場のコスト増など、不可逆的なマクロ要因が絡み合っています。
日本特有の事情としては、やはり為替(円安ドル高)の影響が大きく、米国本国のドル建て価格が上がるスピード以上に、円建ての価格が急騰してしまったことが挙げられます。
現在では、コードバンだけでなくカーフ(牛革)モデルの価格も10万円を大きく超えるようになっており、ブランド全体が「高級実用靴」から「ラグジュアリーアイテム」へとポジションを変えつつあると言えるでしょう。
品質管理の課題とアメリカ製特有の作りの粗さ

17万円という金額を払う際、多くの人が期待するのは、細部まで隙のない完璧な仕上がりではないでしょうか。しかし、ここがオールデンの最も「評価が分かれる」ポイントです。
オールデンはマサチューセッツ州のミドルボロウにある工場で職人たちが作っていますが、そのフィニッシュは非常に「おおらか」、悪く言えば「雑」に感じられる部分があります。
具体的には、ウェルトのステッチが少し曲がっていたり、糸の末端処理が甘かったり、左右でわずかに革の質感が異なっていたりすることがよくあります。日本のブランドや、英国の精密な作りを知っている人からすると、「この値段でこれはひどいのではないか?」と感じてしまうこともあるはずです。しかし、ファンの多くはこれを「アメリカ製らしい味」として受け入れています。
なぜ品質のバラつきが許容されるのか
それは、オールデンがもともと「矯正靴(モディファイドラストなど)」をルーツに持つ、機能性重視のワークシューズメーカーだからです。見た目の完璧な美しさよりも、歩きやすさや頑丈さ、そして素材の魅力を最大限に引き出すことに主眼が置かれています。
完璧な左右対称や、ミリ単位のステッチ精度を求める方にとって、今の価格設定は正直に申し上げて「割に合わない」と感じる可能性が高いです。購入前に、オールデンが持つ「武骨なアメリカンスピリット」を許容できるか自問自答してみることをおすすめします。
購入後に後悔しないための品質と価格のバランス
オールデンを手に入れて「買ってよかった」と思えるかどうかは、価格に対する期待値をどこに置くかで決まります。もし、17万円の価値を「外見の綺麗さ」だけに求めるなら、後悔する可能性は高いかもしれません。
しかし、「履き心地」と「エイジング(経年変化)」に価値を見出せるなら、それは唯一無二の投資になります。
特にオールデンが誇る「モディファイドラスト」や「バリーラスト」などの木型は、日本人の足にも合いやすく、一日中履いても疲れにくいという絶大な信頼を得ています。
また、コードバンは履き込むほどにオーナーの歩き方の癖に合わせた太い皺が刻まれ、磨くたびに奥行きのある光沢を放つようになります。この「自分だけの一足に育つプロセス」は、他のどんな高額な靴でも代替できません。
今の価格は確かに高いですが、10年、20年と履き続けられる耐久性と、その間の満足感を日割りで計算してみてください。
クロケット&ジョーンズと比較して分かる価値の違い

「オールデンは高すぎる、他に適正な価格の靴はないのか」と考えた時、真っ先に候補に上がるのが英国の老舗クロケット&ジョーンズです。
価格帯は現在10万円〜12万円程度が中心で、オールデンより5万円ほど安く手に入ります。そして、作りの緻密さや品質管理の均一性においては、間違いなくクロケット&ジョーンズが上回っています。
クロケット&ジョーンズの靴は、端正な佇まいでビジネススーツとの相性が抜群です。ステッチは細かく正確で、革の選別も非常に厳しい基準で行われています。一方で、オールデンには良くも悪くも「完成されていない魅力」があります。デニムやチノパンといったカジュアルな服装に合わせた時のバランス、そして何よりコードバンという素材の「化け方」において、オールデンは圧倒的な存在感を放ちます。
「端正な美しさ」を適正価格で手に入れたいなら英国靴を、「他にはない個性と物語」に投資したいならオールデンを、という選択になります。この5万円の差額は、単なる品質の差ではなく、「オールデンという文化」に参加するためのコストと言い換えることもできます。
オールデンが高すぎる中で後悔しない購入方法の極意

新品価格がこれほどまでに上がった以上、何の戦略もなしに購入するのは勇気がいります。ここからは、今の市場環境で少しでも賢く、納得感を持ってオールデンを手に入れるための具体的なアドバイスを、私なりの視点でお伝えします。
中古市場の相場と状態の良い一足を見極めるコツ
今の定価を考えると、中古市場(セカンドハンド)の活用は避けて通れません。メルカリやヤフオク、あるいは「サファリ」や「ラストラボ」といった高級靴専門の古着店には、状態の良いオールデンが数多く流通しています。
中古と言っても、サイズが合わずに一度履いただけの「新古品」であれば、定価の3割から半額程度で見つかることもあります。
特にコードバンは、中古であっても磨き直せば新品に近い輝きを取り戻すことができます。
自分の足に馴染むまでの時間を短縮できるというメリットもあり、あえて「状態の良い中古」から始めるのは、現代の賢い選択と言えるでしょう。ただし、サイズの失敗は致命的なので、可能であれば実店舗で試着してから探すのが鉄則です。
リセールバリューから算出する実質的な所有コスト

私がオールデンの価格を肯定的に捉える理由の一つが、その圧倒的な換金性です。一般的なブランドの靴は、一度外で履けば価値は10分の1程度にまで暴落しますが、オールデンのコードバンモデルは違います。
例えば17万円で購入した靴を数年履き、もし事情があって手放すことになっても、状態が良ければ5万円〜8万円程度で売却できるケースが多々あります。
もしあなたが、17万円で購入して10万円で売却できたとすれば、実質的なコストは7万円です。この7万円で数年間、世界最高峰の靴を履く「体験」を買ったと考えれば、決して高くはないはずです。
| モデル名 | 中古市場の平均相場 | 備考 |
|---|---|---|
| 990 (プレーントゥ) | 60,000円〜100,000円 | 定番中の定番で常に需要が高い |
| 54321 (Vチップ) | 70,000円〜110,000円 | 日本での人気が特に高く高価買取対象 |
| レアカラー各種 | 150,000円〜300,000円 | 定価を大幅に超えるプレミア価格 |
オールデンは単なる「消費」ではなく、「資産」に近い性質を持っています。この安心感があるからこそ、私たちは思い切って高い定価を支払うことができるのです。
個人輸入の現状と円安の影響によるメリットの消失
かつては「アメリカのショップから直接買えば10万円以下で買える」というのが通説でした。しかし、2026年現在の状況は一変しています。
まず、オールデン社自体が米国リテーラーに対し、日本を含む海外への直接発送を厳しく禁じています。転送サービスを使えば物理的には可能ですが、ショップ側が「転送会社のアドレス」をブラックリスト化しており、キャンセルされるケースが後を絶ちません。
さらに、経済的なメリットもほぼ消滅しました。
これらを合計すると、約190,000円となり、なんと日本国内の定価(171,600円)よりも高くなってしまう計算になります。
保証もなく、サイズ交換もできないリスクを負ってまで個人輸入をする意味は、今の為替状況では全くありません。国内の正規代理店であるラコタハウスや、信頼できるセレクトショップでアフターケアを含めて購入するのが、結局のところ最も賢い選択です。
メンテナンスや雨の日のシミ対策など維持管理の注意点

「高い靴だから」という理由だけで大切にしまい込むのは、最ももったいないことです。しかし、コードバン特有の弱点を知っておかなければ、一回の雨で後悔することになりかねません。
特に有名なのが「雨によるシミ(ブク)」です。コードバンの繊維が水分を吸うと、その部分が膨れ上がり、表面に凹凸ができてしまいます。
これを防ぐためには、天気予報を確認するのはもちろんですが、万が一濡れてしまった際の手入れ方法を熟知しておく必要があります。濡れたらすぐに乾いた布で水分を拭き取り、形を整えてから、完全に乾くまで時間を置く。その後、かっさ棒などの専用道具で繊維を寝かせるようにケアすることで、ある程度のシミはリセット可能です。
また、ソールが減ってきた際の修理についても、あらかじめ予算に組み込んでおくべきです。オールソールの費用は2万円前後かかりますが、これを怠ると靴全体の寿命を縮めてしまいます。
詳しいお手入れ方法については、雨の日の革靴がだめな理由【劣化を防ぐ正しい対策と手入れのコツ・雨天用革靴】でも解説していますので、購入前に一度目を通しておくと、維持費への不安が解消されるはずです。
価値を知ればオールデンが高すぎることも納得できる
ここまで、様々な視点からオールデンの価格について考えてきました。結論として、オールデンが高すぎるという言葉は、見方を変えれば「それだけの背景を背負った特別な存在」であることの証明でもあります。
確かに17万円は靴一足の価格としては異常かもしれません。しかし、シカゴのタンナーで半年以上かけて作られた革を使い、アメリカの職人が昔ながらの製法で仕立て、海を越えて日本に届くまでの物語、そして手放す際にも価値が残る資産性を考慮すれば、その価格には論理的な裏付けがあることが分かります。
この記事を読んで「理由が分かってスッキリした、やはり手に入れたい」と思ったなら、それは一生の相棒に出会う準備ができたということです。正確な在庫状況や最新の定価については、必ず公式サイトや正規販売店で直接確認するようにしてください。あなたの足元に、最高のオールデンが届くことを願っています。
