こんにちは!革の小部屋管理人の「小次郎」です!
皆さんは、オールデンのポストマンという言葉を聞いて、どんな靴を思い浮かべるでしょうか。実のところ、オールデンの正式なカタログに「ポストマン」と名の付くモデルは存在しません。
しかし、多くのファンがこの愛称で呼び、熱烈に探し求めているのが、今回詳しくご紹介するモデル53711です。本家レッドウィングのポストマンとは一線を画す、ドレス感とミリタリーの武骨さが共存したこの一足。
なぜこれほどまでに多くの人を惹きつけるのか、気になるサイズ感や最近の価格推移、そして失敗しないための選び方まで、私が興味を持って調べた情報を余すことなくお届けします。
この記事を読めば、オールデンのポストマンに関する悩みや疑問がスッキリ解決し、あなたにとって最適な一足かどうかがはっきりと分かるはずですよ。
オールデンのポストマンの正体と53711の魅力

ここでは「オールデンのポストマン」という呼び名が定着した背景と、その実体であるモデル53711が持つ、他の革靴にはない独自の魅力について深掘りしていきましょう。この靴を知ることは、アメリカン・トラディショナルの歴史を紐解くことでもあります。
軍用由来のミリタリーラスト379Xの凄さ
オールデンのポストマンと称される53711を象徴する最大の特徴は、その木型(ラスト)にあります。このモデルに使用されているのは、通称「ミリタリーラスト」と呼ばれる379Xラストです。
この木型の歴史は非常に興味深く、第二次世界大戦中にアメリカ軍の歩兵用ドレスユニフォームシューズとして開発された経緯があります。戦時中、数多の兵士の足を支え、行軍に耐えうる設計が求められた結果、極めて人間工学に基づいた形状が完成したのです。
しかし、終戦とともにこのラストは表舞台から姿を消し、長らくオールデン社の倉庫で眠る「幻の木型」となっていました。
この眠れる宝を掘り起こしたのが、日本の正規総代理店であるラコタハウスだと言われています。日本人の足型は欧米人に比べて「幅広・甲高・踵が小さい」という特徴がありますが、このミリタリーラストが驚くほど日本人の足にフィットすることが判明し、日本市場主導で奇跡の復活を遂げたのです。
現在、本国アメリカでも379Xを使用したモデルは定番として置かれていることは少なく、まさに日本を中心とした熱狂的なファンによって支えられているモデルと言えます。
ミリタリーラストの履き心地の凄さは、その「メリハリ」にあります。土踏まず(アーチ)の部分がこれでもかというほど強烈に絞り込まれており、履いた瞬間に足裏を下からグッと持ち上げられるような独特の感覚を味わえます。
これにより、靴の中で足が前後に滑るのを防ぎ、指先にはリラックスしたゆとりを持たせることができるのです。また、つま先の形状は「ラウンドトゥ」と呼ばれ、適度なボリューム感と丸みを帯びており、武骨な軍用靴の面影を色濃く残しています。
この「土踏まずで履き、指先で遊ぶ」という設計思想は、オールデンが得意とするオーソペディックシューズ(矯正靴)の知見が存分に活かされており、長時間の歩行でも驚くほど疲れにくいという実益をもたらしてくれます。
53711とレッドウィング101の決定的な違い
「ポストマンシューズ」というカテゴリーにおいて、不動の地位を築いているのがレッドウィングの「#101」です。

見た目が似ていることから、オールデンの53711としばしば比較されますが、両者は設計思想も着用シーンも全く異なる存在です。まず、その「立ち位置」を明確にする必要があります。
レッドウィングの101は、1954年に郵便配達員のために開発された「働くための道具」です。そのため、長距離の歩行や雨天時の作業に耐えうるタフな仕様が貫かれています。一方、オールデンの53711は、軍用靴をルーツに持ちながらも、現代においては「紳士のワードローブを格上げする実用ドレスシューズ」としての地位を確立しています。
両者の最も顕著な違いは、地面に接するソール(靴底)にあります。レッドウィングが、クッション性に優れ、芝生を傷めないためのフラットな「クッションクレープソール(ラバー)」を採用しているのに対し、オールデンの53711は「ウォーターロックレザーソール」を装備しています。
これは、植物タンニンなめしのレザーに特殊なオイルをたっぷりと浸透させたもので、通常のレザーソールよりも屈曲性が高く、かつ耐水性に優れているのが特徴です。アスファルトの上を歩いた際に響く「コツコツ」という硬質な音は、まさにオールデンならではの特権。カジュアルなラバーソールでは決して味わえない、背筋が伸びるような感覚を与えてくれます。
製法とシルエットが生む印象の差
また、製法においても細かな、しかし決定的な違いが存在します。レッドウィングは「360度グッドイヤーウェルト製法」を採用しており、踵の周りまでステッチが回っているため、後ろ姿にボリュームが出ます。
これに対してオールデンの53711は、ヒール周りのステッチを排した「270度フラットウェルト」を採用。これによりコバの張り出しが抑えられ、横や後ろから見た時のシルエットが非常にエレガントに仕上がっています。
スーツの裾との干渉も少なく、ビジネスシーンでの馴染みの良さは圧倒的にオールデンに軍配が上がります。
| 比較項目 | レッドウィング #101 | オールデン 53711 |
|---|---|---|
| ソールの種類 | クッションラバー(スポンジ状) | オイルドレザー(ウォーターロック) |
| アッパー素材 | シャパラルレザー(ガラス革) | 上質なカーフスキン(仔牛革) |
| ウェルト仕様 | 360度(ボリューム感あり) | 270度フラット(スマート) |
| 得意なシーン | カジュアル、ワーク、雨天 | ビジネス、ジャケパン、ドレスアップ |
上質なカーフスキンが放つ独自の光沢と手入れ

オールデンといえば「コードバン(馬の臀部の革)」を思い浮かべる方も多いですが、この53711に使われているのは厳選された「カーフスキン」です。
コードバンのギラリとした強い光沢も魅力的ですが、カーフスキンにはカーフスキンにしかない、奥深くしっとりとした艶があります。特にオールデンが採用するカーフは非常にきめが細かく、丁寧にお手入れをすることで、鏡面磨き(ハイシャイン)を施した際にも非常に美しい輝きを見せてくれます。
コードバンに比べて水分によるシミや「水ぶくれ」を極端に恐れる必要がないため、実用靴としての使い勝手は圧倒的にこちらが上ですね。
このカーフスキンのもう一つの魅力は、エイジング(経年変化)の美しさです。コードバンが波打つような太い皺が入るのに対し、カーフは細かく繊細な皺が刻まれていきます。
履き込むほどに革が自分の足の動きに合わせて柔らかくなり、まるで第二の皮膚のように馴染んでいく感覚は、まさに至福。私が愛用しているペアも、数年間の着用を経て、購入時よりも深みのある黒へと成長しました。定期的に乳化性クリームで栄養を与え、豚毛ブラシでしっかりとブラッシングすることで、革の繊維が引き締まり、鈍い光を放つようになります。
失敗しないための基本のシューケア手順
カーフスキンの魅力を最大限に引き出すためには、シンプルですが正しいケアが欠かせません。まず、帰宅後は必ず馬毛ブラシでホコリを払いましょう。ホコリは革の油分を奪い、ひび割れの原因になるからです。
数週間に一度は、リムーバーで古いクリームをリセットし、新鮮な乳化性クリームを少量塗り込みます。この際、指で直接クリームを塗り込むと、体温で成分が溶けて革の奥まで浸透しやすくなりますよ。
最後にしっかりとブラッシングして余分なクリームを弾き飛ばし、布で磨き上げれば完成です。コードバンほど神経質にならなくても良いとはいえ、良質な革ですので、月に一度の「革との対話」を楽しんでみてはいかがでしょうか。
関連記事:革靴のクリームの頻度は月1回?塗りすぎの弊害と素材別の最適解
379Xラストのサイズ感と失敗しない選び方
オールデンの購入を検討する際、最も高いハードルとなるのがサイズ選びです。
高額な靴だけに、サイズ選びの失敗は絶対に避けたいところですよね。379Xラスト(ミリタリーラスト)のサイズ感は、オールデンの代表的な「バリーラスト」に近いと言われますが、細かなフィッティングの特徴が異なります。
| スニーカーサイズ | 379X (ミリタリー) | Barrie (バリー) | Aberdeen (アバディーン) |
| 26.0 cm | US 7.0D 〜 7.5D | US 7.0D | US 7.5D |
| 26.5 cm | US 7.5D 〜 8.0D | US 7.5D | US 8.0D |
| 27.0 cm | US 8.0D 〜 8.5D | US 8.0D | US 8.5D |
| 27.5 cm | US 8.5D 〜 9.0D | US 8.5D | US 9.0D |
| 28.0 cm | US 9.0D 〜 9.5D | US 9.0D | US 9.5D |
各ラストやスニーカーらとサイズ比較をするとこのくらいになります。基本的には、USサイズ表記において、普段履いているスニーカー(ナイキやニューバランスなど)から0.5cmから1.0cmほど下げたサイズを選ぶのが標準的な目安となります。
例えば、ニューバランスで27.0cm(US9)をジャストで履いている方なら、オールデンの379XラストではUS8.0(26.0cm)やUS8.5(26.5cm)が候補に挙がります。しかし、単に長さ(レングス)だけで決めてはいけないのがこの靴の難しいところ。
前述の通り、ミリタリーラストはアーチ部分が非常にタイトに設計されています。試着した際に「土踏まずがグッと押し上げられる感覚」があり、かつ「踵が浮かず、指先が自由に動く状態」が理想的なフィッティングです。もし土踏まずに全く圧迫感がない場合は、サイズが大きすぎる可能性があります。
バリーラストや他モデルとの比較
すでに他のオールデンをお持ちの方のために比較すると、バリーラストでUS8.0Dを履いている方は、379Xラストでも同じUS8.0Dで問題ないケースが多いです。ただし、379Xの方がヒールカップが小さく、アーチの絞りが強いため、バリーよりも「タイトでホールド感が強い」と感じるはずです。
逆に、細身の「アバディーンラスト」に比べると、379Xは前足部にゆとりがあるため、ハーフサイズ下げる検討が必要かもしれません。
日本で流通している53711の多くは「Dウィズ(標準幅)」ですが、幅広の方はあえてレングスをハーフサイズ上げ、中敷き等で調整するよりも、革が馴染むことを信じてジャストサイズを選ぶのが、最終的に最高のフィット感を得るコツと言えます。
ビジネスから休日まで活躍する万能なコーデ例
オールデンのポストマンこと53711が「究極の汎用性」を持つと言われる理由は、その絶妙なボリューム感にあります。ドレスシューズほど細身すぎず、ワークブーツほどボリューミーすぎない。
この「真ん中」のバランスが、あらゆるファッションスタイルを橋渡ししてくれるのです。まずはビジネスシーンですが、チャコールグレーのスーツやネイビーのスラックスといった王道のスタイルに合わせても、全く違和感がありません。

むしろ、少し丸みのあるつま先が、堅苦しいビジネススタイルに「大人の余裕」や「抜け感」をプラスしてくれます。近年のビジネスカジュアル(ジャケパン)の流れには、これ以上ないほど合致する一足と言えるでしょう。
カジュアルシーンにおいては、そのルーツである「ミリタリー」の要素を活かしたスタイリングが特におすすめです。例えば、オリーブカラーのM-65フィールドパンツやファティーグパンツに、ざっくりとしたオックスフォードシャツを合わせたスタイル。
足元に53711を持ってくることで、野暮ったくなりがちなミリタリーコーデが一気に都会的で上品な印象に変わります。また、色落ちしたヴィンテージジーンズに、あえて磨き上げられた53711を合わせる「対比の美」も素晴らしいですね。くるぶしを見せるくらいの丈感で、白ソックスをチラ見せするプレッピースタイルも、この靴の愛嬌のあるフォルムによく映えます。
長く履くためのオイルドソールのメンテナンス

53711の歩行性能を支える「ウォーターロックソール(オイルドレザーソール)」は、まさにオールデンの技術の結晶です。
しかし、植物タンニンなめしの革にオイルを染み込ませているという性質上、定期的なメンテナンスを怠ると、その恩恵を十分に受けられなくなるばかりか、ソールの寿命を縮めてしまう原因にもなります。
まず理解しておきたいのは、オイルドソールも履き続けるうちに油分が抜けていくということです。油分が抜けたレザーソールは硬くなり、屈曲性が失われ、歩行時の衝撃吸収力も低下してしまいます。さらに、乾燥した革は摩耗しやすく、地面との摩擦でどんどん削れていってしまいます。
お手入れのタイミングは、半年に一度、あるいはソールがカサカサと白っぽく乾燥してきたと感じた時です。市販のソールトニック(ソール専用のオイル)や、無色のミンクオイルなどをソールの底面に薄く塗り広げましょう。
オイルを塗ることで革の繊維が再び潤い、柔軟性が復活するため、「返り」が良くなり歩き心地が劇的に改善します。ただし、塗りすぎには注意が必要です。オイルを入れすぎると革が柔らかくなりすぎてしまい、石などを踏んだ際に深く傷ついてしまう可能性があるからです。表面がしっとりする程度で十分ですので、塗り終わった後はしっかりと拭き取り、半日ほど乾燥させてください。
オールデンのポストマンの価格と市場価値の分析

憧れの53711を手に入れるために避けて通れないのが、昨今の激しい価格変動と流通状況の問題です。単なる革靴の枠を超え、一種の「資産」としての側面も持つオールデンの、現在の市場におけるリアルな状況を整理してみましょう。
正規店での販売価格と最新の入荷待ち状況

現在、オールデンの価格は、革靴業界全体の中でも特筆すべき上昇カーブを描いています。これにはいくつかの要因が重なっています。第一に、世界的な原材料(高品質なカーフや原皮)の不足と価格高騰。
第二に、アメリカ本国での人件費や製造コストの上昇。そして第三に、近年の円安による影響です。これらの要因により、オールデンの国内定価は数年前のイメージから大きく乖離し、現在の53711の定価は約11万円から、場合によっては16万円を超える価格帯となっています。
さらに、追い打ちをかけるのが深刻な「モノ不足」です。オールデン社は現在もマサチューセッツ州のミドルボロにある工場で、熟練の職人たちが手作業で靴を作り続けていますが、その生産能力には限界があります。
世界中からの需要に対して供給が全く追いついておらず、特に日本で人気の高い53711やミリタリーラストのモデルは、正規代理店のラコタハウスでも「入荷即完売」や「数ヶ月から1年以上の入荷待ち」が常態化しています。
正規店で購入を希望する場合は、入荷連絡のリストに登録してもらい、辛抱強く待つ覚悟が必要になります。まさに「出会った時が買い時」という言葉がこれほど似合う靴も珍しいですね。(出典:THE LAKOTA HOUSE『Alden Stock List』)
関連記事:オールデン値上げの真相とは?価格推移と今買うべき理由を徹底解説
中古モデルの相場と状態チェックの重要ポイント

新品の入手難易度が非常に高いため、メルカリやヤフオク、中古ブランドショップといったセカンダリーマーケットが非常に活発なのもオールデンの特徴です。
相場としては、ほとんど履かれていない「極美品」であれば、定価に近い9万円〜11万円で取引されることも珍しくありません。適度な使用感のある「良品」であれば6万円〜8万円、ソール交換が必要なレベルの「並品」であれば3万円〜5万円というのが、ここ最近のリアルな価格帯かなと思います。
中古で53711を探す際に、私が最も重要視すべきだと思うポイントは「アッパーのクラック(ひび割れ)」と「履き口のダメージ」です。
ソールは修理で新品に変えることができますが、乾燥によってひび割れてしまった革は、元に戻すことができません。また、前の持ち主の歩き癖が強くついている場合、自分の足に馴染むまで時間がかかることもあります。
特にインソール(中敷き)を見て、足の形が深く窪みすぎているものは、フィッティングの観点から注意が必要です。高額な取引になるため、写真の枚数が多く、ケアの履歴が明確な出品者を選ぶようにしてくださいね。
格安で買えるリジェクト品の特徴と購入場所

少しでも安く、かつ新品に近い状態で手に入れる裏技的な方法が、「リジェクト品(Factory Second)」を探すことです。リジェクト品とは、製造過程で小さな傷、ステッチのズレ、革の色ムラなどが見つかり、オールデンの厳しい検品基準をクリアできなかった個体のことです。
これらには、タンの裏やインソールに「R」という刻印が押され、通常の流通ルートではなく、主にアメリカのアウトレット店(ザ・モールド・ショップなど)や一部の並行輸入店を通じて販売されます。
リジェクト品と言っても、靴としての機能や耐久性には全く問題がないものがほとんどです。実際に私もいくつかのリジェクト品を見てきましたが、「え、これのどこがダメなの?」と首をかしげるほど微細なスレがあるだけ、というケースも多々あります。
価格は定価の6〜7割程度に設定されることが多く、実用的にガシガシ履き潰したいユーザーにとっては、これ以上ないほどコストパフォーマンスに優れた選択肢となります。
ただし、リジェクト品は「一点もの」であり、自分のサイズに出会えるかどうかは完全に運次第。専門の並行輸入店などの入荷情報をこまめにチェックする情熱が必要になりますが、それもまたオールデン探しの醍醐味と言えるかもしれません。
まとめ:最高峰のオールデンのポストマンの真価
長々と語ってきましたが、オールデンのポストマンこと53711の真価は、単なる「高級な革靴」という枠組みには収まりません。
それは、第二次世界大戦という激動の時代を支えたミリタリーの歴史と、人々の足を快適にするために磨き上げられた矯正靴の科学、そして現代の洗練されたファッション感覚が、一つの靴の中で完璧に融合している点にあります。
履くたびに自分の足に馴染み、手入れをするたびに深みを増していくその姿は、まさに共に人生を歩む「相棒」と呼ぶにふさわしい存在ですよ。
オールデンのポストマン53711を解説!サイズ感や魅力を徹底解剖
オールデン,ポストマン
オールデンのポストマンと称される53711の魅力を徹底解説!ミリタリーラスト379Xが生み出す極上の履き心地や、レッドウィングとの違い、失敗しないサイズ選びのコツを詳しく紹介。資産価値も高いオールデンのポストマンの最新価格やケア方法まで、一生モノを探す革靴ファン必見の情報を凝縮。
