こんにちは!革の小部屋管理人の小次郎です!
英国靴の聖地ノーザンプトンが生んだ二つの巨星、エドワードグリーンやジョンロブのどちらを選ぶべきか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
特に昨今の円安や原材料の高騰により、定価が20万円台後半から30万円を超える時代となった2026年現在、失敗できない買い物であることは間違いありません。
私自身も、それぞれのラストの相性や中古市場での資産価値、さらにはバイリクエストでのオーダー価格など、気になるポイントを夜な夜な調べては溜息をつく日々を過ごしてきました。
この記事では、一生モノの相棒を探している皆さんの疑問を解消するために、ドーバーやシティ2といった名作の比較から、後悔しないサイズ選びのコツまで、私なりの視点で詳しくまとめてみました。
エドワードグリーンやジョンロブを徹底比較した結論

靴好きなら一度は直面する「究極の選択」ですよね。どちらも最高峰であることは間違いありませんが、その成り立ちや目指している方向性は驚くほど違います。まずはその「核」となる部分から紐解いていきましょう。
伝統と格式を象徴する両ブランドの歴史的背景

エドワードグリーンは1890年、靴作りの聖地ノーザンプトンで産声を上げました。「でき得る限りの上質を」という信念のもと、職人による手作業を重視し続けてきたブランドです。
しかし、その道のりは決して平坦ではありませんでした。1970年代から80年代にかけて深刻な経営危機に陥り、一時はブランドの存続さえ危ぶまれた時期があったんです。そこを救ったのが、チェコ出身の靴職人ジョン・フルスティック氏でした。
彼は当時「黒靴こそ至高」とされていた英国靴界に、手作業で色を重ねる「アンティークフィニッシュ」を持ち込み、茶靴の魅力を再定義しました。この「職人による再生」の物語が、エドワードグリーンの靴に宿る温かみの正体かもしれませんね。
対するジョンロブ、特に私たちが手に取る「ジョンロブ・パリ」の歴史は、1976年にエルメスグループがパリ支店を継承したことから加速します。ビスポーク(注文靴)専門のロンドン・ロブとは別に、世界に冠たるラグジュアリー資本が「最高の既製靴」を作るために動いたわけです。
エルメスの卓越した美意識と、ノーザンプトンの伝統的なグッドイヤーウェルト製法が融合したことで、ジョンロブは「キング・オブ・シューズ」の異名をとるまでになりました。伝統を頑なに守りつつも独立独歩を貫くエドワードグリーンと、最高級の資本をバックにエレガンスを追求するジョンロブ。この構図を知るだけでも、靴選びがぐっと楽しくなりますよ。
経営哲学が靴に与える影響
エドワードグリーンは、ラルフローレンの最高級ライン「パープルレーベル」の生産を請け負っていた時期もあり、その技術力は業界内でも「世界一」と目されていました。
エルメスがエドワードグリーンの買収を画策した際、それを断って独立を守ったというエピソードは、ファンの間では有名です。一方、ジョンロブはエルメスの傘下に入ったことで、後述する「皮革の優先権」を手に入れました。
つまり、エドワードグリーンは「技」を、ジョンロブは「素材」を極めるための環境を選んだとも言えるかもしれません。どちらの哲学に共感するか、それが最初の一歩ですね。
関連記事:ジョンロブとエルメスの関係性と違い【最高峰の革質を誇る歴史を解説」
ジョンロブのミュージアムカーフに見る素材の格付け

ジョンロブを語る上で、避けて通れないのがその圧倒的な「素材力」です。エルメスグループの一員であるということは、世界中の有名タンナー(皮革製造業者)が供給する原皮の中でも、ピラミッドの頂点に位置する「ファーストセレクション」を優先的に確保できることを意味します。
私たちが手にするジョンロブの靴には、他ブランドがどれほどお金を積んでも手に入らないような、最高級の仔牛革(カーフ)が惜しげもなく使われているんです。
その代表格が、イタリアのイルチア社が手がける「ミュージアムカーフ」です。大理石(マーブル)のような独特のムラ感があり、奥行きのある表情が特徴ですね。
この革は、職人が後から手で染めるパティーヌとは違い、鞣しの段階でドラムの中で自然な模様を作り出しています。そのため、表面に余計な顔料が乗っておらず、革本来の通気性と柔らかさが損なわれていません。履き始めた瞬間に「あ、これは違う」と感じるしなやかさは、まさに素材の勝利と言えるでしょう。
ジョンロブの靴が新品の時から放つ、あの気品あふれる光沢は、この厳選された素材があってこそ成り立つものなんです。
素材への絶対的な自信
ジョンロブの定番モデル「シティ2」などを見ると分かりますが、デザインは極めてシンプルです。装飾を削ぎ落としたミニマリズムを追求できるのは、素材そのものに絶対的な自信があるからこそ。
肌理(キメ)の細かさはもちろんのこと、繊維の密度が高いため、長年履き込んでも型崩れしにくく、上品なシワが入るのが特徴です。まさに「素材を履く」という贅沢を味わいたいなら、ジョンロブ以上の選択肢はなかなか見つからないかなと思います。
もちろん、素材の特性を活かすためには適切なケアが必須です。私が普段使っているケア用品については革靴のクリームの頻度は月1回?で詳しく解説しています。
エドワードグリーンのドーバーが誇るスキンステッチ
「素材のジョンロブ」に対し、エドワードグリーンの真骨頂は「技術の結晶」にあります。その象徴と言えるのが、Uチップモデルの最高峰「ドーバー」です。この靴のモカ部分をじっくり見てみてください。

革の継ぎ目が盛り上がっているように見えますが、実はこれ、革の表面に糸を通さず、革の内部(厚みの半分ほど)を縫い通す「ライトアングル・スキンステッチ」という超絶技巧が使われているんです。
この縫製には、金属の針は使いません。驚くことに、柔軟性と強度を兼ね備えた「イノシシの毛」を針代わりにして、職人が手作業で一針ずつ縫い上げていくんです。金属の針だと革を裂いてしまう可能性があるため、天然の素材を使うんですね。
現在、エドワードグリーンの工場でもこのステッチを完璧にこなせる職人は数えるほどしかいないと言われています。一足のドーバーを仕上げるのに、このステッチ工程だけで数時間を要するため、自ずと生産数は限られ、価格も高騰します。
職人の指先の感覚が宿る靴
ドーバーに使われるラスト(木型)は、クラシックな「202」や、よりスマートな「32」などがありますが、どのラストであってもスキンステッチの存在感は抜群です。
このステッチがあることで、靴全体に独特の立体感と力強さが生まれるんですね。ジョンロブのUチップモデル「シャンボード」も素晴らしい靴ですが、より繊細で工芸品のような緻密さを求めるなら、やはりエドワードグリーンのドーバーに軍配が上がるかなと思います。
職人の息遣いを感じるような靴を所有する喜びは、エドワードグリーンならではの醍醐味ですね。こうした職人技の詳細は、公式の製造工程を紹介する資料などでも見ることができますよ。
シティとチェルシーのどちらを選ぶべきか
「最初の一足」として検討されることが多いのが、内羽根ストレートチップの「シティ2(ジョンロブ)」と「チェルシー(エドワードグリーン)」です。どちらも紳士靴の基本中の基本ですが、細部の意匠には明確な違いがあります。
私自身、この二つのどちらを買うべきか半年ほど悩んだ経験がありますが、最終的には「どのラストが自分の足に合うか」と「好みのデザインアクセント」で決まりました。
| 比較項目 | John Lobb "City II" | Edward Green "Chelsea" |
|---|---|---|
| アイコンデザイン | ツインステッチ(2本の平行線) | スワンネック(白鳥の首のような曲線) |
| ラスト(木型) | 7000ラスト(モダン、やや長め) | 202/82ラスト(クラシック、小踵) |
| 履き心地の傾向 | 全体で包み込む安定感 | 踵をガシッと掴むホールド感 |
| 推奨シーン | 都会的ビジネス、勝負靴 | 伝統的フォーマル、控えめな上品さ |
ジョンロブのシティ2は、一切の無駄を省いたミニマルな顔立ち。鳩目(ひも通しの穴)の横にある2本のステッチが、さりげない立体感を生んでいます。
一方、エドワードグリーンのチェルシーは、鳩目周りのステッチが「スワンネック」と呼ばれる美しい曲線を描いています。これが直線的なストレートチップの中に、英国らしい優雅さを添えているんですね。
どちらも「最高峰の普通」を体現していますが、モダンで都会的な印象を好むならジョンロブ、伝統的でクラシックな美しさを好むならエドワードグリーンという選び方がしっくりくるはずです。
ロペスとピカデリーに見るローファーの設計思想

ローファー選びもまた、両ブランドの個性が光るポイントです。ジョンロブの「ロペス」は、1950年にメジャーリーガーの「アキリーノ・ロペス」氏がオーダーしたことが名前の由来。
サドル部分にある楕円形の窓がアイコンで、手縫いのモカ縫いが施されています。ロペス専用の「4395ラスト」は、ローファーらしい適度なボリューム感があり、カジュアルスタイルを格上げしてくれる力強さがあります。デニムからジャケパンスタイルまで、これを履くだけでコーディネートが完成してしまうような「主役級」のローファーですね。
対するエドワードグリーンの「ピカデリー」は、非常にスリムでエレガントな印象。特に「184ラスト」を用いたモデルは、履き口を絞り込むことで、ローファー最大の悩みである「踵の抜け」を最小限に抑えています。
私も初めてピカデリーに足を入れた時は、その吸い付くようなホールド感に驚きました。デザイン自体は非常にシンプルで、ロペスのような分かりやすいアイコンはありませんが、その分、どんな服装にもスッと馴染む汎用性の高さがあります。
「靴を主張させたいならロペス」、「足元をスマートに整えたいならピカデリー」といった使い分けが理想的かなと思います。
妥協なき品質を支えるコンストラクションの違い
最後に、靴の「裏側」や「内部」に隠されたこだわり、コンストラクション(構造)についても触れておきましょう。ジョンロブには「プレステージライン」という上位ラインが存在し、そこでは既製靴とは思えないほどの手間がかけられています。
例えば、土踏まず部分を極限まで削り込んで立体的に仕上げる「ベヴェルドウエスト」。これにより、靴を真横から見た時のシルエットが非常に薄く、セクシーに見えるんです。さらに、ヒールに向かってソールがバイオリンのように盛り上がる「フィドルバック」仕上げも、プレステージラインならではの贅沢な仕様です。
エドワードグリーンも負けてはいません。通常ラインでも十分に高いクオリティですが、パターンオーダーの最上位「トップドロワー」を選択すれば、ジョンロブのプレステージラインに勝るとも劣らない、芸術的な底周りの仕上げが可能です。
また、エドワードグリーンは「出し縫い(ソールを縫い付けるステッチ)」のピッチが非常に細かく、ウェルトの刻みと完璧に一致している点も、職人の眼が行き届いている証拠ですね。
| 比較項目 | ジョンロブ:プレステージライン | エドワードグリーン:トップドロワー |
| 位置付け | 既製靴における上位ライン | パターンオーダーの最上位 |
| ウエストの仕上げ | ベヴェルドウエスト:土踏まずを極限まで削り込んだ立体的な仕上げ | 芸術的な底周り:ジョンロブに勝るとも劣らない仕上がり |
| ソールの形状 | フィドルバック:ヒールに向かってバイオリンのように盛り上がる仕様 | |
| 視覚的特徴 | 真横から見たシルエットが非常に薄くセクシー | 職人の眼が行き届いた、細部まで完璧な整合性 |
見えない部分にまで徹底的にこだわる。この姿勢こそが、20万円、30万円という価格を正当化する理由であり、私たちがこの二つのブランドに惹かれ続ける理由なんだと思います。
エドワードグリーンやジョンロブのサイズ感と選び方

さて、ここからは実用的な「選び方」のお話です。どんなに高価な靴も、自分の足に合っていなければ「宝の持ち腐れ」どころか、苦痛の種になってしまいます。特にこの両ブランドは、ラスト(木型)の個性が非常に強いため、慎重な検討が必要です。
失敗しないためのラストの特徴とサイズ選びのコツ

エドワードグリーンを検討するなら、まずは「202ラスト」と「82ラスト」の違いを知っておきましょう。202はエドワードグリーンの原点とも言える木型で、指先にゆとりを持たせつつ、踵(ヒールカップ)を極限まで小さく設計しています。
日本人は一般的に「幅広・小踵」と言われますが、この202はまさにその特徴に合致しやすく、多くの日本人にとって「救世主」となる木型です。一方の82は、202を現代的に細身にしたモデル。スタイリッシュですが、幅がタイトなのでサイズ選びには注意が必要です。
対するジョンロブの代表格「7000ラスト」は、適度なロングノーズで現代的な美しさを持っています。エドワードグリーンに比べると、踵周りにはやや余裕がある設計なので、踵が極端に小さい人は少し抜けやすく感じるかもしれません。
また、ジョンロブは「レングス(縦の長さ)」が長めに設定されているため、エドワードグリーンでUK7.5を履いている人が、ジョンロブではUK7でジャストになるという逆転現象がよく起こります。
私自身の経験から言えば、「EGは踵で合わせ、JLは足全体で包み込むサイズを探す」のがコツかなと思います。さらに詳しい相関については、革靴を大きめで買うと失敗する?サイズ選びのコツと調整法を解説も併せて読んでみてくださいね。
2026年の国内価格高騰と資産としての市場価値
2026年現在、私たちが直面しているのが「価格」という大きな壁です。かつて10万円台前半で買えたエドワードグリーンも、今や20万円台が当たり前。
ジョンロブに至っては、30万円に迫る勢いです。これには高品質な仔牛革の減少や、熟練職人の賃金上昇、さらには世界的な物価高が影響しています。しかし、面白いことに価格が上がれば上がるほど、その「資産価値」も注目されるようになりました。
最高峰の靴は、しっかりと手入れをしていれば中古市場でも驚くほどの高値で取引されます。
特に「旧ロゴ」と呼ばれる、ジョン・フルスティック氏が存命だった頃のエドワードグリーンや、エルメス傘下に入る前のジョンロブなどは、ヴィンテージ愛好家の間で定価に近い価格で売買されることもあります。
つまり、30万円で買った靴が、10年履き潰した後でも、状態が良ければ10万円以上で売れる可能性があるということです。これは、使い捨ての安い靴を何度も買い換えるよりも、結果的に「安上がり」になる可能性すら秘めています。
まさに、靴を「消費」するのではなく、人生を共に歩む「投資」として捉える視点が、2026年の靴選びには必要かもしれませんね。
美しいエイジングを実現する最高峰の革質と手入れ

最高級の革を育てる楽しみは、何物にも代えがたいものです。エドワードグリーンの「バーニッシュドカーフ」は、履き込むほどにクリームが革の奥深くまで浸透し、自分だけの一色へと変化していきます。
私が所有しているダークオークのチェルシーも、5年経った今では、新品時とは比較にならないほど深い飴色の光沢を放っています。一方、ジョンロブのミュージアムカーフは、元々のムラ感があるため、特別なことをしなくても常に表情豊かです。ケアをする際は、革の質感を損なわないよう、あまり厚塗りをせず、少量のクリームで丁寧に磨き上げるのがコツですね。
また、鏡面磨き(ハイシャイン)を施す際も、これらの靴は土台となる革が素晴らしいため、短時間で驚くような輝きを得ることができます。ただし、あまりにピカピカにしすぎると、せっかくの繊細な革の肌理が見えなくなってしまうので、私はつま先と踵だけに絞って磨くようにしています。
理想の一足を仕立てるバイリクエストの活用術
最後にご紹介したいのが、ジョンロブのオーダーシステム「バイリクエスト」です。

これは、既存のモデルをベースに、自分好みの革、ソール、ウィズを選んでオーダーできる仕組み。通常であれば既製価格に30%程度のアップチャージがかかりますが、年に数回開催される「バイリクエスト・フェア」の期間中であれば、なんと既製品と同じ価格(もしくは非常に近い価格)でオーダーできてしまうんです!これを利用しない手はありません。
自分の足が「幅広」や「極端な細身」で既製品が合わないという方にとって、このフェアは救世主です。また、例えば「シティ2をスエードで作る」とか「ロペスにラバーソールを貼る」といった、既製品にはない自分だけのカスタマイズが可能です。
納期は数ヶ月かかりますが、ノーザンプトンの職人が自分のためだけに一足を作ってくれていると思うと、待っている時間さえも愛おしくなります。2026年の現在でも、このフェアは靴好きにとって最大のイベント。
もし検討しているなら、お近くのジョンロブ店舗や百貨店の情報をこまめにチェックしておくことを強くおすすめします。
※価格、納期、およびバイリクエストフェアの開催時期は、各店舗や代理店の状況により予告なく変更される場合があります。購入を検討される際は、必ずジョンロブやエドワードグリーンの公式サイト、または各正規販売店へお問い合わせいただき、最新情報をご確認ください。
エドワードグリーンとジョンロブから選ぶ究極の一足
長い文章にお付き合いいただき、ありがとうございました!エドワードグリーンやジョンロブのどちらを選ぶべきか、少しは見えてきたでしょうか。私なりの結論を最後にまとめますね。
もしあなたが、圧倒的な「素材のオーラ」と「都会的なエレガンス」を求めるなら、間違いなくジョンロブをお勧めします。どんなに高いハードルの社交場であっても、ジョンロブを履いているという事実は、あなたに揺るぎない自信を与えてくれるはずです。その洗練された佇まいは、まさに成功者の足元にふさわしいものです。
一方で、職人の手の温もりを感じたい、自分の手で靴を育て、唯一無二の相棒にしたいという「趣味性」を重視するなら、エドワードグリーンが最高の選択になります。
特に、踵の小さな日本人の足に吸い付くようなあのフィット感は、一度味わうと他の靴には戻れない中毒性があります。靴を磨き、歳月を重ねるごとに愛着が増していく。そんな喜びを教えてくれるのは、やはりエドワードグリーンなのかなと思います。
